【小説】タシカユカシタ #20
天井にいる時でも、壁をすり抜けることが出来るのか確かめることも出来ず浩太は閉まっているドアめがけて突っ込んだが、難なく廊下に出られた。
ドアが開く気配がして何人か浩太を目で追ったが、かまわず浩太は廊下の天井を全速力で走った。
職員室の手前の角を曲がり、下駄箱のある玄関を、突っ切って、また角を曲がり、連絡通路の入り口を通り過ぎ、大楠の見えるB棟、一階の廊下まで来たところで、浩太は立ち止まり、ひざに手をかけ、はあはあと、荒い息を吐いた。A棟とB棟は玄関のある棟とつながってい