濱津隆之

時々書いてはあれしています/どうぞ何かありましたら

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マガジン

  • 置いていく日常

    なにかあるかも知れないし、なんにもないかも知れないし。そんな日常の中でふと見つけた出来事や思い浮かびを、ゆるりとここに置いていきます。

  • なんて事のない詩

    通り過ぎても気にならない、なんて事のない風景

  • 何処かの短編

    とある何処かの、ちょっとおかしなちょっとした話

最近の記事

顔をうずめてはい終わり

食器洗剤とボディソープを石鹸に変えた。今使っているのが無くなったら洗濯洗剤も液体石鹸を検討中で、シャンプーは既に男性のコーナーにある物じゃなくて女性のコーナーにある物を選んで使っているけど、髪も石鹸にしてみようかとちょっと思っている。汚れを落とし過ぎてるんじゃなかろうか、と言うか、そこまでしなくても本当は落ちてるんじゃなかろうか、とふと思ったのが切っ掛けだけど、そう言う目線で探して見ると、自分が遅すぎたのか、体や頭皮の必要な油分まで落とし過ぎない、みたいな製品が結構あった。や

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    • そこからテープをひっくり返す

      花瓶を買った。握り拳くらいの小さな淡いオレンジの一輪挿し。今まで使っていた同じくらいのサイズの陶器の花瓶もとても良い感じだったけど、たったのちょこんとサイズでも小棚の上に濃いめのグレーがあるのと淡いオレンジのがあるのとで部屋の雰囲気がこんなに変わるとは思わなんだ。ついついちらちらと見てはにやにやして、これはかなりお気に入りかもしれない。 良い買い物をすると、それがどんなに些細な物でも十分心はうきうきする。

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      • バスローブ膝上ペルシャ猫ワイングラスおじさん

        何となくAmazonプライムで日本の映画作品を見ていたらチュッパチャプスを舐め回しているパソコンマニアが出て来て、更にその先も見ていたら今度は悪の親玉がでっかい水槽の中で悠々と泳ぐピラルクに餌をあげていた。 ドラマや映画の中に出てくるキャラクターの印象は、未だに古来からある「いわゆる」なアイテムや服装を使っていたりするから、そう言う場面に出くわす度、これはもうこの先もずっと他に打つ手はないのだろうかと思ってしまう。やさぐれた探偵は何時の時代も草臥れた革ジャンを羽織っているし、

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        • そこからの井の頭線の最後尾

          渋谷から改札を通って井の頭線の最後尾に乗り込んだら外の方から怒鳴り声のような声が聞こえて来て、何事かとちらりと顔は向けたけど犯人を確認するでもないまま視線を戻してポケットからスマホを取り出した。近くにいてその声に反応した何人かの人達もそんな感じの対応で、ちらりと一瞬目を向けただけで直ぐまた自分の時間に戻って行った。と思ったら今度は逆方向から子供の泣き叫ぶ声が聞こえて来て、私を含めた皆がちらりとそっちの方を向くけどやっぱり出処をしっかり確認するわけでもなく、各々再び元の体勢に戻

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        顔をうずめてはい終わり

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          全ての理不尽を一身に受けてそれでも全然へこたれない

          子供の頃に劇場へ見に行っていた、声が変わる前のドラえもんの映画を最近ずっと見ていて、そしてようやく一通り見終わった。皆こんな声だったなぁ、なんて懐かしさに浸りながら、ワンルームでおじさんが一人涙で毎回目を潤ませて。「大人も泣ける」みたいな謳い文句が子供向けのアニメ映画に使われ始めたのは、確か何年か前のクレヨンしんちゃんの映画がそう言う口コミで話題になってからだった気がするけど、思えば子供の頃に劇場で見ていた時は全く泣いてなんていなくて、ただただワクワクドキドキハラハラしながら

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          全ての理不尽を一身に受けてそれでも全然へこたれない

          どうやらそう言う訳でもないらしい

          お笑い番組を見ていると、「凄い」とか「上手い」とか「高い」とか「出来る」みたいな事が「おもしろ」になる事がある。その逆が「おもしろ」になるのは何となく合点がいくけど、ただただ凄いだけの事や、ただただ高いだけの物がどうしたって面白くなるのはなんでだろう。いかつい高級時計や車が面白かったり、ここぞという場面でバシッと決めたチップインが面白かったり、見事な料理の腕前が面白かったり、誰かの家の玄関に鎮座した大きなオブジェが面白かったり。それ自体は何一つふざけていないのに、人だったり状

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          どうやらそう言う訳でもないらしい

          ボーリング

          吹き出す風に差し込んだ手をひっくり返してひっくり返す ボールをぐるぐる拭いてはみるけど理由は今一分かっていない 窺う視線と佇むピン カコーン じんわりと一歩目は慎重に そのままだんだん勢いに乗って

          ボーリング

          待合室

          とある待合室 若い男と中年の女が静かに順番を待っている 無音のモニターに流れる症状と対策 ちょっとだけ開いた窓からの風でカーテンが時々揺れいてる と、そこへ男が一人やって来る 「こんにちはー」 「予約してないんですけどぉ」 「大丈夫ですよぉ、保険証お持ちですかぁ?」 男はお尻のポケットから財布を取り出すと保険証を引き抜いて女に渡す 「ありがとうございまぁす」 「あの、初めてなんですけどぉ」 「大丈夫ですよぉ」 「どれぐらい、結構掛かります?」 「そうですねぇ、一時間く

          今でもササッと空で描ける

          二十代後半だったろうか、深夜バイトを終えて帰って来た朝方のニュースを何気なく見ていたら、赤塚不二夫さんの訃報を伝えるニュースが流れて来て、天才バカボンを見て育ち、おそ松くんを見て育ち、もーれつア太郎を見て育った私の心と脳みそは、その知らせを聞くなりすっかりぽかんとしてしまって、「えー」とか「まじかぁ」とか時々ぽつりと言ったり思ったりしながら、距離感の掴めないままふわふわと、でも一つも聞き逃さないようにじっとテレビを見つめていた。ご本人とは会ったこともなければ見かけたこともなか

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          例えばチップ初期世代

          「昔は良かった」と昔を生きて今も生きてる世代が言う。それを聞いた今とその先を生きていく世代は「知ったこっちゃない」と撥ね退ける。便利と豊さは必ずしも一緒の所にあるとは限らないという声は何時の時代にもあって、多分この先もずっと言われ続けていくのだろうけど、いよいよ本当に科学技術が進歩して全てが体に埋め込んだチップ一枚で完結するような時代になった時、その時代の若い頃を生きた大人たちは、一体どんな瞬間に「昔は良かった」と思うのだろう。

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          例えばチップ初期世代

          一生恨んでやると心に強く誓うのだ

          私の住んでいる街はファミリー層が多い事もあって、駅周りのそう遠くない距離に保育園が何軒もある。午前中に家を出て駅に向かうとその各々の保育園の園児たちが保育士さん達に連れられて散歩をしていて、隣のお友達君と手を繋ぎながらちょこちょこと歩いているその姿が何とも微笑ましい。純粋な興味に身を任せてあっちを指差したりこっちを指差したり、それでも横断報道に差し掛かると先生のお知らせをしっかり聞いて手を上げて渡っていく。中には時々ぐずっている子や、お母さんが恋しくなったのか突然泣き出す子な

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          一生恨んでやると心に強く誓うのだ

          それでも電車を乗り継いで

          古本屋でギャルを見掛けた事が無い。ブックオフのような大衆的な古本屋なら話は別だけど、例えば神保町にあるような、はたまた吉祥寺の路地裏にあるような、店員さんが一人だけの、レジの向こうで静かに座って本を読んでいるような古本屋には、いわゆるイケイケのギャルはやって来ない。小説や漫画が好きなギャルだっているはずなのに、写真やアートが好きなギャルだっているはずなのに、そう言う本のバックナンバーや掘り出し物が眠っている、ブックオフよりも渋くてマニアックな品揃えが期待できるあの古本屋には、

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          それでも電車を乗り継いで

          男があって、女があって、それ以外にも色々あって

          「女優」と言う言葉がめっきり姿を消してしまった。男だから、女だから、男たるもの、女たるもの、みたいな事を言い切ることが憚られる世の中になって来てしまって、バラエティー番組に番宣でやって来た女性の役者の名前には、もうどこを見ても「俳優」の文字が添えられている。本人の意向を反映しての場合もあるだろうし、多分その場合はその言葉を選んだ本人のしっかりとした意思がそこにある。性別が理由で降りかかる理不尽や不幸は男だろうが女だろうが決して有ってはならないけど、言葉に対する意思も何もない所

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          男があって、女があって、それ以外にも色々あって

          お風呂

          鎖の先にぶら下がったゴムを穴に目掛けてしっかりと押し込む 設定温度はそのままで、換気扇を忘れずに 捻った蛇口はほったらかしでもちゃんと教えてくれるから 後は暫く声がするまで 音楽でもかけながら夕飯の支度

          この渦に飲み込まれていたのか

          柿ピーが止まらない。四年間の歯列矯正がようやく終わり、ご法度だった固い食べ物も遂に解禁され、満を持して酒のつまみ不動のNO.1だった柿ピーを食べたら止められない、止まらない。この四年ですっかり乾ききっていた体は与えたら与えた分だげ柿ピーを飲み込んで、あの味、あの食感、これはもうリバウンドを通り越して中毒の域に及んでいるような気がする。なるほど、いけない悪魔のお薬に手を出して戻ってこれなくなる人達はこの渦に飲み込まれていたのか。(たぶん全然違う)

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          この渦に飲み込まれていたのか

          それはそれはそれは

          遂に、遂に遂に、遂にとうとう遂に遂に、とうとう遂にやっとこさ遂に、遂に遂に遂に遂に、これぐらい重ねれば足りるだろうか、とにかく遂にようやくとうとう、矯正器具が外れたのである。部分的にでもなく、取り外し可能なマウスピース型でもなく、歯の裏側の上と下の全部にがっしりと装着されていた矯正器具が、四年の歳月を経て、今、正に取り外されたのである。この開放感、この身軽さ、このノンストレス。ようやくやっとこさ遂に遂に遂になのである。

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          それはそれはそれは