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【心理学】エンドクレジットの途中で立ち去る人にイラッとする人について【映画館】


▼映画館マナーの意識調査:

人気Twitterアカウントの「坊主」さんが映画館マナーに関するアンケートを取りました。

https://twitter.com/bozu_108/status/1705522395279196599

映画館でイラッとすること選手権。

基本的に坊主さんは24時間以内に貰った返信から優勝者を選ぶスタイルのようです。

そして結果は…

https://twitter.com/bozu_108/status/1705811799864446990

最優秀賞
エンドロールで立ち上がって帰る人

金賞
映画館の椅子の肘置きを左右両方堂々と使われてしまって飲み物置けなくなったとき

入選
ホラー映画等でびっくりした反動でポップコーンをぶちまけてしまう自分に対して

ガラガラなのに隣の席に座ってくる

入選(追記)
スマホの画面やめて!!明るいの!!後ろから見えてるから!!雰囲気ぶち壊し!!やめて本当に!!途中でスマホ見たいなら映画館じゃなくて家でNetflix観てればいいじゃん!

幕間どころか本編始まってもスマホ弄っている奴

上映中にスマホ見るやつ眩しいんだよ

https://twitter.com/bozu_108/status/1705811799864446990
https://twitter.com/bozu_108/status/1705813058075938843

入選が多かったのか、2投稿で発表となっていました。

それだけ接戦だったのでしょうね。実際に追記分は3件とも同じことを主張しているので、得票数を集計したら逆転優勝するかもしれません。まあ票が割れたということで、惜しかったですね。

さて。他は納得できるのですが、最優秀賞だけは少し違和感があります。

最優秀賞
エンドロールで立ち上がって帰る人

エンドクレジットを最後まで観ないのって、そんなに皆イラッとしてるんですかね?

そもそもイラッとするべき態度なのかも疑問です。

だってルール的に「いつ帰るか」は自由じゃないですか。
(映画館に途中退出を禁止するという利用規約はありません)

▼なぜ最優秀賞に選ばれたのか?

坊主さんは人気アカウントで、毎日いろんな選手権を繰り返しており、運営規模に鑑みて、おそらく中の人達は個々の選手権の内容まで見て選考してないと考えられます。いいね数など客観的な数字だけで判断しているのでしょう。

最優秀賞に選ばれた返信には460以上のいいねが集まっており、Twitter利用者から広く共感を集めたことが看て取れます。

https://twitter.com/Planetaxriuxm/status/1705523682779791521

そして、他の金賞や入選のツイートも見ましたが、どうやら、いいね数だけではなく、表示数で順位を判定しているようです。実際に金賞の投稿は580いいねを獲得していました。いいね数では勝ちましたが、表示数でほぼダブルスコアで負けました。

https://twitter.com/rico00110/status/1705523509500510416

しかし、これは話が複雑になってきましたよ。

たとえ反対意見だったとしても返信にさらに返信をつけると、インプレッション数は上昇します。こうなると、広く共感を得た意見だけではなくて、賛否両論で物議を醸した(=炎上した)リプライもまた優勝へのポイントが稼げる、ということになってきます。

今回の最優秀賞は実際に返信への返信(巻き込みリプ)で、そんなの別にイラッとしなくない?みたいなツッコミが複数件ありました。この方は意図してないかもしれませんが、起きている現象は迷惑系YouTuberに多い炎上マーケティングと同じ理屈です。

うーん、なんか微妙な気もしますね。(笑)

誰もが納得する「ぶっちぎりの1位」が居ればこういうことは起きないのでしょうけど。

思うに、坊主さんの運営者が映画館好きとは限らないです。ある統計調査では月1回以上映画館に行くのは日本人全体の1割程度とも言われており、つまり9割の日本人は年に数回程度もしくはゼロということです。だから「映画館でイラッとする事例」を集めても、実感をもって共感できる人はあまり居ないのです。こうなると、数字だけで判断することになります。

そもそも坊主アカウントの管理者が映画に詳しかろうと、詳しくなかろうと、「坊主の選手権は数字で選ぶ」とルールを決めたなら、それを守らないと、他の選手権の信頼も失われてしまいます。不正や八百長に繋がりますので。

一応、参考までに他の入選も貼っておきます。いいね数や表示数からは納得の結果だと言えるでしょう。

https://twitter.com/akatama_go/status/1705531111206756652
https://twitter.com/30Ozp/status/1705523132331852043
https://twitter.com/quryu_ewi5000/status/1705523941861908677
https://twitter.com/dora_renai/status/1705523083501764654

私はこの中ならダントツで上記の赤珠さんのがイラッとしますけどね。昔noteにトナラー被害のまとめ記事を書いたことさえあります。(笑)

上映中のスマホは明確にルール違反なので毅然として注意すれば良いだけなので、あまりイラッとする選手権の優勝って感じではないですかね。トナラーはルール化できないが故にイラッとするしかないと言うか。

入選作品のうち「ポップコーンをぶちまけた自分」というおもしろ回答だけは、なぜかツイートを発見できませんでした。シャドウバンでも掛かっているのでしょうか。

それとも入選して面倒臭くなったので消したのかもしれません。一応、映画館に迷惑をかけた行為の告白になってますからね。入選したことで注目度が上がると、空気を読まずマジトーンで説教してくる輩も居るでしょうから。

こうやって並べて見ると入選以上のツイートはいずれも坊主さんの19時00分の投稿から10分も空けずに即レスしているものばかりですね。内容よりもスピードが重要なことが判りました。

そもそも視聴者の共感を集めたものが優勝するということは、逆に言えば誰でも思いつく内容であるということなので、一人でも先に投稿して支持を集めるのが最も重要なことになるのでしょう。

▼なぜエンドクレジット中に退出者を見るとイラッとするのか?

さて。優勝した理由は判りました。いいねとレスバトルで盛り上がったことで、表示数がぶっちぎりの1位になったからでしょう。

しかし、やや炎上案件だったとはいえ、同意して「いいね❤️」を押した人が多数だったのも事実です。どうしてこんなに共感を集めることができたのか、理由を考えてみます。

私は、4点ほど思いつきました。

●理由1:集中してるのをジャマされて不快

1つ目の理由は【自分に被害が出るから】です。

これは一番自然な感情でしょう。

エンドクレジットが終わるまでが映画だと考えて、最後まで集中したい(余韻に浸るを含む)人は一定数います。そういう人達にとって、前方で立ち上がって視界を遮る人はシンプルに障害になります。

同じ列に座っていた人が自分と膝をぶつけながら出ていくのを経験したことがある人もいるでしょう。もしかしたら靴を踏まれたり、ジュースを溢されたりしたなどの経験がある方がいらっしゃるかもしれません。平成までならともかく、令和2年以降はコロナ禍になって他人との身体接触に強い嫌悪感を持つようになった人も少なくないでしょう。まあこれはマナーの問題になりますが、嫌に思う人にも一理あると思います。

補足)
私個人の意見を書くなら、エンドクレジットは基本的に文字が読めれば十分ですし、欧米の歴史に鑑みるとエンドクレジットは本来「追い出し曲」であるという性質があるので、途中で退席する人の頭でスクリーンが多少隠れても気にしませんけどね。むしろ帰る方が「正しい行動」ですし。まあでも静かな雰囲気で余韻に浸りたい人には嫌なのかもしれませんね。

●理由2:最後に何かあったらもったいないよ

2つ目の理由は【退席する人に被害が出るから】です。

いわゆる「お節介系」ですね。

確かに近年はポストクレジットにおまけ映像が付いている映画が少なくなく、特にマーベル映画はそれを売りにしていたくらいなので、若い方を中心にMCUを入り口に映画に興味を持った人達は座って待つのが当たり前くらいの認識が多いかもしれません。そんな人達から見ると、エンドクレジットの途中で帰ってしまう人達はすごく損をしているように見えて、引き留めたい気持ちにもなるでしょう。

しかし、それでも「イラッとする」まで行くのか?という点は大いに疑問です。

だって他人のことなんて放置すれば良いじゃないですか。自分に迷惑をかけない限りは。ルールを守って公共の施設(映画館)を利用している限りは。どこの映画館に「途中で帰ってはいけない」というルールがありますか?

気掛かりになってしまう所までは理解できるのですが、それで「苛立つ」というのは、どういう思考回路なのでしょうか。そんな簡単に腹を立てていたら疲れませんか?

少なくとも、ロジカルではないです。

もしかして、この心情を「イラッとする」と表現する人達は日本語が不自由なだけなのではないかと心配になります。

あるいは共感性羞恥みたいな感じで自分が損した気分になっているのでしょうか。シンプルに、謎です。

●理由3:作り手に敬意を払えこの不届き者め

3つ目の理由は【作者に被害が出るから】です。

いわゆる「熱狂的な信者系」ですね。

別名で「厄介オタク」とも言います。(笑)

このエンドクレジットの話題になると本気なのかネタなのか判りませんが、Twitterには必ず一定数のこういう意見の人達が現れます。曰く「エンドクレジットにはその作品の関係者の名前が書かれているので、作品と作り手に敬意を示すために最後まで見届けよ」とのことです。

ご冗談を!(笑止千万)

私がこの説を滑稽に感じるのは、その認識が根本的に間違っているからです。

いわゆるデタラメな偽マナーと一緒です。

真実はこうです。エンドクレジットは、本来「追い出し曲」でした。欧米の映画館ではエンドクレジットが始まったらみんな席を立ってワイワイ雑談しながら劇場から出て行くのが普通です。

エンドクレジットは1960年代ごろまでの映画では大変短いものでした。それが時代につれてどんどん長くなったのですが、その理由は関わった撮影クルーの名前をなるべく沢山書くように社会が変わったからです。末端の仕事まで人権を認めるようになったから、どんどん改善されていったのです。

つまり言うならば関わったメンバー個人個人の記念署名みたいなものです。ホラあそこに俺の名前があるぞ!私もこの映画の一部になれたわ!エンドクレジットは作り手が作り手の為にやっているのであって、別に観客に見せたくてやっているのではありません。

例えばスタンリー・キューブリック監督は『2001年宇宙の旅』公開時に、観客に監督が意図した通りの体験をさせるために、劇場に上映指示書を配布しました。そこにはカーテンを閉じた状態で薄明かりのまま序曲をかけて、映写機をスタートしてスタジオのロゴマークが映し出された状態でカーテンを開いて照明を落とせ、など細かく書いてあるのですが、エンドクレジットについては「曲の途中でカーテンを閉じて照明を点けて観客が帰れるようにせよ」とあります。

つまり少なくとも映画史の最重要作品の一つと言える『2001年宇宙の旅』にとっては「途中で帰るのは100%の正解」なのです。(念のために書きますが、別に最後まで座っていてもOKです)

逆に聞きたいのですが、もしあなたが監督になって映画を作ったら、観客には全員に最後までエンドクレジットを座って集中して観てもらいたいと思いますか?

暗闇に文字を並べただけで、そんなことまで求めるんですか?

お金と時間を差し出して自分の作品を観に来てくれた人に対して?

例えば映画にすごく感動して席を立てなかった人が居たら、それはそれで嬉しいですけど、全員に強要することではないでしょう。

要するに、映画のエンドクレジットは恋人同士で電話を切る時のやつと同じなんですよ。うんじゃあね。バイバイ。そっちから切って良いよ。いや、そっちから切ってよ。こんなふうに作り手と観客が譲り合ってるんですよね。つまりお互いの思いやり。

●理由4:本当は私も帰りたいのにずるい

4つ目の理由は【自由な他人への嫉妬】です。

実は深層心理的にはこれが一番多数派ではないかと私は推測しています。

まず、どんな映画でもエンドクレジットを退屈しないで観ていられる人は少数派だと思います。よほど映画の裏方に興味がある人なら話は別でしょうが、9割以上の人はそこまで細かいことは知らなくても平気です。日本の映画ならまだしも、海外の映画であれば書いてあることも満足に読めません。

…となると、できることなら早く帰りたいと思うのは自然です。

最後まで待てばトイレやエレベーターが混雑するかもしれません。

早く席を立てばスムーズに退出できて、結果的に2本早い電車に乗れるかも。

しかし、席が埋まってるから出にくい、誰かの邪魔になりたくない、映画ファン界隈では最後まで観るとしておいた方が評判が良さそう、最後に何かおまけ映像があったら損になる…などの理由を探して、我慢して座っているのではないすか?

そんな時にあなたの目の前に現れるのです。

帰りたい時に帰ってしまう自由な他人が。

私がこんなちっぽけなことを気にして我慢してるのに、ずるい。

自由な彼らはコロナ禍以降にメジャーになった規制退場もすり抜けます。

私はちゃんとルールを守ってるのに、あの人達はずるい。

だからイラッとしてるんじゃないですか?

しかし、それを認めるのは嫌なので①私はエンドクレジットに集中しているんだから邪魔するな②君たちはポストクレジットを見逃しても平気なのかね③作者への敬意を払うために最後まで観るのが礼儀マナーだ!とか別の選択肢を選んだのではないですか?

これは私からの提案ですが、もっと自由になりましょう!

人様に迷惑をかけない限り、エンドクレジットは途中退出しても問題ないと思います。

迷惑というのは、ぶつかったり、足を踏んだり、喋ったり、スマホを光らせたり、という普通のことです。まだ観てる人達に気を遣う素振りを見せつつ、すみやかに退出しちゃいましょう。

作り手だってMCUのような特殊事例を除いて最後まで着席していてほしいとは思ってないでしょうし、万が一に何かポスクレ映像があったところでただのオマケやジョークみたいなものですから、映画本編120分を十分に楽しめたなら見逃しても大した問題じゃないです。興味がないならスパッと帰りましょう。我慢してイラッとするより全然良いですよ。

私はたまたま映画の裏方まで興味があって、かつ英語に堪能である、というそれなりに奇特な人間なので、最後まで比較的楽しんで観れてしまう方です。しかし、それでも早く帰りたい時は途中で切り上げて帰ることがありますね。

私は洋画を観ることが多いですが、英語が堪能なのでエンディング曲の歌詞を聴き取ることに集中していたり、本編に感動できた時は音楽に聴き入りながら余韻に浸っていることが多いので、おしゃべりだけは止めてほしいですね。

●理由1:集中してるのをジャマされて不快
●理由2:最後に何かあったらもったいないよ
●理由3:作り手に敬意を払えこの不届き者め
●理由4:本当は私も帰りたいのにずるい

▼参考:アンケートの結果

さて。気になったのでTwitterでアンケートを取ってみました。

もし読者様の中に回答してくださった方がいらっしゃいましたら、その節はありがとうございました。

https://twitter.com/james_miles_jp/status/1705958666309079241

Twitterは誰が投票したのか全く判らないので本音が見えて面白いですよね。その中でも私が指摘した理由4を選んだ人は少数派でした。でもこの母数でも存在したということは、結構真理を突いてるような気がします。

わずか462件の表示で28票のうち、2票が理由4でした。

私が厄介オタクと揶揄した理由3も、6票ありました。

そして、初回アンケートでは意図的にある要素を省いていたので、募集期間を24時間から48時間に延長して再度アンケートを取りました。

https://twitter.com/james_miles_jp/status/1708381087326732688

この通り、6割の人が「別にイラッとはしない」という結果でした。

これは予想通りでした。

かく言う私もイラッとしない人ですからね。でも、初回ではどうしても理由4に自覚的な人が居るのか調べたかったもので、わざと除外していたのです。

まあ母数は少ないですが一応過半数が「イラッとしない」を選んだとはいえ、半数近くの人が「イラッとする」と回答してるので、やはり途中退出する際はなるべく人の迷惑にならないように最低限の気遣いはしたほうが良さそうですね。(まあ日本で普通に過ごしてれば当たり前のことですが;笑)

初回アンケートでは6票あった厄介オタクが何故か2票に減りました。この人達が「イラッとしない」に鞍替えしたのなら、そういうことを言う人達は単純に【ええかっこしい】なのかもしれませんね。いろいろ憶測が捗って楽しいです。

このアンケートは、本当はもっとフォロワー数が多い人や、影響力のある映画系インフルエンサーの方に実施していただき、数千人規模の投票結果を見てみたいんですけどねー。さすがにサンプル数が100未満では偏りが大きく出てしまうと思うので。

まあでも途中退出の容認派と反対派で論争になりそうですから、炎上リスクに鑑みれば人気アカウントほどやりたくないでしょうね。(苦笑)

了。

最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!