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J1全チームプレビュー 前編

開幕まで残すところあとわずかとなった、明治安田生命J1リーグ2022をプレビューします。

今回は1位〜9位

協力


川崎フロンターレ

ジェジエウの復帰時期が未定

昨シーズン:1位
主なIN:チャナティップ,瀬古樹,松井蓮之
主なOUT:旗手怜央,長谷川竜也

旗手の流出という痛手はあるものの、予想がついていたであろう事から想定の上でチーム作りを進めてきたものと思われる。伸び盛りの瀬古の獲得、大島僚太が一年間通してプレーすることが出来ればむしろ中盤の総合力はアップするだろう。近年ブレイクが続くルーキーも何人か加入。その中でも松井には注目したい。中盤のハードワーカーという今までにいなかったタイプだけに、出場機会を得るまでは長くないだろう。更にはチャナティップという超大物までゲットし、充実のオフとなった。
新シーズンもやはり優勝候補の筆頭。浦和、マリノス、名古屋、神戸などのライバルも強力だが、やはり安定感では他の追随を許さない。リーグ屈指の攻撃力と最小失点を記録した堅守には隙がなく、加えて終了間際のゴールなどの勝負強さも兼ね備える。
強いて懸念を上げるとするならば、昨年起きた負傷者の続出の再来か。昨シーズンは夏場に負傷者が続出。さらに川崎は代表選手も多いため、それらが重なると台所事情は最悪になる。そうならない為にも、ベテランも増えてきたチームはで上手くターンオーバーしながら戦うことが必要になってくる。王者の宿命か、今期も過密日程は必死。若手の台頭も含めたやりくりを鬼木監督には期待したい。正直、毎年できているが。

横浜Fマリノス

布陣表作成後にAロペスが加入

昨シーズン:2位
主なIN:永戸勝也,西村拓真,藤田譲瑠チマ,吉尾海夏,エドゥアルド,アンデルソンロペス
主なOUT:前田大然,ティーラトン,扇原貴宏,和田拓也,天野純

得点王の前田大然の移籍が嘘かのような前線の充実ぶりは流石。特にアンデルソンロペスの獲得は驚きを与えてくれた。札幌で14試合で12得点を挙げて中国に引き抜かれたストライカーは、移籍がなければ昨季も十分得点王を狙えるペースでネットを揺らしていた。2桁得点レオセアラですらレギュラーの座は安泰ではなく、フィニッシャーとして特大のプレゼンスを放つだろう。
懸念はボランチか。スタイルをよく理解し副将としても牽引した扇原が二位を争った神戸へ移籍。加えて攻撃で違いを生み出せる天野も移籍。サイドバックとの両方で計算が立つ和田までも移籍。こうなると求められるのは若い渡辺と、新加入の藤田の台頭だ。前者は昨季先発出場が少なかったが、代表合宿にも呼ばれるなどポテンシャルは十分。スタイルの理解も済んでいる為、確実に頭角を表して欲しいシーズンとなる。後者は昨季の徳島でJ1初挑戦ながら奮闘。二十歳の節目のシーズンにトリコロールでさらなる攻撃面の飛躍を遂げたい。喜田の相方争いを繰り広げることが予想される両者だが、共に若い為、キャプテンでもある喜田のサポートも重要になってくるだろう。
今季も川崎の対抗馬筆頭であり、更には超越を狙う。

ヴィッセル神戸

汰木の適正である左サイドが無いのは気になる所

昨シーズン:3位
主なIN:扇原貴宏,槙野智章,汰木康也,藤本憲明
主なOUT,フェルマーレン,ドウグラス,田中順也

ディフェンスリーダーとして活躍したフェルマーレンが引退退団。初のACLに望むチームにとっては大きすぎる痛手だろう。その穴を埋めるべく、チームは浦和から槙野智章を獲得。とはいえユース出身の小林も質の高いプレーを見せているため、菊池の相方争いに過去の実績は関係無さそうだ。中盤にはマリノスの舵取りだった扇原を獲得。夏に大迫武藤ボージャンを一気に獲得したチームとは思えない手堅く有能な補強である。
汰木康也の獲得は興味深い。彼の適正ポジションは左前目のポジション。しかし昨季から4-3-1-2を採用するチームにそのポジションはない。わざわざ適正ポジションの無い選手を獲得するクラブが何処にあるだろうか。とすると、これはもしかすると新たな布陣の導入が予定されているのかもしれない。もちろん4-3-1-2を軸に、違った戦い方も手札に加えたいのだろう。そうなると考えられるのは4-2-3-1や4-4-2。最前線を好む選手が多いことから考えても、4-4-2が多用されていくのではないか。イニエスタの不在時にはこのシステムがメインになっていたが、汰木の加入でこのシステムが復活するかもしれない。
アジアナンバーワンクラブという壮大な目標へ向け、2年ぶりのACLで王者の座を狙う。

鹿島アントラーズ

上田と鈴木の同時起用があれば面白い

昨シーズン:4位
主なIN:仲間隼斗,キムミンテ,樋口雄太,中村亮太郎,鈴木優磨
主なOUT:永戸勝也,レオシルバ,永木亮太,犬飼智也,遠藤康,白崎凌兵,町田浩樹

伝統的なブラジル路線から、欧州路線への方向転換という大きな動き。それに伴い選手の入れ替わりもそれなりに多かった。
一番のビッグニュースは鈴木優磨の復帰だろう。生え抜き、世界を知ったストライカーの復帰がもたらす恩恵は計り知れない。そして入れ替わるように町田浩樹がベルギーへと旅立った。それにより層が薄くなったCBには名古屋との争奪戦を制しキムミンテを獲得。昨季終盤に頭角を現した関川とのコンビの出来栄えはチームの成績を左右する為、連携の構築は急務。
新10番となった荒木を含め、ファンアラーノ、カイキ、和泉、松村、土居らの既存戦力、新たに加わった仲間、樋口、中村ら、攻撃のタレントはリーグトップクラスに豊富。上田、鈴木、エヴェラウドらは創り出されたチャンスをゴールへと繋げられる。人材は揃っている。ヴァイラー監督がどう料理していくのかに、常勝軍団の復活が掛かっている。

名古屋グランパス

キャプテン丸山の復帰時期は不透明

昨シーズン:5位
主なIN:チアゴ,仙頭啓矢,レオシルバ,酒井宣福,河面旺成
主なOUT:木本恭生,米本拓司,シャビエル,前田直輝,キムミンテ,山﨑凌吾

マッシモ政権が終了し、新たに実績十分の長谷川健太氏を招聘。ACL仕様だった編成を見直しスリムな体制で新シーズンに臨む。
木本とキムミンテの2人が抜けたCBにはエアバトラーのチアゴを獲得。不在だった吉田豊の控えには河面、米本に代わってボランチには念願のレオシルバが加入。前田、山﨑、シャビエルの抜けた前線には酒井と仙頭を鳥栖から迎え入れた。前者にはチームの中枢となっていくことが求められ、後者はシュヴィルツォクの復帰が不透明な最前線で得点源としての役割が期待されている。
コロナの影響で一時全体練習が中断したが、それほど時間がかからず再開出来たようなので被害は最小限に抑えられたか。長谷川監督も経験豊富なので、臨機応変に対応し照準を合わせてくるだろう。最大の目標としているリーグタイトル獲得も、歯車が噛み合えば不可能では無い。

浦和レッズ

最前線への追加補強が噂されている

昨シーズン:6位
主なIN:岩尾憲,モーベルグ,松尾佑介,松崎快,犬飼智也,大畑歩夢,馬渡和彰,知念哲矢,安居海渡
主なOUT:西大伍,宇賀神友弥,興梠慎三,汰木康也,山中亮輔,田中達也,槙野智章,阿部勇樹

ACLの出場に伴って大幅な戦力の入れ替えを実施。実績十分の選手、伸び盛りの若手、J2の有望選手,高校大学年代のビッグネームなど様々な形でチーム力をアップさせた。
中でも、リカルド監督の愛弟子である岩尾憲の加入がもたらす相乗効果は計り知れない。副キャプテンにも就任し意気揚々の35歳は、どんなエッセンスを加えてくれるのか。そして最終ラインには四枠全てににレギュラー級2枚を揃える磐石の体制。過密日程を十分に戦い切れる戦力が整う。2列目も同じように分厚くするべく、切れ味鋭いサイドアタッカーを新たに三枚加えた。J2で異彩を放った松崎、スピード豊かな松尾、未だ全貌がしれないモーベルグ。3人ともJ1で十分に活躍できるであろう選手達であり、誰が出ても浦和のサイドは要注意。だが注意をそこに向けすぎると、ボックスには欧州からの熱視線を浴びるユンカーが虎視眈々とゴールを狙っている。その周辺には江坂、小泉ら代表級のトップ下の姿もあるだろう。
3年計画の最終年となる今季、本気の浦和レッズが川崎を蹴落としてのリーグ戦制覇に臨む。

サガン鳥栖

新戦力が多く、川井新監督の手腕が試される

昨シーズン:7位
主なIN:孫大河,荒木駿太,福田晃斗,藤田直之,原田亘,ジエゴ,西川潤,垣田裕暉,宮代大聖,小野裕二
主なOUT:エドゥアルド,小屋松知哉,白崎凌兵,仙頭啓矢,樋口雄太,大畑歩夢,山下敬大,酒井宣福

昨シーズンの主力のほとんどが退団。特にキャプテンだったエドゥアルドの電撃移籍は精神的にも戦力的にも甚大な影響が見込まれる。闘争心溢れる田代と期待の大卒ルーキー孫大河のポジション争いは横一線で、どちらが開幕スタメンを掴んでもおかしくない。仙頭、樋口という超絶対軸の2人が抜けたボランチには、藤田と福田の2人が古巣のピンチに帰還。特に藤田には若いチームの心臓としての役割が求められる。予想布陣ではダブルボランチとしたが、昨年用いられたアンカー+2IHのシステムになる可能性も十分にあり、そうなった場合は福田がIHで輝きを放つだろう。右のウイングバックに加入した原田は川崎の山根のようなタイプ。守備面では苦しい場面があるかもしれないが、スピードタイプの飯野とは違った形で攻撃に迫力をもたらせる。前線にはJ1主力級の選手たちを確保。宮代と垣田のふたりは共に二桁得点の可能性があり、若い西川は彼ら2人を活かすべくチャンスメイクに勤しむ。また数年ぶりに復帰した小野もシャドーかIHで高品質のプレーが可能。新たに10番を背負い攻撃を牽引する。他にも大卒ルーキーが数多く加入し、上手く噛み合えば上位進出も夢ではない。だがしかし、未知数な部分のが大きいためまずは残留が最低目標か。

アビスパ福岡

ボランチの層が薄めなのは懸念材料

昨シーズン:8位
主なIN:ルキアン,熊本雄太,前嶋洋太,田中達也
主なOUT:ジョンマリ,サロモンソン,Bメンデス

昨季は五年周期の呪いを解き、史上最高の8位でシーズンを終えた。個人的に、前、山岸、志知あたりは引き抜きに合うと思っていたが、基本的には慰留に成功。
チーム戦術の中枢となっていたサロモンソンが退団したものの、同じように攻撃面でストロングポイントを持つ前嶋を獲得。穴埋めと言うよりも、むしろ様々なバリエーションでチャンスを作れそうな印象もある。CBには2人の新顔が加入。大卒でサイズのある井上、フィード定評のある熊本の加入はCBの層を厚くする。中盤には大きな変化は見られないが、少し層が薄い印象もあるため追加補強があるかもしれない。絶対的な存在が不在だった左サイドには、福岡県出身の田中達也が里帰りした。ドリブルはもちろん、ゴール、クロス、守備で貢献できる彼の加入は心強い。逆サイドでは万能型の金森と一撃必殺のカットインを持つクルークスがハイレベルな争い。
そして最前線に加わったルキアンは今オフの補強最大の目玉。他のJ1クラブも争奪戦に加わっていた注目銘柄であったが、見事一本釣りに成功した。昨季J2で得点王の座を射止めた決定力は上のカテゴリーでも十分通用するはずで、二桁得点は至上命題だ。彼も含めた前線の選手が課題だった得点力不足を解消出来れば、ACL出場権も射程圏内に入ってくる。

FC東京

サイドバックが過剰気味

昨シーズン:9位
主なIN:松木玖生,スウォビク,木本恭生,山下敬大,トレヴィザン
主なOUT:渡辺剛,Jオマリ,中村拓海,田川亨介

mixi体制がスタート。アルベル新監督を迎えて改革に乗り出すFC東京は、積極的な補強で戦力をアップさせた。
まずは渡白した渡辺剛に代わるCBとして木本を獲得。本人はCBで勝負したいとの強い思いを全面に押し出しているが、ボランチでのクオリティの高さも特筆するレベルのものである為、最終的には2つのポジションで併用されていくだろう。彼には申し訳ないが、一人の名古屋サポとしてボランチの木本恭生は頼れると言わざるを得ない。大分で大きなプレゼンスを放ったトレヴィザンという左利きも確保し、CBは安泰。対してサイドバックは過剰気味な印象も抱き、もしかすると開幕後の売却もあるかもしれない。GKには仙台で永遠と打ち込まれるシュートを掻き出し続けたスウォビクが加入。心身ともに国内では五本の指に入る実力者だろう。安部とボランチを組む相方には松木を推したい。欧州でのプロキャリア開始が予想されていたが一転して首都圏のクラブに加入。テクニックとフィジカルは高校生離れしており、すぐにレギュラーを掴んでもおかしくない。一方全線に目を移せば田川がポルトガルへ挑戦。しかしながら嗅覚に定評のある山下で十分カバーできる。
改革元年となる今季だが、各ポジションに役者が揃った2022年、いきなりの躍進にも期待がもてる。



後編へ続く



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