211-220|#140字小説
211 / 2019.01.10
ぎんいろの光がねむるきみの髪を攫う。寝顔を眺める月と私。頬を突けば、きみはうにうにと唇をうねらせた。月が綺麗だね。幸せな空耳に、この夜に理由をしるす手つきで窓の滴を拭う。濡れた指、ぎらぎらと光り合う私たち。瞼裏のような暗闇はきっと愛の終末で、ねむり続けるきみが少しいとおしかった。/ 花を摘む夜のこと「瞼」「終末」
212 / 2019.01.12
すこし弛んだきみの腹の、手術痕をなぞる。皮膚は横に臓器は縦に切るらしいと聞いたとき、ひそやかな