伊藤義康

講談社ブルーバックス「分散型エネルギー入門」(2012年5月)で、再生可能エネルギーと…

伊藤義康

講談社ブルーバックス「分散型エネルギー入門」(2012年5月)で、再生可能エネルギーと新エネルギーによる発電技術をまとめる機会がありました。現在、急速に脱炭素化が進められていますが、その後、日本のエネルギーはどうなったか?大変心配しています。

最近の記事

6.減り続ける水力発電の発電量

 FIT制度が導入された2012~2015年、大規模水力発電を除く再生可能エネルギーの設備設置容量の年平均伸び率は25~27%にまで急上昇したが、2016年以降は伸び率が若干鈍化する傾向を示した。  それでは再生可能エネルギーの主力である水力発電に注目し、2011年の東日本大震災以降のFIT買取価格と発電電力量の推移をみてみよう。 6.1 水力発電のFIT買取価格の推移について  水力発電開発の歴史は古く、大規模水力発電の開発はほぼ終了し、新規立地は少ないとして、2012

    • 5.順調に増加?再生可能エネの導入

       再稼働した原子力発電所の発電電力量は、安全対策が完了することで2024年以降の増加が期待できる。  一方、CO2排出が問題の火力発電の発電電力量は微減するものの、福島第一原発事故前の2010年レベルに戻ったのが実情である。  それでは再生可能エネルギーは本当に増加しているのか?2011年の東日本大震災以降の国内の再生可能エネルギー導入状況をみてみよう。 5.1 固定価格買取制度の導入  まず、再生可能エネルギーの普及に大きな影響を与えたのは、2012年7月1日に施行され

      • 4.2010年レベルに戻った火力発電

         原子力発電所の再稼働は、原子力規制委員会の審査のもと厳格に進められている。再稼働したPWRの発電電力量は安全対策が完了することで、2024年以降に発電電力量の増加が期待できる。  ならば、CO2排出が問題の火力発電の発電電力量は減少に向かうのか?2011年の東日本大震災以降の国内の火力発電の抑制状況について、より詳しくエネルギー事情をみてみよう。 4.1 福島第一原発事故前後の火力発電  1997年12月、地球温暖化防止京都会議で「先進国は2008~2012年の間に19

        • 3.停滞する原子力発電所の再稼働?

           2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画で示された2030年を目標とした発電電力量構成比には、まだまだ道は遠いようである。特に、原子力発電の再稼働が順調に進んでいないとの報道もある。本当か?  2011年の東日本大震災以降の国内原子力発電の再稼働状況について、より詳しくエネルギー事情をみてみよう。 3.1 原子力規制委員会の設置   福島第一原発事故後、「原子力規制委員会設置法」の公布に伴い、2012年9月に国家行政組織法3条2項に基づき、環境省外局に独立性

        6.減り続ける水力発電の発電量

          2.直近10年のエネルギー動向は

           日本の経済状態は?エネルギー供給は?本当に大丈夫だろうか?多いなる疑問を抱いたら、広く情報を収集して、分析することが重要であろう。 2.1 福島第一原発事故の前後  直近10年間に注目して、経済産業省が公表している電源別の発電電力量をみてみよう。ただし、図2の石油等にはLPG(液化石油ガス)やその他のガスが含まれている。また、再生可能エネは、水力発電のほかに、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電が含まれている。   福島第一原発事故前の2010年における発電

          2.直近10年のエネルギー動向は

          1.日本のエネルギー供給は大丈夫か?

            1.1 おさらい  図1には、1970年代から現在に至るまでの一般電力事業者による発電電力量の推移と、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)の構成割合を示す。  ここで一般電気事業者とは、大手電力会社10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)を指している。  日本における主要電源は、1965年頃までは水力発電が主体であった。しかし、1973年の第一次石油

          1.日本のエネルギー供給は大丈夫か?