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8.回り続けるのか?風力発電

 FIT制度が導入された2012年の太陽光発電の発電電力量の年平均伸び率は78.3%と高いが、2013年以降は年平均伸び率は減少傾向を示している。
 仮に2022年の年平均伸び率7.5%をキープできれば、2030年には1600億kWhに到達する。
第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の14~16%とする太陽光発電の電力量目標(1302~1504憶kWh)をクリアできるか微妙である。

 それでは再生可能エネルギーの中で注目度の上がってきた風力発電について、2011年の東日本大震災以降の発電電力量の推移をみてみよう。


8.1 風力発電のFIT買取価格の推移について

 2012年7月のFIT施行で、風力発電は、出力:20kW以上、20kW未満に区分された。当初に設定された買取価格と買取期間は、それぞれ22円/kWで20年間、55円/kWhで20年間であった。

 2014年4月、風力発電20kW以上の陸上大型風車について積極的な導入が進められたが、買取価格の引き下げは行われなかった。新たに陸上風力に比べてより多くの適正立地が期待される洋上風力が区分に追加され、買取価格は36円/kWh、買取期間は20年が設定された。

 2017年4月の改正FIT法の施行で、出力:20kW以上、20kW以上のリプレース、20kW未満、洋上風力の新区分が示された。20kW以上の買取価格10月以降21円/kWhに引き下げられた。新たに20kW以上のリプレース18円/kWh、買取価格は20年が設定されたが、その他は変化なしである。

 2018年4月には、陸上風力陸上風力上のリプレース洋上風力は着床式、浮体式の新区分が示された。
 
経済産業省は低コスト化を促して競争力を高めるとし、陸上風力陸上風力のリプレースは買取価格を20円/kWh、17円/kWhに引き下げ、洋上風力の着床式と浮体式は36円/kWhと変化なしであった。
 海外メーカー参入が活発化した20kW未満の小型風車は除外された。

 2020年4月、風力発電は、入札制度適用の陸上風力陸上風力陸上風力のリプレース着床式洋上風力浮体式洋上風力に新しく区分された。陸上風力とリプレースの買取価格は19円/kWh、16円/kWhに減額され、着床式洋上風力は入札方式として一層の低コスト化をめざすが、浮体式洋上風力は変化なしであった。

 2021年以降は、陸上風力とリプレースの買取価格は毎年1円/kWhの引き下げが続けられた。
 一方、着床式洋上風力は入札から買取価格32円/kWhに移行し、2022年は29円/kWh、2023年には再び入札方式に移行した。一方で、浮体式洋上風力は変化なしが継続された。

 資源エネルギー庁が示す2020年の発電単価(陸上風力19.8円/kWh、洋上風力30.3円/kWh)と比較すると、洋上風力に”うまみ”のある買取価格の設定であるが、先行する陸上風力とそのリプレースに関しては厳しい買取価格になっている。

8.2 風力発電の発電電力量の推移

 直近10年間に注目して、経済産業省が公表している電源別の発電電力量から、風力発電による発電電力量のみを切り出してみよう。

 FIT制度が導入された2012~2016年、風力発電の設備設置容量の年平均伸び率は4.6%程度で上昇傾向を示した。2017年以降は伸び率は隔年で変動するものの、平均7.2%でさらに上昇傾向を示した。しかし、2022年はー1.1%と減少した。

 仮に伸び率7.2%で発電電力量が増加を続けた場合、2030年には162億kWhに達する。これは、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の5%とする風力発電の電力量(465~470憶kWh)の1/3程度にとどまる。

図9 2010年以降の風力発電電力量の推移 出典:経済産業省

 なぜ、風力発電は第6次エネルギー基本計画で設定した目標値に達しないのであろうか?先行した陸上風力のリプレースが順調に進んでいないとの報道がある。何故か?
 一方、最近は洋上風力に関する報道を多く目にするが、2030年に間に合うのか?多くの疑問が生じることから、さらなる情報収集が必要である。 

 次に、2011年の東日本大震災以降の国内の地熱発電の導入状況について、より詳しくエネルギー事情をみてみよう。(つづく)


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