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9.停滞が続く地熱発電の導入
FIT制度が導入された2012~2016年、風力発電の設備設置容量の年平均伸び率は4.6%程度で上昇傾向を示した。2017年以降は伸び率は隔年で変動するものの、平均7.2%でさらに上昇傾向を示した。
このまま伸び率7.2%で発電電力量が増加を続けた場合、2030年には162億kWhに達すると予測される。これは、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の5%とする風力発電の電力量(465~470憶kWh)の34.4~34.8%にとどまることになる。
それでは再生可能エネルギーの中では注目度の低い地熱発電について、2011年の東日本大震災以降の発電電力量の推移をみてみよう。
9.1 地熱発電のFIT買取価格の推移について
2012年7月のFIT施行で、地熱発電は、出力:1.5万kW以上、1.5万kW未満に区分された。当初に設定された買取価格と買取期間は、それぞれ26円/kWで15年間、40円/kWhで15年間であった。
この地熱発電の導入に関して様々な規制緩和が進むものの、根強い地元の反対が壁となり、普及は遅れているのが現状である。FIT買取価格についても変化なしの状況が続いた。
2017年4月の改正FIT法の施行で、新たにリプレースの価格区分が追加され全設備更新型リプレースでは、1.5万kW以上と1.5万kW未満について、それぞれ20円/kWhで買取期間15年間、30円/kWhで15年間と設定された。
地下設置流用型リプレースでは、1.5万kW以上と1.5万kW未満について、それぞれ12円/kWhで買取期間15年間、19円/kWhで15年間と設定された。
その後も、地熱発電は忘れ去られたように、2023年に至るまで買取条件に変化はみられない。
最近では立地の容易さからバイナリー発電に注目が集まっている。しかし、一般にバイナリー発電の1基あたりの出力は低いため、地熱発電の発電電力量に及ぼす影響は限定的なのが現状である。
資源エネルギー庁が示す2020年の発電単価(地熱発電17.4円/kWh)と比較すると、井戸さえ見つかれば発電事業者に”うまみ”のある買取価格の設定である。また、稼働年数が40年と長いのは利点である。
9.2 地熱発電の発電電力量の推移
直近10年間に注目して、経済産業省が公表している電源別の発電電力量から、地熱発電による発電電力量のみを切り出してみてみよう。
FIT制度が導入された2012~2015年、地熱発電の設備設置容量の年平均伸び率は0%で推移し、2016年以降も、2019年と2020年に若干の伸びを示したものの、概ね年平均伸び率は0%である。
現状のままでは、2030年の地熱発電の発電電力量は30億kWh以上に拡大する見込みはない。これは、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の1%とする水力発電の電力量(93~94憶kWh)の31.9~32.3%にとどまることになる。
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何故、地熱発電は第6次エネルギー基本計画で設定した目標値に達しないのであろうか?そもそも、地熱発電は固定価格買取制度に魅力を見いだせないのであろうか?政府は地熱発電の普及に積極的に取り組まない理由は?多くの疑問が生じた場合には、さらなる情報収集が必要である。
以上から、2011年の東日本大震災以降の国内のバイオマス発電の導入状況について、より詳しくエネルギー事情をみてみよう。(つづく)
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