見出し画像

ぶつかるなにかの話/エッセー


 ぶつかって、破裂して、ぼたぼたと垂れたものは広がって、それはどうなる?エナメルみたいにつやつやで、海のように小さな波がたくさん立って、ざっぶーーん!!!陸に向かうたび、波はひとつになって、ざざーーーんと。エナメルの液体は鳴る?ショッキングなピンクだったり、ターコイズなブルーだったりする?
 ぶつかって、破裂して、波になって、それからどうなる?どこからか粉が表れて、混ざって、お団子みたくこねこねと練られたら、小さなまん丸になれるのかも。その薄皮は、どんなピンクだったり、どんなブルー?あたらしくて、あざやかでちょっとまぶしいくらいのイエローが混じっているかも。
 ぶつかったら、破裂するかもしれない。波になるかもしれない。エナメルじゃなくて、スエードのようかもしれない。色なんて、ないかもしれない。でもたくさんの方向にゆれる波はそのまま。こねこね練られることはないのかも。うすく引き伸ばされたり、小さく分裂して、そのうちのひとつは砂漠にでも旅立つのかも。そうなったとき、どうなるの?それは多分、そういうことなんだと思う。ぶつからないように、破裂しないようにしていたら、なにかが変わる?それから、それから…。
 ほそくてほそいひと刺しの針でつんつんすると、なんにもないや。空気さえも。だから、ぶつかることを恐れない。痛くない、目を開けていられないほどのあざやかさがあるだけ。破裂することを恐れない。それは、目にあたらしい輝きをつくるランダムなひかり。ときどき、ざっぶーーーん、ときどき、ざざーん。波は小さく揺れながら。私は生きていることを感じながら。



エッセー:ぶつかるなにかの話

◎スマホ用待ち受け画像 - ダウンロード
エッセーのテーマイラストを、スマホ待ち受け画像としてダウンロード可能です。
※背景は薄いグレー、描き下ろしのインク画
※待ち受け対応しやすい9:16の比率(サイズ) 

画像1

画像2

※改変や複製、再配布など二次使用・商用利用等は禁止。個人の利用のみ許可。


isshi@エッセー


たくさん書きます。描きます。たくさんの人の心に届きますように