見出し画像

ホトケノザはホトケノザではない!?徒然なる春休み(2)

(前回の続きです)
 
なんと!ホトケノザはホトケノザではない?!もう少し詳しく書いたものがないかなって、図書館の本棚を探してみたら、『子どもと一緒に覚えたい 道草の名前』(発行:マイルスタッフ)にもありました。


「春の七草の『ホトケノザ』とは別物」ってタイトル付きで!この本は、道草図鑑だからか、各ページ「〇〇を摘んだら」というコラムもあり、「ホトケノザを摘んだら」には「花びらを軽く摘んで引っ張ると、スッと抜ける。その奥をチューチュー吸うと甘い蜜の味。子どもにそのことを教えてあげれば、当分の間ミツバチのごとく蜜探しに夢中になるだろう。」とありました。
 
いぁや~私は教えた覚えはないのですが、野性の勘でしょうか。当時の次女の甘味補給としてホトケノザには大変お世話になっていたようです。ちなみに、こちらのホトケノザは「食べても毒はないが、茎は角張って固く筋があり、苦みがありおいしくない。」とありました。お間違えの無いようお願いします。
 
さてさて、それからまだまだどうも気になる私は図書館で「春の七草」に関する本ないかな~って、いろんな棚(栄養学の棚、野草の棚、伝統食の棚、おしゃれ雑誌の棚、子ども料理の棚…)を物色しまくったのですが、どうもしっくりこず、他にもっといいネタないのか?と、消化不良気味で帰宅しました。そして次の日、何気に見た朝刊一面3段広告(書籍)に『牧野富太郎植物記 ◎内容……春の七草/……』とあるではないですか!早速図書館に行きました。
 


*2018年3月22日山陽新聞朝刊
 


*牧野富太郎『植物記』(バベル社)
 
ありましたありました!牧野先生ったら、ご著書の中に
「…ホトケノザを試に煮て食つて見たまへ、ウマク無い者の代表者は正に此草であると云ふ事が分る、然かし強ひて堪へて食へば食へない事は無からうがマー御免蒙るべきだネ」
とまぁ散々なコメント。ムフフ、こういうのを探していたのよ!と思いつつ、読み進めていくと
「…貝原先生も之れを『正月入日七草ノ一ナリ』と書いてゐらるゝが是れも亦間違ひである。さうかと思うと同書(『大和本草』)タビラコの條に『本邦入日七草ノ菜ノ内佛ノ座ナリ、四五月黄花開ク、民俗飯ニ加へ蒸食ス又アヘモノトス味美シ無毒』と書いてあつて自家衝突が生じてゐるが然し此第二の方が正説である。」
とある。あらら…さらに『大和本草』によると、この見た目も全く違う2種が同一だと書かれていることから、
「貝原先生もちとマゴツイタ所があることが看取せられる…」
など延々と続く。牧野先生ったら…(敷居が高いと思っていたらこんなに言いたい放題だとは。また時間をかけて『植物記』を読んでみたいと思います)。
 
さて、貝原先生こと貝原益軒は、江戸時代初期に活躍した福岡藩の本草学者であり儒学者。『養生訓』を記した人と言えば「聞いたことある!」とピンとこられる方が増えるのでは。現代でも、ビジネスマン向け健康コラムなど、時々「『養生訓』に学ぶ」を目にします。
 
話がかなり長くなりましたが、あの!貝原先生だって気付かなかったのに、私たちは「間違っていた!ということに気付けた!」ってラッキーだよねと思った春休みの図書館。消化不良も解消されて我が家にたどり着き、何気に本棚に目をやると『野の花ごはん』!?あら~~ここにちゃんと「春の七草」のこと書いてあるではないですか…かなり回り道した気分ですが、そういうのもたまにはいいかも。ちょっとのんびりと「春」をいただきたくなりました。って……


『野の花ごはん』(作.前田まゆみ。白泉社)
 
のんびり春モードになっていると、我が家の敷地内で巨大化した「ふきのとう」を発見(早く摘んで調理せねば!焦)。結局、のんびりモードは”憧れ”で終わる私です。


※梅の木の下の若草色の塊が「ふきのとう」です

次回の記事はこちら