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エッセイ | 性別で変わる考え方

2023年7月23日に広末涼子とキャンドル・ジュンの離婚が発表された。

6月7日に不倫報道が世に出て以降、キャンドル・ジュンの記者会見や、『反広末』とあおるマスメディア、鳥羽氏のインタビュー記事など、さまざまな出来事がおこった。

それらが世に出ることでネット上でもさまざまな記事が出現し、読者の感情をあおるような、扇動するような意見を目にすることが多かった。

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私はというと、この不倫報道がされてから今日までTwitterやnoteで「一般の人」の意見を見ていた。自分以外の人がこの騒動をどう考えて見ていたのかを確認していた。

その中で思うのは、単純に考えてしまえば女性は広末涼子を擁護し、男性はキャンドル・ジュンを擁護することが多いと感じた。擁護しなくても、男性は広末涼子や鳥羽周作を非難し、女性はキャンドル・ジュンを非難する傾向が強い。もちろん、私が見ている内容が偏っている可能性もあるので絶対とは言い切れない。

恐らく、性別によって考える方向が決められてしまっているのだと思う。女性的な考え方、男性的な考え方として、意図して考える時の経路を変えない限りはそうなってしまうのだと。

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広末涼子の写真や動画をニュースで見るたびに、私は『秘密』を思い出していた。1998年に刊行された東野圭吾の小説であり、1999年には滝田洋二郎にて映画になっている。その時の主演を務めたのが広末涼子だった。

『秘密』はある家族の物語となっており、主人公が夫で、映画の際は小林薫が演じた。その妻が広末涼子である。この2人のダブル主演であった。

広末涼子をきっかけに映画『秘密』を思い出し、それをきっかけに私が小説『秘密』を読んだ理由を思い出した。私は根っからの伊坂幸太郎ファンのため、その他の作品を読むことが少ない。東野圭吾作品は『手紙』しか読んだことがなかった。

『秘密』を読んだのは大学時代に講師から読むことを勧められたからだ。講師から勧められたのは私と異性の友達で、「この世で1番おもしろい小説だ。だけど、君たちの感想は全く違うものになるはずだ」とだけ言われた。

そんなことがあるのかなと思いながらも私たちは読んだ。

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読み終わった後に、講師と私たちの3人で感想の発表を簡単に行うと、確かに感想は全く違った。「おもしろい」という感想は共通しているのだが、まず小説をどのような視点で読み進めたのかが違っていた。

私も友達も、自分の読み方が正しいと思っていたために、全く違う感想がお互いから出てきたので驚いていた。ただ、講師だけはそうなることを見通していたようで笑っていた。

「この小説は男性と女性で読み方が変わってくると思うんだ。お互いの感想を理解することはできても、その読み方で1冊を読み切ることはできないし、感じることもできない。お互いの考え方が根底から違うということだけが理解できる」

講師は何人もの学生に同じ話をしているそうで、そのどれもが同じ結果となっているそうだ。男性の感想と女性の感想に分かれるという。

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結局のところ、人の考え方なんてそれぞれが違っていて当たり前。そんなことは分かっているけれども、同じ結末を迎える物語でも女性と男性で違う結末に感じる。それは今まで生きてきた環境が違うから。女性としての視点で世界を見つめ、男性としての見方でこの世を歩いてきたから。

うれしいと感じることも、嫌だと思うことも、悲しむ理由も何もかもが違う。

それを理解しなくてもいいから、違いがあることを覚え、自分が行動する時には思い出しなさい。

私は『秘密』を通して、講師からそのように言われた気がした。いつも飲みの席で話をしていたので踏み込んだことは言われなかったが、多種多様な生き方がある世の中で、批判するのではなく、どこまで寄り添おうと思えるかが成長につながると思う。



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