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WAKIMIZU

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散文詩など
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#詩

端的に言って

端的に言って

雨は防御を多く持つものにもそうでないものにも等しく落ちてくるがそれは平等ではない

甕に漬け込んでやりたい

甕に漬け込んでやりたい

甕に漬け込んでやりたい

雨は防御を多く持つものにもそうでないものにも等しく落ちてくるがそれは平等ではない

2時間弱、午後、文月

お願いだからもうやめて
だってさっきも言ったのにやめないから
いつまでもいつまでも音を鳴らすから
暗い空
午後1時
一瞬の光

思い出しちゃうじゃん
もう何も思いたくないのに
悔しいくらいに
思い出しちゃうじゃん

この季節
もしもここにいたら
私は音をかき消すくらいに
心臓を響かせただろう
外の世界は
何も気にならないくらい
強い鼓動を

落ちる!
走る!
光る!
困る!

今はただ私は1人で

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入日

風が吹いている夕立の後
世界がオレンジ色に染まって
伸びてゆく影のその中に
鮫が居る

さっき空から落ちてきた雫が
キラキラと燃えて輝いている
もうすぐ入日の風景に
鮫が居る

紫色が薄まって
だんだん空は真っ白くなり
一番星を見つけたそのとき
鮫が居る

入日が過ぎて
影は無くなった
全ての地面を奴らが泳げる
鮫が来た

屋内に逃げようか
水に飛び込もうか
高いところに登ろうか
全部きっと意味が

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雨を待っている

雨を待っている

雨を待っている
雨を待っている

充満した水分
鈍いオパール色に垂れ込めた午後の空
その空の中で一番濃い色の
重力に負けそうな
あそこがついに諦めて水を地面に渡し始める瞬間を
私は今
固唾を飲んで待っている

前を歩く学生服の人が空を見上げた
あの人も待っている
あの人も待っている

今か今かと待っている

まだ灯らない丸い街灯が
水滴を受け入れる為一層丸みを帯びた

そしてついに腕に感じる小さな

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旧友

旧友

街道沿いの派手な家
君の遺影
シミの綺麗な壁紙に姿勢が良くなっている

昔からせめて並んで歩きたいなって
思っていたけど
私には今こんなにあるなんて
多すぎる
君の分だったのかな?

鏡張のビルの中の空に
季節外れの鳳蝶が必死に入ろうとぶつかり続けていた
のを思い出した
あの時も今も何も助けられないまま
変わったのは季節の通りに強く飛ぶ鳳蝶だけ

胡蝶の夢

誰かの綺麗な夢の中だけで
生きていられたらいいのになぁ
四季全ての花が咲き乱れて
光が それは柔らかい光が漂っているの
そんな夢の中だけで

朝が来ても、やることはたった一人分の洗濯だけで
気付くとうつらうつらと二度寝して
結局三度洗濯機を回す羽目になった

お昼ご飯はパインアップル
芯を取らずに食べられるやつ
それだけでいい
一人では

去年育てた蝶はきっともう土に還った
今年育てるのは自分

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目覚めの気持ち

人の大切な物を壊す夢ばかり見る

自分の大切な物さえ壊せない臆病者のくせにね

私は私の空いた口を塞ぐためだけに手を使って

そのまま転げ落ちて

頭を打って

死ぬのだ

椿

寒い

寒い
だってそうです誰も
そうするしかないと諦めているから

寒い
砂漠の遠くで冷えていく
体を心を暖められないから

寒い
たった一つのものも
守れぬしがない手は何のためにある

寒い
近くの街にて冷えていく
心を体をしかと知っていながら

寒い
それさえもどうにもならない私に
あの命に涙を流す権利はあるのか

必殺技の内訳

恋に落ちてしまえ
お前も
お前も
お前も

恋に落ちてしまえ
お前も
お前も
お前も

此れを奉り給え
ガランゴ
ガランゴ
ガランゴ

此れを奉り給え
ガランド
ガランド
ガランド

暮なずむ

鳥に注意してね
ギャランボ
ギャランボ
ギャランボ

鳥に注意してね
ミャミャンミャ
ミャミャンミャ
ミャミャンミャ

竹藪出来た
出来たら笑え
笑え 笑え
山笑え

これは呪いですよ
シャランシャ
シャ

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ダークサイドです。お気をつけ下さい。

あっという間に、薩摩芋のジャムも凍えた星月も、桃とジメジメ畝る闇に取って代わるでしょう。

危ないほどピンク色の夕暮れ
足が縺れた
歩けるはずの平らな道
日が沈む
日が沈む
日が沈む

トロッとした闇は香る
鎖と同じ温度が首を縛る
玉虫色に魅了されてはいけない
あの言葉を聞いてはいけない
耳と目は塞いでも
脳の中から見えて聞こえる
見えて聞こえる
見えて聞こえる

古い指輪の夢

海辺では何も聞こえない
サラサラと砂の落ちる
ザワザワと波の押し寄せる

縞模様の中に取り残された
高いところから落ちたせい
頭を打ったから鮮明になってしまった

口から何かがするすると
身体中をペイズリーが這い回っている
とても気持ちが悪いけれど
それではどうぞ
CGの中で必死に
必死にチャールストンを!

1.2.3.4.1.2.3.4.1.2.3.4.1.2.3.4前!後ろ!前!後ろ!
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ニューロマンティク

梅林の雑踏
蓮華畑のピンク

光が肩をすり抜ける
大きな袖が靡く
飲み水に顔を浸した
前髪が垂れる

紋白蝶が羽ばたく大きな音
杜若の口づけ

迷いが胸に被される
小さな声が消えて
追い風に強く願った
藍染の浴衣

太陽が燃え尽きる直前の香り
黄金の田が揺れる波

鏡越しの暴風雨
ミュグレーのダンス
回路の変換
黙る赤い山

ワルプルギスの霄

ミーハーなのよ。下世話なのよ。それが1番楽しいでしょう?ねェそうでしょう?

そんなことより花を一輪頂戴。1番真っ黒のをね。

ローリーかよこエズラさちよソフィマリアンエルシー芙蓉ねェそうでしょう?

どんなことよりソレの話が楽しい。1番楽しいのよね。

ジャスミンの香りが充満していても もう誰も気づかない。私達しか気付けない。

こんなに芳しい夜になったから この闇は私達のも

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令和初期、サンセットシティはいい天気

カムパネラは街中鳴り響き
不浄の切っ先がひび割れる 畏る 淡い海 桃源郷

サンセットは街中グラデーション
無常の一刻は迫り来る 私にも あなたにも 平等よ

大都会に住んでいたって 私の家の近所には
躑躅も藤も木香薔薇も 目が痛いほど咲いている

悲しいことが起きたって逃げられない 帰れない
ドルマンスリーブは空を飛べない

橙に桃紫藍色
苦渋の選択が下される お菓子にも 鸚鵡にも 想像よ

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