韓国BL映画「後悔なんてしない」(No Regret)

主演：キム・ナムギル、イ・ヨンフン
2006年
いしゃーしゃ的オススメ度：★★★★☆
(写真＝KOFIC韓国映画振興委員会公式サイトより)

久しぶりにプライムビデオを開けたら、真っ先に「あなたの興味がありそうな映画」で出てきたこの作品。私の趣味をわかっていらっしゃるプライム様(笑)。もしかして、私が観てるアレとか、アレもわかっちゃってるとか(笑)？なんと、先日試聴した韓国映画「Night Flight」（これはプライムで視聴していない）と同じ監督の作品、しかもこれが韓国で初めて出された同性愛をテーマにした映画ということで、観てみることにした。
というか、現在ハマっている配信中のタイBLドラマと中国ドラマが水〜土にかけて出るのだが、木曜日から土曜日はこの2つの視聴に集中するので（中国ドラマは毎週6エピソード出るのである）、それ以外の日に他の作品を観ることにした次第。でも、いい加減視聴中の華流ドラマ何本かも終わらせなくてはならないのだが。。。

すれ違う二人の想い

イ・ヨンフン演じるスミンは孤児院育ちだが、18歳になり自立しなければならないため、夢を抱えてソウルにやってくる。昼間は工場で働き、夜は大学受験のための予備校、そして代行運転のアルバイトに明け暮れる毎日であった。
ある晩、代行運転で若い男性客を家まで送っていく。お金を忘れたので家まで一緒に取りに行くが、もう一杯飲まないかと誘われる。下心を感じたスミンは断る。

工場でリストラがあることになり、スミンもその対象に選ばれてしまった。解雇を告げられた日、会社のお偉いさんたちが工場に来るのだが、なんと理事長の息子というのが、先日代行運転で送って行った若い男性客、キム・ナムギル演じるジェミンであった。そして彼のコネで、スミンの解雇は取り消されることになったのである。

納得のいかないスミン、やけになって辞めて別の仕事を探すが、皿洗いなどをするもお金が全然貯まらない。そのうち孤児院の先輩の紹介で、専門クラブで男娼として働くことにする。

一方ジェミンはスミンと再会したくて、色々と探し、遂にクラブで働いていることを突き止める。そして客となって彼を指名するのであった。しかし、スミンは一度は相手をするものの、ジェミンを客としても拒否する。
しかしそれぞれの想う気持ちを抑えることができず、ついにスミンもジェミンの愛を受け入れることにするのであった。

二人が幸せな日々を過ごすのも束の間、ジェミンには婚約者がいた。母親そして婚約者が着々と結婚式の日程や新婚旅行の準備を続けている。
何も知らないスミン、ある日ジェミンと連絡が取れないので、彼の家に行くと、そこには婚約者がいた！

身分の格差、偽装結婚

この映画の監督イ＝ソン・ヒイルは韓国で初めて同性愛者であることをカミングアウトした監督だそうで、現在ではLGBTQ啓蒙関連の人権活動をいろいろとしているらしい。この作品以降、いくつか同性愛をテーマにした映画を出している。

ただ、ここでは同性愛だけでなく、一気に男娼の世界も描かれており、今でこそ様々な作品が出ているが、公開当時はセンセーショナルだったのではないだろうか。しかし、同性愛だけではなく同時に、孤児と大企業の息子という身分の格差の関係もテーマとしてあるだろう。孤児が社会に出てからの現実、自立してからの大変さなどが、男娼クラブで働く男たちの話からも垣間見られる。逆に、大企業の社長や理事長の子供はコネでなんでもでき、兵役だって免除されてしまう世界なのだ。

また、ジェミンの両親は息子がゲイであることを知っている。母親は男と遊んでいても構わない、妊娠させることもないし、問題ないと彼に言い切るのだ。つまり、世間体のために息子を女性と結婚させようとする、偽装結婚である。劇中では言及されてなかったと思うが、おそらく会社と関係のある政略結婚なのだろう。

男娼クラブでのシーンや、ラブシーンも出てくるので、BLに興味がない方や苦手な方には無理にお勧めはしないが、やはり韓国初の同性愛をテーマにした映画ということで、その後色々な作品に影響を与えたものではあると思うので、興味を持たれた方は是非。私は初めて観たが、この映画公開当時は「イ・ハン」という名で活動していた実力派俳優キム・ナムギルの代表作でもあるようなので、韓流の好きな方にも興味が持てるかもしれない。

こちらは日本語字幕付き予告編。現在Amazonプライムで視聴可能。

同じ監督による「Night Flight」の記事はこちら↓