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フィリピン(LGBT)映画「Changing Partners」

主演:( )内は役名:Agot Isidro(アレックス)、Jojit Lorenzo(アレックス)、Sandino Martin(クリス)、Anna Luna(クリス)
2017年 92分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=GagaOOLalaより)

あらすじはあまりよく読まなかったけれど(←いつものこと)、なんとなく惹かれて観てみたフィリピン映画。記事のタイトルに「LGBT」と入れているが、多少そういう要素が入っているからであって、本作のメインテーマではなく、これはラブストーリー、いや、正確にはラブストーリーの終わりを描いたものである。

四組のラブストーリー

これは4人の俳優が演じる、アレックスとクリスというカップル四組の物語である。どういうことかというと。。。

登場人物:
女アレックス:45歳  男クリス:30歳
男アレックス:45歳  女クリス:30歳
カップル:
(1)女アレックス&男クリス
(2)女アレックス&女クリス
(3)男アレックス&男クリス
(4)男アレックス&女クリス

という組み合わせである。ヘテロ、ゲイ、レズビアンという組み合わせのカップルだが、共通点は”15歳という歳の差”である。カップルは6年間同棲しているが、仲良かったものの、次第に幾つかの出来事からお互いの本音が見えてくるようになり、ついには別れに至るというストーリーで、四組のカップルが交互に演じていくことにより物語が進んでいく。

同性異性関係なく、歳の差、経済格差の問題

仲睦まじいところ、嫉妬するところ、喧嘩するところは、どのシーンを取っても、どのカップルでも全く同じである。恋愛に男女というのは関係ないというのがよくわかる。
しかし、歳の差というのはここではギャップとなる。両アレックスは、両クリスが幼馴染であるというエンジェル(名前だけ登場で、これも男でもあり、女でもある)に嫉妬する。幼馴染と言っているが、本当はエンジェルと浮気しているのではないか、年上の自分に飽きたのではないかと疑い、段々とそれを問い詰めていく喧嘩が激しくなるのだった。

また、アレックスはいい仕事をしているようで、経済的にも余裕があるため、クリスはほぼニート状態。本当は働きたいのだが、カレッジも中退してしまっているので、なかなか定職が見つからない。そんな状況もアレックスから見ると我慢ができなくなってきているが、実はクリスもクリスで、それなりの言い分があるのだった。

このように、ジェンダー関係なく、カップルの二人の問題というのはあるということを見事に描いており、この「4人が演じる4つのカップル」という手法もなかなかユニークであったと言える。

原作はミュージカル

本作は同じくフィリピン人のVincent de Jesusというミュージカル監督をしている人のミュージカルがオリジナル。なので本作内でも、アレックスやクリスの心情が歌によって表現されている。歌とかダンスが好きなフィリピン人らしくてなかなか面白い。特に最後に4人で歌う、しかし会話ともなっている歌は良かった。
女アレックスを演じたAgot Isidroという女優は、歌手でもあるようで、うまかったが、男アレックス役のJojit Lorenzoの歌も良かった。

フィリピンでは本作発表当時、非常に評価が高かったようで、さまざまな賞を受賞しているようである。現時点ではサブスクが必要な台湾のLGBTコンテンツ専門動画サービスのGagaOOLalaでしか配信されていないようだが、お薦めしたい一本である。

こちらが予告編。残念ながら字幕はないが、雰囲気でも味わってもらえれば。


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