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魔法のランプの中で眠っているジーニーを引っ張り出す方法。

先日会社でこんなことがあった。

資料に誤りがありそれを顧客から指摘された。同じようなミスがあったのは記憶では1年半くらい前。ミスとはいっても軽度で、顧客にとって不快なレベルのものではない。しっかり謝って「また何かあればすぐにご指摘ください」と伝えれば済む程度。

だが、オフィスで何やら話している二人がいた。
キャリア10年以上のベテランだ。難関大学を卒業した二人は頭もいい。

聞くと「このミスが二度と起こらないように、全体のシステムを変えなきゃ」と言っているようだ。そこで僕が口を出した。

「今はシステムの見直しは必要ないよ。顧客にしっかり謝ってそれで終わり。それよりも他の重要な仕事に集中して欲しい」

すると、こう返ってきた。

「いつもミスを軽視するなって言うじゃないですか」

「そうだね。それはね、まずそのミスがどんなものか判断しろっていうこと。今回のミスは、分析の入り口でそれほどのことでもでもないって判断したから言ったんだけど」

納得していない顔をしているので、僕は図を書いて説明することにした。

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「これ、ミスの発生頻度とその重度の関係ね。
まず左上。頻繁に起こる重大なミスは最優先課題になる。根本的に何かが間違っている。全行程をストップさせてでもすぐに対処する必要がある。

 それから右上。あんまり起こらないけど起こると重大なミス。これも見捨てるわけにはいかない。システムの問題点を探さなければならない。

そして左下。軽いけどちょくちょく起こるミス、これも改善したいところだ。ミスは作業効率を落とす。

最後に右下。たまにしか起こらない軽度なミス。

今回のミスは? そうだね、右下。④にあたる。だから、そのために全体のシステムを変更することはない。レアケースに気持ちを引っ張られてるってだけ。ちゃんと考えれば、やるべきことは見えてくるよ」


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ちゃんと考える。

目先の出来事に振り回されている人はこれができていないような気がしている。

ちゃんと考えていないと、近い所で、直近に起きた、刺激が強いモノ、に心が持っていかれる。その事象が起きた『距離、時間、刺激の強さ』に自分の行動が支配されてしまう。

目の前のボールを追いかけ、道路に飛び出す子供のように。

ある有名大学の学生の就職相談に乗った事がある。彼は僕が「フラッシュ」と呼ぶほどの高い記憶力があり、すさまじい潜在能力がある。ところが彼が選んだ就職先はある有名ブラック企業だった。理由を聞くと

「就活フェアで声かけられて。来て欲しいって言われて。感じよかったんですよ。初任給もいいですし」

おい、君。 

それ、車にひかれてるぞ。


いくら記憶力があり知識が豊富でも、その使い時、使い方が間違っていると何の役にも立たない。基礎知識はとても重要なのだが、それだけでは意味がない。

魔法のランプを持っているのにジーニーの出し方を知らないのと同じだ。

ほとんどの学校で教えてくれるのは、知識とその詰め込み方だ。

「これを全部覚えろ」と言われて「はい、覚えました」というヤツが勝つのがテストであり受験だ。記憶力がよければ、ちゃんと考えなくても勝てるのが学生だ。(記憶効率を上げるための創意工夫は別のお話として)

だが、社会に出るとそうはいかない。

ちゃんと考える ことが最初の入り口で必要とされるのだ。

知識の価値観の中だけで生きてきた学生にとって、世界は一変することになる。


そもそもインターネットの出現により、それ以前よりも『知識』の価値は陳腐化している。

イーロンマスクは現在ヒトの脳とコンピュータをつなぐ「ブレイン・マシン・インターフェイス」の開発に取り組んでいる。
いずれ脳を記憶媒体として使う必要がなくなるかもしれない。

「知識がある=頭がいい」という価値観はこれからどんどん変化していくのだろう。現在は、これから知識の価値が他のモノに取って代わる、長い移行期の最初にあたるような気がしている。

その中で今。

魔法のランプの中で眠っているジーニーを引っ張り出す方法が書かれた本が出版された。

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問題解決のための「論理思考」は、どうも、難解なことだと思われがちなようです。「フレームワークを学ぶこと」だとも、思われがちです。でも、そうではないのです。
考え始めた地点から、答えにたどり着くまでの「道筋」を、自分でつくることです。正解のない問いにぶつかった時に、自分だけの答えを見出す方法です。「わける」と「つなぐ」という、たった2つの行為で。
この本は、一度も勝てなかった女子高の弱小サッカーチームが「わける」と「つなぐ」だけを駆使した「考える練習」で勝利するまでのストーリーをベースに進んでいきます。早い人なら、1時間半もあれば読み切れてしまうかもしれません。
物事の本質を知るのに一番早い方法は、「体験すること」です。
この短いストーリーを追体験することで、あなたの問題を解決する方法を、ぜひ、身につけてください。


僕がこの本をおススメしたいのは、とにかく若い人だ。

どうせこの方法を知るなら早ければ早い方がいいという意味で。

誰が読むにも難しくなんてない。とても読みやすい本だから。なにしろフォントがいい。(嘘じゃない、フォントだよ)

大学生には就活に向けて絶対に役に立つはずだ。中学生や高校生が読めば目の前の勉強の方法も変わるかもしれない。

若いうちに一度触れておけば、あとはこの論理的思考法を使うたびに思い出せばいい。

使えば使う程上手くなり、あらゆる問題解決の正確性とスピードが増す。

大袈裟に言えば、

人生が変わる。



巻末には代表的なフレームワークが網羅され資料としても使えるので、読み終わったら息子にあげようと思っていたのだがやめた。

もう一冊買って、プレゼントすることにしよう。


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さて、最初のお話に戻ろう。

オフィスで「システムを変えなきゃ」と話をしていた二人。

そのうち一人は、わが社の社長(50歳)だ。

今からでも遅くない。

まずはこの本から読んでみて欲しいのだが…

彼は今日もまた、今目の前で起きた刺激の強い出来事に慌てている。



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