なるほど!こんな病院マップもいいかも|市場調査レポート9日目
はじめに
おはようございます。医療介護データ研究所の まじめな所長 です。
先日公開した、市場調査のためのデータセットや病床機能報告のデータセットを使ったレポート作成の過程を公開しています。
今回は、病院のポジションマップについて調べてみます。
病院のポジションマップを作ってみる
ポジションマップとは、縦軸と横軸に何らかのデータを取って、4象限で表現する方法です。病院もポジションマップで表現することで特徴が分かりやすくなります。
いろいろな切り口が考えられますが、今回は「病床利用率」と「平均在院日数」でマッピングしました。バブルサイズは病床数にしています。
右に行くほど病床利用率が高く、上に行くほど平均在院日数が長くなります。
具体的に病院のポジションマップを見てみる
入院基本料・特定入院料別に病院のポジションマップを見てみます。今回も大阪府茨木市を参考にします。
■急性期一般の病院ポジションマップ
右下のエリアは、平均在院日数が短く、病床利用率が高いエリアです。
谷川記念病院さんが位置していますね。
平均在院日数が短いということは、それだけ退棟患者も多いということです。急性期一般7対1で平均在院日数も短い中で、病床利用率90%以上を維持しているのはすごいですね。それだけ新規入棟患者を確保されているということだと考えられます。
左下のエリアは、平均在院日数が短く、病床利用率が低いエリアです。
北大阪警察病院さんが位置しています。
平均在院日数が短い分、病床利用率の維持をするのは難しい位置ではありますが、恒常的に病床利用率が低い状態だとすれば、経営の観点ではやや懸念がありますね。
ダウンサイジングや病床機能の転換のために、意図的に病床利用率を下げているのであれ良いのですが・・・。
■回復期リハビリの病院ポジションマップ
回復期リハビリについては、2病院のポジションが対照的に位置する形となりました。算定している入院料も1と2で分かれており、ある意味では役割分担がなされているようにも感じられます。
茨木医誠会病院の病床利用率が高いことが印象的ですが、北大阪警察病院の病床利用率も84%ですので、決して悪いわけではないと感じます。
■地域包括ケアの病院ポジションマップ
地域包括ケアについても、2病院のポジションが対照的に位置する形となりました。こちらの2病院は同一機能、同一規模の病床となっています。
左下に位置している藍野病院では、病床利用率が64%ですので、新規入棟患者の獲得はやや苦戦されている可能性があります。場合によっては、地域連携の強化や病床の役割の見直しなども検討余地があるかもしれません。
■療養病棟の病院ポジションマップ
療養病棟は病床利用率の高い病院群(右側の病院群)と、病床利用率のやや低い病院群(左側の病院群)に分かれているマップとなりました。
病床利用率が高い病院群の中では、藍野病院さんの平均在院日数が非常に長いことが印象的です。
最も左側に位置している北大阪警察病院さんは、急性期病棟でも病床利用率が低い傾向にありましたので、病院全体として、病床稼働率が低い傾向にあるのかもしれません。
・・・
と、ここまで書いたあとに、気になって北大阪警察病院さんを調べてみると、今は別の病院にリニューアルされているようですね。いろいろなご事情があったことと推察します。
おわりに
今回は、病院のポジションマップという考え方で茨木市を見てみました。
こういった分析は、地元の方が見た方が、より具体的なイメージが湧くものと思います。
私も実際にデータを使うときには、データだけで決めつけることはなく、「データからはこのように見受けられますが、実際はいかがですか」とディスカッションをする為のたたき台にするような使い方をしています。
以下のツールから、皆さんの地域のデータも見ることができますので、ぜひ地域の状況を理解するためのタネとしてご活用ください。
引き続きレポート作成&ツール作りを進めていきます。
興味を持ってくださった方はぜnoteとTwitterをフォローいただけると嬉しいです。
参考リンク
・市場調査レポートの作成 1日目
・市場調査レポートの作成 2日目
・市場調査レポートの作成 3日目
・市場調査レポートの作成 4日目
・市場調査レポートの作成 5日目
・市場調査レポートの作成 6日目
・市場調査レポートの作成 7日目
・市場調査レポートの作成 8日目
それではまた!
記事を読んでくださりありがとうございます。読んでいただけることが励みになります。もしサポートいただけましたら、研究活動に使わせていただきます。