【5日目】患者が増える診療科・減る診療科|市場調査レポート作成中
はじめに
おはようございます。医療介護データ研究所の まじめな所長 です。
先日、医療機関の市場調査に必要な基本のデータセットを公開しました。
こちらのデータを使った市場調査レポートの作成過程を公開しています。
題材は「大阪府 茨木市」です。(Twitterで公募した際に、一番最初に手を挙げてくださったので茨木市にしました!ありがとうございました!)
【5日目】患者が増える診療科・減る診療科を調査しました。
今回は、基本のデータセットに加えて、拡張データセットを活用します。
前回の記事で、疾患別の推計患者数を推計しました。
その際に算出した疾患別の推計患者数に診療科の受診割合を掛けることで、診療科別の患者数を推計します。
診療科別の推計入院患者数
診療科別に入院患者数を推計してみると、患者数が多い順に、「内科(青色)」「精神科(薄緑色)」「整形外科(灰色)」となりました。
特に内科の増加傾向が見て取れます。
2015年を0とした場合の、増加率で見てみましょう。
増加率は高い順に、「アレルギー科(薄い緑)」「循環器科(橙色)」「リハビリテーション科(線が重なってしまっています・・・)」となっています。
いずれも2025年まで急成長したのち、緩やかな増加傾向となる見込みです。2045年には、アレルギー科は50.5%、循環器科は42.6%、リハビリテーション科は40.3%の増加見込みです。
ちなみに、減少傾向となっている診療科は「産科(濃い青色)」です。2045年には、-6.4%の減少見込みです。
題材をリクエストいただいた方(リハビリ職の方)に気になる診療科を伺ったところ、以下の診療科が挙がりました。
・リハビリテーション科
・整形外科
・脳神経外科
・神経科
・循環器科
・心療内科
これらに絞ってデータをみてみると次の通りです。
増加率が大きい順に、循環器科、リハビリテーション科、脳神経外科、整形外科、神経科、心療内科、となりました。
いずれの診療科でも増加傾向にあります。リハビリ職の方については、今後活躍の場が益々広がっていくと考えられます。
ちなみに、参考までに、リハビリテーション科患者の疾患別の内訳を見てみましょう。
高齢化に伴い、特に循環器系の患者が増加していくことが見込まれており、その結果、リハビリテーション科の需要も増えていくと推計しています。
診療科別の推計外来患者数
診療科別に入院患者数を推計してみると、患者数が多い順に、「内科(青色)」「整形外科(灰色)」「外科(ピンク色)」となりました。
入院と比べると、外来の増加率は緩やかです。
2015年を0とした場合の、増加率で見てみましょう。
増加率が高い順に、「循環器科(橙色)」「リウマチ科(赤色)」「脳神経外科(薄いピンク色)」となりました。
2045年時点では、循環器科は23.5%増加、リウマチ科は22.8%増加、脳神経外科は21.8%増加の推計となりました。
入院と比べると増加幅は小さいことがわかりますね。
一方で、減少傾向にある診療科は「呼吸器科(水色)」「皮膚科(黄緑色)」「小児科(濃い緑色)」等です。
他にも減少傾向の診療科はあり、入院と比べると、外来の方が、減少傾向にある診療科が多いですね。
外来についても、診療科を以下に絞ってみてみましょう。
・リハビリテーション科
・整形外科
・脳神経外科
・神経科
・循環器科
・心療内科
増加率が大きい順に、循環器科、脳神経外科、リハビリテーション科、整形外科、神経科、心療内科、となりました。
2045年まで一貫して増加傾向にある4つの診療科と、2030年以降では減少傾向となる2つの診療科に分かれました。
なぜこのような傾向に分かれるのかというと、2030年以降で、65歳未満人口の減少が加速する為です。
2030年以降、65歳未満の人口(灰色)が大きく減少していくことがわかります。
2030年以降では減少傾向となる神経科、心療内科の2つの診療科には、65歳未満の患者も含まれています。高齢者の需要増加以上に、65歳未満の患者減少の影響を大きく受ける為、減少していく推計となっています。
おわりに
今日は、「患者が増える診療科・減る診療科|市場調査レポート作成中」と題して、基本のデータセットと拡張データセットを使った診療科別の推計患者数の分析について紹介しました。
注意点なのですが、今回、診療科別の患者数を推計するにあたっては、「平成11年患者調査 推計患者数,診療科・入院-外来×傷病分類×病院-一般診療所別」のデータを利用しています。
残念ながら少し古いデータです。そのため、参考程度の情報とご理解いただけますと幸いです。
少しずつで恐縮ですが、引き続き基本のデータセットを用いた市場調査について紹介していきます。
最終的には、市場調査レポートとしてまとめます。
ちなみに今回の分析ツールはこちらで公開していますので、興味のある方は見てみてください。
また、Twitterでは引き続き市場調査希望の地域を募集しています。
最終的にはいくつかの事例を作ろうと思いますので、ご希望の方は以下のtweetにコメントください。(傾向の違う市区町村をいくつか作成しようと思っています。)
ぜひフォローもいただけると嬉しいです。
それでは今日も良い1日を。
記事を読んでくださりありがとうございます。読んでいただけることが励みになります。もしサポートいただけましたら、研究活動に使わせていただきます。