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【夏】あおい昇華

私だって水色の女子高生のはずだったのよ?君は馬鹿げたブルーハワイの恋を350円で買って、知らないうちにあの向かいの弁当屋の娘を滅多に見せない優しい瞳で溶かしていた。私は幻の青い光がいつまでも掴めなくて、蝉の鳴き声が淡々と希死念慮を加速させて、黒い海で所々煌めくプラスチックの光が1番私に似合うかもなんて、碧い眼をした猫と過ごした夜に想ったりなんかしていた。8月にしては把握的涼しい日、彼氏の家でいろんなチョコバナナを食べてる友達のインスタを横目に、クマバチしかいない草木が生い茂った階段に向かって走った。夕立なんか気にせずに、風邪なんかひいてももう関係ないわと高々に笑いながら走った。缶のスプライトにハエが集って、コケの生えたウィルコムを見てカエルも逃げた。私は久々に制服を着て、私の全てを昇華させた。にこやかに笑いながら、できるだけ上に、上に、。少し時間が経った頃、私の昇華を祝うようにあの猫が泣いた。結局みんな夏に死ぬ。すっからかんな奴ほど夏に死ぬ。結局私も夏に死んだ。あまりにも粋じゃない死に方をしたけれど、私の神様が許してくれたらそれでいいのよ。♡


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