僕があの夏に見た涙はどんな色だったか、もう思い出せない
1. 僕は、とても嫌な子供だったと思う。幼少より何となく人より勉強ができ、スポーツも出来た僕にとって、それほどガリ勉をしなくても神奈川県下有数の進学公立高校に入学できたことは、僥倖でもあり、不幸でもあった。自分が如何に「井の中の蛙」であったかを思い知ったからだ。自分より遥かに勉強していなくても、練習をしなくても、出来てしまう人のなんて多いことか。しかも、そういう人であっても、弛まぬ努力を惜しまない人のなんて多いことか。自分がもしかしたら「天才」なんじゃないかと自惚れて努力を惜