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Power Titans: First Generation

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【俺は、平和で豊かな系(くに)に住んでいるんだと思っていた】 Power Titans シリーズ初期2作と、両者の間をつなぐスピンオフです。 時系列的にはおおむね「カストル戦記」…
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#小説

VANGUARD: Power Titans

VANGUARD: Power Titans

2017年ごろから着想していたラノベです。
思想強めのバトルものです。
気が向いたら設定資料も公開するかもしれません。(2023/9/30追記:設定資料を公開しました)

※主題歌↓

カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN

カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN

前作「VANGUARD」の前日譚です。
故人として言及していた主人公の叔父の物語です。

(2023/9/30追記:設定資料を公開しました)

カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN ~Lost Record~前編~

カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN ~Lost Record~前編~

《トランスフォーム。ライフギャラクシー》
「こいつは私が倒す——叡智の前衛、パワータイタンが」

 光の中から現れた巨人は、火星の民を薙ぎ払う銃剣の前に立ちはだかった。
「カストルか。自治派に唆されたな」帝国軍の管制室で、カニスは映像を睨みつけた。「そいつも片付けろ。巨人(タイタン)が2人とも倒れれば、連中の希望は潰える」
 機獣(ミノタウロス)は直ちに、背中のバルカン砲で巨人を攻撃した。巨人は全

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カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN ~Lost Record~後編~

カストル戦記:POWER TITAN ORIGIN ~Lost Record~後編~

 その夜、自治会館に舞い戻ったミノタウロスを出迎えたのは、スクラムを組んだ火星の民衆だった。
《無駄な抵抗はやめろ》機獣のスピーカーを通して、管制室のカニスは通告した。
「無駄じゃないからやめさせたいんでしょう」スクラム隊の最前列から、ケイロンは的を射た。「皆さん、カードをゾディアスパークへ」
 合図を受け、カストルとケイロンを中央に挟んで腕を組んだ48人は、それぞれ1枚のカードを左腕の手甲に挿入

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Young VANGUARD ~Wolfgang~

Young VANGUARD ~Wolfgang~

「ここが地球か」
 住宅街に着陸した貨物飛行船から、5人ほどの家族が降り立った。
「ごめんよ。こんな立地の家しか借りられなくて」父親は家族に謝った。「『広面橋』の下だとは聞いてたが、これじゃお天道様は拝めないな」
「“たいようけい”って、昔アンタレスをおそった国なんでしょ」成長期に入ったばかりの末っ子が、19歳ほどの次兄の裾をつかんだ。「わたし、ここに住むのこわい」
「心配すんな、テリオ」袖をまく

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Young VANGUARD ~Leon~

Young VANGUARD ~Leon~

「済まない、ルナ……お前は“生きろ”と言ったが、やはり耐えられない」
 崖の淵に、1台のダンプカーが停まった。運転席には、短いウェーブヘアの青年が座っていた。

 これは、青年レオンが大地の力を得る少し前の物語。その頃、太陽系では「火星処分」をめぐる命懸けの攻防が繰り広げられていた——。

1. Cold and Dry

「さすがに、官庁の警備突破はやり過ぎじゃない?」
 地球委員会の会議で、広

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Young VANGUARD ~Phoenix~①

Young VANGUARD ~Phoenix~①

 ——それは、お母さんだって今の帝政は放っておけないと思うよ。だけど、何もあんたみたいな女の子が戦わなくたって……——
 1人乗りロケットで惑星ハイドロンの大気圏に突入する最中、フェニックスは母の言葉を思い起こしていた。地球自治委員会の火星処分反対デモで、スクラム隊の最前列に入ることを伝えた時の反応だ。
 「女の子が」って、どういう意味なのか。何度問いただしても、納得のいく答えは得られなかった。

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Young VANGUARD ~Phoenix~②

Young VANGUARD ~Phoenix~②


Scene 2.2

「ゼノンって言ったよね」
 ラウンジでコーヒーを飲む青年に、フェニックスは声をかけた。
「私の増幅器(これ)、見てくれない? 私も地球(むこう)では技術部だったんだけど、どこがいかれてるのか判んなくて」
「壊れてはいない」ゼノンは言い切った。「念力で作動を止めただけだ」
「どういうこと」
「だが、お前のパワージェムは渡せ。巨人(タイタン)は、俺一人でいい」
「じゃあ、あんた

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Young VANGUARD ~Draco~①

Young VANGUARD ~Draco~①


1. 天秤

《平和な地球を破壊するドロイド軍団を指揮していたのは、太陽政府に雇われたサイボーグ、「スクラップ」と「ビルド」だった!》
 ドラコは自治会館の休憩室で、“社会派”と評されるヒーロー番組を眺めていた。
「へー。攻めてるじゃん」ドラコの横でナレーションを聴いて、トリトンは感心した。
《戦う植物戦隊(ガーデンフォース)の前に現れた、過激カルト「ナイラーン」。三つ巴の……》
「……前言撤回

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Young VANGUARD ~Draco~②

Young VANGUARD ~Draco~②


3. 仲間 - 下 -

「権力の前では名前を呼び合わないように。勿論、ドラコの名前もだ」
 警察署に向かう飛行船の中で、レオンは十数人の“有志”たちに指示した。
 ドラコの逮捕から10日ほどが経つが、伐採作業はまったく進んでいない。委員会が萎縮せずに座り込みを続けていることそのものに警察は圧倒され、遠巻きに警告を発するばかりで強制排除に踏み切れないのだ。
「でも正直、意外だな」トリトンは隣の席

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