23時。 リビングに一人。 テレビから小さく聞こえる郷愁メロディ。 膝の上で喉を鳴らす、猫。 今日は母の72回目の誕生日を祝うため、 両親と息子を連れて浅草を散策した。…
3年。 世界から色が無くなった瞬間。 今も鮮明に覚えている。 4月1日、新しい一年のスタートの日。 私が余命宣告された日。 入院していた。 主治医の異動で、新しい担当…
痛い。すごく。 身体の中、全部。多分、どっかの内臓。或いは血管。 日常的に痛みを感じる様になって数週間が過ぎた。 こうなってようやく、自分が大きな病気に蝕まれてい…
母の結婚指輪は薬指に食い込んでいて、どうやって外すのかな、と度々、疑問を抱いた記憶がある。 テレビで指輪の外し方について紹介していて、石鹸やらタコ糸やらを使って…
おととい、祖母が他界した。 祖父母の類の中では、一番思い入れが強い祖母。 高齢者なりの色々は抱えていたものの、年齢からすれば(享年90)、要支援認定もされていない…
irono
2024年4月15日 00:24
23時。リビングに一人。テレビから小さく聞こえる郷愁メロディ。膝の上で喉を鳴らす、猫。今日は母の72回目の誕生日を祝うため、両親と息子を連れて浅草を散策した。天気が良くて、少し暑くて、スカイツリーまで歩いて、テラス席でケーキを食べた。散りかけの桜は、初夏の訪れを匂わせる今日に似合っていて、母は何度も何度も足を止めて、楽しそうにスマホを景色にかざしていた。造形作家を志していた
2024年4月10日 02:21
3年。世界から色が無くなった瞬間。今も鮮明に覚えている。4月1日、新しい一年のスタートの日。私が余命宣告された日。入院していた。主治医の異動で、新しい担当医と挨拶をするだけのはずだった。なのに、その2日後には退院して、日本有数の病院を数件回ることになった。暫くは生きる気力を亡くして、色のない世界を見た。日常のふとした時に涙が出たり、やり場のない思いを夫と子供にぶつけたりし
2024年1月24日 02:13
痛い。すごく。身体の中、全部。多分、どっかの内臓。或いは血管。日常的に痛みを感じる様になって数週間が過ぎた。こうなってようやく、自分が大きな病気に蝕まれている事実に納得する。36歳の時に余命宣告をされ、2年が過ぎている。宣告を疑うほど、私はそれなりに変わらない日常を送ってきた。化粧をしたり、料理をしたり、子供と喧嘩をしたり、時々友達と食事をしたり、仕事もしてる。でもやっぱり、
2024年1月22日 01:05
母の結婚指輪は薬指に食い込んでいて、どうやって外すのかな、と度々、疑問を抱いた記憶がある。テレビで指輪の外し方について紹介していて、石鹸やらタコ糸やらを使っているのを見る時いつも、母の手を想像していた事もそれを物語っている。電車に乗っている時も然り。結婚指輪ってそういうものだと思っていたし、母親という存在は肥えていくものだとも思っていた。世の中に疑問を持つ事すらを知らない、幼い頃の刷り込
2024年1月14日 02:20
おととい、祖母が他界した。祖父母の類の中では、一番思い入れが強い祖母。高齢者なりの色々は抱えていたものの、年齢からすれば(享年90)、要支援認定もされていない程にしっかりしていた。元気だった!と言いたい所だけど、控えめでおとなしい性格だったせいか、元気という言葉が祖母には似合わないので、このくらいに。秋田の小さな村の集落で暮らしていて、車椅子になった(のに、頭がしっかりしすぎている)