先進的な地方自治体が「女性活躍×DX」に本気で取り組んでいる話
皆さん、こんにちは。コクーの入江です。
2024年4月24日、政府が民間の有識者も入れて行っている人口戦略会議にて地方自治体持続可能性分析レポートが公表されました。
その中にあったのは、2050年までに消滅可能性がある自治体は全体の約4割の744という衝撃の内容です。
その"消滅可能性自治体"の定義が、
2050年までに20代から30代の女性が半減する地域とのこと。
女性の地域流出を防ぐということが地方自治体の重要KPIとなったため、今後はそのための施策に更に力をいれて取り組んでいくことが予想されます。
そんな状況の中、女性活躍や企業のDXを重要課題だと捉え、先進的な取り組みを行っている地方自治体の事例を紹介します。
日本一の家具のまち「福岡県大川市」
大川市は福岡県南西部にある人口約3万2000人の市です。筑後川が有明海へと流れ込む場所に位置する立地から、海運の要所として船大工や職人達が暮らすまちとして栄え、今では家具の一大生産地として、たくさんの家具を日本全国に送り出しています。
最近では、人間用の家具を縮小して、ネコ用に作った「ネコ家具」がSNSで話題となったり、ネコ家具をきっかけに、大川で家具職人になりたいと、全国各地から若い方の関心が高まっているようです。
令和4年度 RPAの導入
そんな大川市とのお付き合いは遡ること2年前。大川市では、DX推進事業計画を進めている中で、2022年9月にDMMとの協業を介して、弊社RPAツール「マクロマン」の導入をサポートさせていただきました。
要件定義をもとに現地で5日間、弊社RPA女子が、開発・納品・ドキュメント作成・レクチャー全てを対応し、その後3か月の検証をした結果、82%の業務削減(200分→36分/月)に成功しました。
令和5年度 Excel研修
その後、企画課の企画・女性政策係の方から、女性活躍推進の文脈で弊社のEXCEL研修に関心を持っていただき、2023年6月には「新たな働き方支援事業」の一環で、Excel体験会を実施いたしました。
受講者は自宅からリモート参加、または現地リアル参加のハイブリッドで実施。現地では大川市職員のヘルプももらいながら、Excelでの基礎単元を学習しました。1日の研修ではありましたが、受講者アンケートは高評価で、地元女性の方々のDX機運を高めるという当初の目的を達成することができました。
令和6年度 女性活躍×DX
これらの成功体験を元に、2024年度はより踏み込んだ内容にしたいというご要望につき「女性活躍×DX」というテーマを設定しました。
また、大川市は家具屋さんが多く、ECなどデジタルマーケティングに取り組みたい企業が多いことも予想されたので、DXの中でもデジタルマーケティングに絞って開催することになりました。
今回の取り組みの目的は大きく2つで、①地元企業のデジタルマーケティングの機運を高めることと、②地元(大川市在住)の女性にデジタルマーケティングに興味をもってもらうことです。
①地元企業のデジタルマーケティング機運を高める
この取り組みでは以下の通り、2日間にわたって対象者や内容を分け、各日約20名ほどの方々にご参加いただきました。
Day1 地元企業経営者に向けたDX入門編セミナー 2.5h
地元企業で最も成長している家具屋さんで、DX化により10年で売上を7倍に伸ばしたタンスのゲン株式会社の橋爪社長をお招きして、DXを始めたきっかけ、失敗談や成功要因など体験をベースに具体的なお話しをしていただきました。
その後、弊社のデジマ女子が「中小企業に向けた効率的な売上UPのためのデジタルマーケティング」について具体的な事例も含めて講義を行いました。
Day2 地元企業の社員の方々に向けたDX体験ハンズオンセミナー 2.0h
2日目は、Chat-GPT(AI)を活用したデジタルマーケティング施策を作っていくというハンズオン研修で、全員分PCを用意して具体的な課題をグループワーク形式にて様々な体験をしてもらいました。
内容について、受講者アンケートの評価の満足度が89%と非常に好評で、大川市の方々からも今までで一番良かったと言ってもらえました。
②地元(大川市在住)の女性にデジタルマーケティングに興味をもってもらう
もう一つは地元在住の女性にデジタルマーケティングの一気通貫した知識を得てもらうための全11回のプログラムです。市民だけでなく、8月に実施したセミナー・体験会の参加企業にもご参加いただきます。
弊社が「デジマ女子」育成に使っている実際のプログラムの一部を今回の研修に組み込みましたので、デジマの理解は固より、実際にデジマ施策を活用できるようになるという超実践型プログラムとなっています。
これは、今月に実施されるものなのでまだフィードバックはできませんが、人気講座となっており、この中から地元企業への就職もしくは弊社にて正社員雇用の実績をつくるということを目標に取り組んでまいります。
令和7年度 ???
さて、これらの取り組みにおいては、あくまでもきっかけにすぎません。
大切なことは、これらの取り組みを通じて「大川市はどんなまちづくりを目指していくのか?」というビジョンとの繋がりを意識することです。そうでないとただ開催しただけとなってしまうのがオチです。
私たちが常に大切にしている問い。それは、
「なぜそれをやるのか?」
「どんなまちを創っていこうとしているのか?」
大川市のまちづくりビジョン~ずっと大川、ずーっと大川~では「人」「創造・共生・共創」を掲げ、「人」が集まり、「人」を育み、「人」が支え合うことで活力にあふれるまちづくりを目指しています。
そのビジョンの本質を理解することで、実現までのストーリーを描くことができるので、今後の取り組みの目的も明確になります。
これらの両輪がバランス良く回っていく仕組みをつくることが重要です。
よくあるケースが、研修を実施して機運は高まるけど、
女性は就職先(出口)が無いという問題に突き当たりいつの間にか形骸化してしまうケース。
企業は取り組み始めてはみたものの、継続するのが大変でいつの間にかやらなくなってしまっている…等々です。
大川市のまちづくりビジョンを実現するために、私たちが考えているストーリーは以下の通りです。
私たちは、セミナーや教育をするだけでなく、出口(雇用)戦略を持っているという強みと、コアコンピタンスであるDX育成ノウハウを通じて、その人たちが地元企業のDXを伴走型で推進できるというスキームを作れるので、このような取り組みが実現できます。
先進的な取り組み方針や素敵なビジョンを持っている大川市で、リアリティある実例をつくっていきながら、これをパッケージ化して日本全国に展開し、地域活性化・東京一極集中から脱却していくことで、日本を元気にしてまいります!
全国の地方自治体のご担当者さま、ならびに地方創生サービスや地域活性化に取り組む企業の皆さま、これからも私たちは日々進化しながら様々な挑戦をしていきたいと考えていますので、ご共感いただけた方はぜひ一緒に取り組みを進めていければ幸いです。ぜひ以下よりお気軽にご連絡ください!
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