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#237 学校が本当の意味での「自由」を獲得すること

文科省の公表した「問題行動・不登校調査」は全国の小中学校で2021年度に学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒は前年度から4万8813(24.9%)増の24万4940人となり、過去最多であることを示しています。不登校の増加は9年連続で、10年前と比較すると小学生は3.6倍、中学生は1.7倍増加してるとのこと。

旧態依然の画一的な「学校」の存在に、今多くの児童・生徒が疑問を投げかけていることを示す数字だと言えるでしょう。そんな中、フリースクールや通信制学校、サポート校など「学校」以外の場所に、「ありのままに生きる自分」と「自分の未来を広げる学び」を求める児童・生徒もいます。

中学生時代に不登校や別室登校だった高校1年生が、兵庫県明石市のとある学校で、再び輝き始めたという記事を見つけました。

彼の通うフリークスクールでは、「生徒同士」の対話を重視すると共に、自分がやりたいこと、得意なことをやり続けることができる支援をしているそう。決まりきった授業ではなく、生徒それぞれの個性を尊重し、大人が寄り添う。新しい教育の形が始まっています。

「この高校に入ってから、とりあえずやってみようという気持ちが自分の中で強くなっていて。家から学校に行くだけの生活じゃなくて、もっと社会人とかと触れあったりして、世界をどんどん知っていきたいなって思っています」

という生徒の言葉で記事は締めくくられていました。

多様性の価値が高まる中、「学校」以外の選択肢が世間に認知されること自体はとても大切なこと。

では、学校はそのままでいいのかというと決してそうではありません。

大阪市立大空小学校初代校長の木村泰子氏は

学校に来れなかったら、フリースクールや学校以外の学びの場を紹介するので、無理に来なくてもいいといった風潮が当たり前になっていないでしょうか。広島での講演を聞いた一人の高校生が、感想をメールで送ってきました。「何も悪いことをしていないのに刑務所行きだと言われること/『みんなと同じようにして学校にいさい」/ほとんどの人にとって学校が刑務所でないからこそ気軽に言えること/当事者からするとありのままの自分を真っ向から否定される場所/『人に迷惑をかけるな』『周りと同じようにしなさい』ありのままの自分でいることの罪を償えと言われているような暗くて重いプレッシャーを背負いながら学校に通い続けることがどれだけ難しいか/そのストレスはなにも学校に行かなくなったからといって消えるものでもなく/一人一人の意識から変わっていかないとしんどい子はいなくならないと思う」。この高校生のメッセージは、全国の「不登校」とレッテルを貼られている子どもの代表の声かもしれません。学校以外にどれだけ手厚い学びの場を提示しても、子どもの抱えるストレスは消えるものではありません。学校に子どもを合わせている間、不登校「過去最多」は更新され続けるでしょう。学校が子どもを困らせることがあってはいけないのです。みんなで何とかしませんか!

月刊教職研修(2023年2月号)

というコラムを書いています。

最も大切なことは学校に行けなくなる児童・生徒の数を少なくすること。

学校が社会の「メインストリーム」として捉える社会や、メインストリームである学校の画一的なありかた自体を問い直さない限り、根本的な解決には決して繋がらないでしょう。

様々な価値観を持つ多くの多様性を受け入れることができる「学校」を本当はみんな望んでいるのです。


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