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値切りの作法

今日はものの値切り方についてお伝えしようと思います。

まず、僕はつくづく「チープな」人間です。

最近始めたばかりのこのnoteの自分の記事を読み返しても、「車には一番安いコーティングをしてます」とか、「元を取るために...」とか既に書いています(文章には人柄が出る)。

周りには「自分の子供が将来勉強しているところを見つけたら『何勉強してるんだ、やめなさい』とか言ったら逆に親の目の届かない学校でのびのびと心ゆくままにいっぱい勉強して、家ではコソコソと隠れて勉強するのではないか。そしたら将来予備校代が浮く算段だ」とか変なことを言っています。まぁですから人様に向けて「ものの値切り方の記事」を書く資格はあるでしょう。

どうやって安くしてもらおう

あとでルールをしっかりと申し上げますが、値切り方自体は簡単です。

例えば見積書が届きます。対面であれば、まず相手の目の前で明細表に目を通します。特に「諸経費」の数字をじっくりと見ます。必ずしも不満げな様子を見せずに、笑いながら「おっ?乗っけてきましたね?」と冗談めいて相手を見ます(メール、FAX、郵送なら電話をかける)。

そのあと「ここのとこですけど、これ今回○万でお願いしたらそっちは困りますか?」と尋ねます。

ポイント:「困るか?」というフレーズは相手の体裁に触れる部分です。

「この金額じゃないとダメなの?なんとかなんない?」と食い下がる人とニュワンスが違います。ちょっとオーバーに言うと、「この一項目の金額を削られたらあなたって貧乏になっちゃうの?」と聞いています。

このニュワンスにすぐ降参するケースは少ないです。「はい、困るんです」と言ってくれば「どこも景気悪いですもんねぇ」が続くので、「いや、悪くないですよ」と言えないんですよ。「え?だったら困らないんじゃないの?」が控えていることは相手もわかりますからね。

ですからあなたが感じよく(あくまでも感じが良くないといけません)そう尋ねれば大抵値引に応じてくれます。ちなみにあなたは値引いてもらうことで相手を「太っ腹」役とたてて、自分は「貧乏人」の役回りを取りますからこの時決して尊大な態度だったり「当然だ」とか「勝った」とか勘違い人間になってはいけませんよ。あくまでもビジネス上、あなたは相手に「負けてもらった(まさに「オマケ」の語源はこれです)だけ」だと自覚しておいてください。

その2

先ほどの「対話編」と反対で、次は守備の話です。もう一つ大切なことは「決してお金を見せびらかせない」ことです。まず、値引いてもらおうとする"身分"のはずのあなたが息巻いて成功していることを相手にアピールしてどうするんですかということです。あくまでもあなたは相手にとって紳士的かつチープな、値引きに相応しい人間でなくてはいけません(あなたが日頃あなたのお客さんにとって高額な契約にふさわしい誠実な人間であるべきなように)。ここでもしあなた自身が何も始まっていない時点で「太っ腹役」を買って出ると、見積り作成の段階でいろいろなオプションが提案された内容が上がってきます。そうすると「これを取れ。あれも取れ」をやってから更に値引き交渉をしようなんてしたら相手はげんなりしてしまいます。特に初対面では相手から失望されかねない危険な行為です。何も言わなくても「相手から最安値の見積りが出るようなあなた」でいてください。それが値引き交渉のエチケットです。

しかしながら「ルール」を守る

「あとでルールを説明する」と先に書きました。ルールは簡単。一旦値引いてもらったら勝ち逃げしないことです。よくしてもらったならまた次も利用しましょう。それが相手へのお返しになります。そして友好的な関係をその都度相手と築いていきましょう。そして「あなたがこの前安くしてくれたから早く戻ってこれましたよ」と伝えてください。相手からあなたに前回サービスしてよかったなと思ってもらうことが大切です。

でも初めての相手で、もし自分がもう利用しなさそうであれば、最初に見積もりを見た段階で値引交渉はしないでその金額を飲むか、断るか、どちらかにしましょう。もちろんその際も感じよく。

逆に「値引を断る側」になった際

ここまでお読みいただけたらもうお分かりかと思いますが、お客さんからの値引き要請を断りたい場合は「これ以上金額を落とすと私は貧乏になってしまいます」ということを相手に端的に伝えればいいわけです。つまり今度はあなたが「貧乏人」役、お客さんが「太っ腹」役を演じるわけです。あなたにその仕事をして欲しいと思っている相手はきっとそれで納得しますし、納得してくれなかったとしたら丁重にお断りするか、あなたより安くできそうな他のお店を教えてあげることもいいかもしれません。

僕も含め、誰でもそうだと思いますが、関係が続いていくお客さんや取引先はこれを非常にスマートにやっています。時に勝たしてもらい、そのお返しをし、時に負けてあげることもあるかもしれません。でもここに書いたルールの中でプレーしてさえいればどちらも泣いていないどころか、互いに豊かでいいなと僕は思います。

チープがいつの間にか「豊かだ」という話に変わってしまいました。何か感想があればコメント欄にお残しください。

※記事の振り分けに少し迷いましたが、今回は僕の「働き方に、疲れた人に」マガジンに加えることにします。

( 文・写真 / 西澤伊織 )

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