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武者小路実篤『愛と死』読了

あっという間でした。

崇高な恋愛。喪失。悲哀。
言葉で表せません。

夏子の死の電報の場面、鳥肌が立ちました。そこからずっと泣いていました。

武者小路実篤先生の小説は『友情』に次いで二冊目なのですが、どちらも、どうしてこんなに純粋な美しいものなのでしょう!

全く、派手じゃないんです。でも、美しい。
たくさん装飾して飾り立てるような派手さも美しいけれど、それだけが美しいってわけじゃないんですね。

素朴というか、哀しい音色がする。
母親が子供を愛するような、慈愛に満ちた優しい暖かい雰囲気がする。
お互いに愛し合っているから。

手紙とか写真とかそういう近代チックな懐かしさ。私、ラインとか電話とか耐えられないんです。なんでこの時代に生まれたのかってよく思うくらい。だからこういう小説を読むと憧れます。

それから、愛とか悲しみとか孤独とか、人生について私は何も分かっていないんだなって思った。

愛し合う二人、夫婦になるはずの二人。
死によって引き裂かれて、悲しみに暮れる。

私、この小説を読んで、自分が軟弱になった気がしました。
ショパンばっかり聴いていると、その影響を受けて心が繊細になって涙もろくなったりすると思うんですが、この本もそういう力があると思いました。

あまりにも悲しすぎる。
こんなに哀しい恋愛はないです。
泣きました。

まだ読んでない方はぜひお読みになってください。とても薄くて、2時間も掛からずに読めると思いますから。

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