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「暗号解読」

その本に出会ったのは10年前だ。
サイモン・シン著、青木薫訳(敬称略)。

サイモンシンは「フェルマーの最終定理」を書いたことで有名なドキュメンタリー作家だ。といえば、わかる人もいるだろうか。
フェルマーの最終定理という数学の難問が解き明かされるまでの時代を超えて数学者が挑んできた歴史を時系列的に書いていて、青木薫氏の翻訳も秀逸であり、難しいテーマなのに数学に疎い素人でも「面白い!」と思わせる作品で評価が高く有名である。

この本の次に書かれたのが「暗号解読」であり、私はこの2作目の方がハマって何度も読み返した。「暗号解読」がきっかけで大学で文系なのにITシステムの会社を就職活動で見て回ったほどだ。
暗号技術の歴史をロゼッタストーンから秘密鍵までのこれまた時系列的に分かりやすく書いてある。

暗号の技術は戦争のたびに発展していったことや、今でも詐欺に使われたりするのがなんともいえない気持ちでスパイ映画などのフィクションの中だけにしてくれとは思うが、暗号技術の現場にはその時代の最高峰の叡智が集結しているというので最も未来に近い技術であり、興奮する。

平和に暮らす市民でもNFTや仮想通貨を発行して暗号(クリプト)の技術を触るような世界に変わって、もしサイモン・シンがブロックチェーン技術が出てきてからのことを「続・暗号解読」として書いてくれたらどう面白い作品になるんだろうと頭をよぎった。




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