随筆(2020/9/6):クソリアリスト、ストレスに死す(そんなやつのどこが適応的なんだ)4. 目利きがもたらす、おまけの、とてつもない、楽しい力
4.目利きがもたらす、おまけの、とてつもない、楽しい力
4_1.強まった目利きが、自分の視野を広げる感覚には、捨てがたきものがある
この前まで、
「自分の適応やニーズや、あるいはそのための手段である技能を越えた目利きは、無駄だし、有害に働くことすらある、やめとこう」
という話をしていたのでした。
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「ええー? もったいない!」
そうなんですよね。
自分の視野を越えた目利きには、明らかにメリットがある。それも、安易に「要らない」と言って済ませられるものではない、とてつもないものが。
では、そこまでして得たいメリットとは、何か。
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自分の視野を越えた目利きが出来ると、自分の視野が広がるんですよ。
少しずつ岩に雨だれが穴を開けるように、わずかずつ広がることもあるし、何らかのケミストリーで一気に広がることもある。
これは、それ自体、ものすごい爽快感です。
これは、そのままでももちろん嬉しいのですが、特に、自分が今、適応に失敗している時は、非常に大きな意味を持ちます。
「このままだと詰む」という閉塞感は恐ろしく、これはふつう、本当に詰みます。
もうちょっと具体的に言うと、「何も出来ない」「日々をやっていくことすら出来ない」という絶望に満ち溢れながら、人生の残り時間を過ごす。
場合によっては、残り時間を物理的に減らそうとして、心身を殺す酩酊物質を服用したり、自殺を選んだりする。
鬱病のものすごくキツイ状態に通じるやつです。私もなったことがあるから分かる。これは、本当に、出来るだけ、避けたい。こうなってしまうと、毎日がただ辛いだけだから。
で。
視野が広がった爽快感は、この手の鬱に、単純に感情面に限っても、ものすごく効く(ことがある)んですよ。
これだけでも有り難いが、さらに、そもそもの原因である、「このままだと詰む」という認識面でも効いて来る(ことがある)。
自分の視野を越えた目利きによって、閉塞感を解放へ導くかも知れない、新たな出口が与えられることがある。
そっちを目指せば、今の失敗している適応に、+αが得られて、回るサイクルが出来て、適応が成るかもしれない。
こうなったら、そりゃあ、ふつう、こんなの、大歓迎ですよ。
4_2.おまけのとてつもない力を、余裕があれば手に入れて、それで楽しくやっていくのも、素晴らしいことだ
体力気力の余裕があれば、多少のデメリットは防御できる。
その上で、メリットの方が大きいのなら、損得を考えた場合、それはどちらかというと、手に入れたい、手元に残しておきたいやつでしょう。
基本的な話をすると、ものすごい目利きには、それを受け止められる技能が要る。
基本的ではない話をすると、その目利きが技能に直ちに役立たなくても、いつか役立つかも知れない。
だから、役に立たない知見をたくさん保有しておけるだけの、体力気力の余裕が要るんです。
それらがあれば、自分の視野を広げるほどのものすごい目利きは、とてつもない爽快感と、いつか閉塞感を解決できるかもしれないという希望を与えてくれる。
鬱病のものすごくキツイ状態と比べれば、それどころか、ぼんやりとふつうに生きている状態と比べても、猛烈に楽しいでしょうね。
私もなったことがあるから分かる。楽しいですよ。猛烈に。
4_3.要するに、目利きを、楽しくやっていきましょう。辛くならないようにしましょう
体力気力の余裕がないと、自分の視野を広げるほどのものすごい目利きは、そしてそれによってもたらされたせっかくの出口に向かう知見は、単にけばけばしい刺激でしかなくなる。
そういうの、せっかくのチャンスを、むざむざスルーしているのと同じだ。もったいない。
だから、体力気力の余裕を整えられるように、最低限、一定の時間の余裕を確保できるように、そしてそれを死守できるようにしましょう。
そういうことが出来ない働き方を強いる職場は、辞めましょう。
そういう職場、おそらく、何とか飯は食えるかも知れないが、本当の本当に余裕がない職場では、熟練している余裕すらない。
単に、余裕のないまま、何の効率化も改善も、余裕を増やす余地もなく、忙しいまま、給料も上がらず、キツイまま一生を終える。
場合によっては故障して、キツイままもっと早く一生を終える。
私もなりかけたことがあるから分かる。
プログラマ、辞めて正解だったし、「石の上にも三年」という言葉に、騙されるべきではなかった。
プロジェクト二個目で、心身を壊されて、一生付き合う持病が出来てしまったんだから、一個目が終わった時点で辞めるべきだった。くそー…
(今の役所の職場が楽だとは口が裂けても言いませんが。
当時は追加作業には追加料金が出ましたが、今は出ないし、それが「節約」のために「善い」とされているし、「正当な報酬」という「公正」の価値観は、ここでは低く見られているからです。
時間だけ言えば、明らかに職場でのカンヅメをされなくなっているだけ、かなりマシと言えるのですが、それが「正当な報酬を支払わないこと」を「正当化する」訳ではありません。当たり前だ)
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本当に余裕のない時の目利きは、本当にけばけばしく、辛い。
「おっおっおっ、これは、ひょっとして、あれか、チャンス到来か!?」と喰いつけるだけの体力気力は、死守しておきましょう。
要するに、目利きを、楽しくやっていきましょう。辛くならないようにしましょう。
(続く)
(今日はとりあえず長くなりすぎずに済んだ…)
(これで本当に「長くない」のか? 割と「長い」んじゃないっすか?)