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吉田裕子の自作俳句メモ

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俳句結社 松の花に参加しています。そちらに投稿し、誌面に掲載されたもの(主宰の方からの添削、評が入っていることもあり)をこちらのマガジンにまとめます。 好きな句やアドバイスなどが… もっと読む
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#自作俳句

〈庭の木を食みしは君か秋の蝶〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

〈庭の木を食みしは君か秋の蝶〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

結社誌『松の花』に掲載された、吉田作の5句です。

共鳴句、気に入った句などありましたら、コメントなどで教えてくださったら嬉しいです。

※三鷹で、月1句会をやっています。

2022年晩冬~早春〈春兆す深紅のインク一ダース〉など5句―『松の花』5月号「翠嶺集」掲載の俳句―

2022年晩冬~早春〈春兆す深紅のインク一ダース〉など5句―『松の花』5月号「翠嶺集」掲載の俳句―

結社誌『松の花』の5月号にて、「翠嶺集」に掲載された俳句です。

残業の夜を寒柝(かんたく)通りけり

春兆す深紅のインク一ダース

ポケットに赤ペンの滲み二月尽

畑焼く日遠くの戦始まりぬ

春泥を持ち帰りたる足の跡

好きな句などあればコメントで教えてください^^

三鷹で月1句会やってます!

2022年晩冬~早春〈立春のふるさとに子の生まれけり〉など5句―『松の花』5月号「松の花集」掲載の俳句―

2022年晩冬~早春〈立春のふるさとに子の生まれけり〉など5句―『松の花』5月号「松の花集」掲載の俳句―

結社誌『松の花』の5月号にて、「松の花集」に掲載された俳句です。結社内では27席でした。

クリスマスローズ咲きぬと葉書書く

ぐりとぐら姪に送らう春隣

山羊の毛の筆をほぐして明日の春

立春のふるさとに子の生まれけり

小さき身のやさしく強き陶器雛

好きな句などあればコメントで教えてください^^

三鷹で月1句会やってます!

自選十句「翠嶺の花」(結社誌『松の花』11月号掲載)

自選十句「翠嶺の花」(結社誌『松の花』11月号掲載)

うちの結社に「翠嶺集」という同人の枠があります。各月の巻頭作家になると、数ヶ月後の結社誌で自選十句を掲載してもらえます。

ありがたいことに、8月号で巻頭作家に選んでいただいたため、11月号に、以下の自選十句+近況エッセイを掲載していただきました。 

自選十句春一番鋭き解に大きマル
受験子の意志の漲る成の撥ね
籠り居の読書進まず兼好忌
小町忌や借りたる本に付箋あり
紫陽花の糸雨 鷗外荘閉館す

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〈枝払ふ日の予告ある緑かな〉ほか自作俳句8句(『松の花』8月号掲載+α)

〈枝払ふ日の予告ある緑かな〉ほか自作俳句8句(『松の花』8月号掲載+α)

結社誌の『松の花』の8月号、全員参加の「松の花集」に掲載された5句をご紹介します。
2021年5月25日〆切分のため、初夏の句が多いです。

松の花集掲載5句枝払ふ日の予告ある緑かな
大工らにアイスコーヒーお茶に水
棟上げの二階へ梯子夏の雲
嵌め込みの窓の向こうの青嵐
コロナ禍を夫(おっと)着慣れしアロハシャツ

松の花集掲載句へのコメント枝払ふ日の予告ある緑かな→5句中、秀句とされた句です。青々

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「かはづ鳴く千枚の田は靄の底」ほか自作俳句16句(『松の花』2021年7月号掲載+α)

「かはづ鳴く千枚の田は靄の底」ほか自作俳句16句(『松の花』2021年7月号掲載+α)

松の花集掲載句5句われの背の倍の花桃つよき紅
養花天ぱんだはのたりのたりかな
熊野へと続く道なり春の雨
鳥曇り内海凪ぎて色もなく
かはづ鳴く千枚の田は靄の底

『松の花』7月号(4月25日〆切分)では、結社誌のメインとなる「松の花集」で第七席に選出していただきました。掲載句はいずれも、年度代わりの頃の三重県・奈良県・和歌山県の旅を詠んだ句で、いい記念になりました。

われの背の倍の花桃つよき紅→実

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「赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年5月号掲載+α)

「赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年5月号掲載+α)

「松の花集」掲載句春の月見をるに見られてをるやうな
赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる
天井に迫る盆梅二百歳
お鮨屋のレジに売らるる春蜜柑
苦虫やバレンタインの日の歯痛

こちら、第八席でした(嬉しい!)。

春の月見をるに見られてをるやうな→元々〈春の月見るに見らるる心地せり〉としていたのを直していただきました。添削後、状態であることが強調されるとともに、説明より実感の向きが強くなったと感じます。

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「消毒の机に冬の小さき蠅」ほか自作俳句(『松の花』2021年3月号掲載+α)

「消毒の机に冬の小さき蠅」ほか自作俳句(『松の花』2021年3月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(12月末投稿分)
寒風や一席空けの落語会
再検査せよとの通知もがり笛
消毒の机に冬の小さき蝿
よちよちと着ぶくれの子は鳩を追ひ
王朝の恋を紐解く聖夜かな

寒風や一席空けの落語会→12/5、日比谷図書文化館で開かれた桂春蝶さんの落語会を訪ねました。感染対策のため、一席空けで、常時換気。実際に吹きすさぶ寒風以上に、心は寒々しさを感じてしまいます。噺家さんもこの空気の客席を笑わせ

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「松は色変へず藤十郎逝きぬ」ほか自作俳句(『松の花』2021年2月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(11月末投稿分)
新宿に空のあるなり鰯雲
秋うらら面接へ向かふ夫(つま)送る
夕日さす割れ窓の庭ゆず実る
新居建つ更地いちめん草紅葉
踏まれずや桜紅葉を散り重ね

新宿に空のあるなり鰯雲→職場のそばで見上げた秋の空。私の好きな空です。もちろん『智恵子抄』の「あどけない話」を意識して詠んだ句です(智恵子は東京に空が無いといふ、 ほんとの空が見たいといふ……)。
今月の「松の花」

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「そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺」ほか自作俳句(『松の花』2021年1月号掲載+α)

「そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺」ほか自作俳句(『松の花』2021年1月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(10月末投稿分)寺出でて新米ぬくきおにぎり屋
雲海の晴れゆき秋の琵琶湖見ゆ
納経の婦人の背すぢ菊日和
千躰の地蔵に揺るる尾花かな
そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺

吟行というわけでもありませんが、10月下旬に関西を巡りました。そのときの句を投稿したのが今号です。全体の六席に選んでいただきました!(喜)

寺出でて新米ぬくきおにぎり屋→慈照寺銀閣を出たところにある「御米司ふみや」

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2020年自選十句(吉田裕子)

2020年自選十句(吉田裕子)

散髪の帰路よく晴れて日記買ふ
託つ母電話に叱る余寒かな
春一番鋭き解に大きマル
籠り居の読書進まず兼好忌
紫陽花の糸雨鷗外荘閉館す
冷索麺良人の里の麺の腰
梅雨の雷立石寺にぞ轟ける
湧水の冷たさ痛し雲の峰
星月夜あとからあとから名なき星
新宿に空のあるなり鰯雲

いずれも結社誌『松の花』にて発表済みのものです。
まだ句の良し悪しを判断できるだけの目がないもので……。句会や誌上で比較的お褒めにあずか

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「星月夜あとからあとから名なき星」ほか自作俳句(『松の花』2020年11月号掲載+α)

「星月夜あとからあとから名なき星」ほか自作俳句(『松の花』2020年11月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(8月末投稿分)
滝に跳ぶ鱒の一匹また一匹
星月夜あとからあとから名なき星
見えぬをば見に来る霧の摩周かな
旅はあと三日とんぼを見つけ初む
砂熱し浜の撫子紅濃ゆし

こんなご時勢だからこそ、北海道旅行の思い出を詠んだ5句です。上から、
・さくらの滝
・ニセコ
・摩周湖
・富良野
・はまなすの丘公演(あそびーち石狩)
です。

優秀句として選んでいただいたのは「星月夜あとからあと

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湧水の冷たさ痛し雲の峰ほか「松の花」2020年10月号掲載分(+α)の俳句

湧水の冷たさ痛し雲の峰ほか「松の花」2020年10月号掲載分(+α)の俳句

所属結社の『松の花』に応募した俳句です。

松の花集(2020年10月号)湧水の冷たさ痛し雲の峰

薄荷油や夏のマスクにちょんちょんと

大の字は旅の贅沢夕涼し

お花畑ブロンド少女のふたり連れ

星涼し星座も追へぬ星の数

十一席で、大きめに掲載していただきました。特に、「湧水の冷たさ痛し雲の峰」は今月の秀句に選ばれ、結社の主宰から以下の解説コメントを頂戴しました。

雲の峰がむくむすと育つ青天

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「カルロスゴーンの会見続く湯冷めかな」ほか、松の花 東京句会の自作俳句7句

「カルロスゴーンの会見続く湯冷めかな」ほか、松の花 東京句会の自作俳句7句

松の花 東京句会 令和二年二月一日(土)YUKEN新橋ビル主宰による入選* 秀逸⭐︎ 特選◎
数は互選の投票数

事前詠冬の雨上がりて甘き深呼吸 *

不倫には育たぬランチ冬薔薇

枯蓮や改修さるる武道館 *

吉祥寺小ざさ
 行列の羊羹買ふや冬の朝 *

カルロスゴーンの会見続く湯冷めかな ⭐︎ 2

当日詠 蠟石/玄関口/鼻で2句蠟石の印の気高し春浅し * 1

ラッシュアワー鼻ひる我は凶悪犯

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