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自選十句「翠嶺の花」(結社誌『松の花』11月号掲載)

うちの結社に「翠嶺集」という同人の枠があります。各月の巻頭作家になると、数ヶ月後の結社誌で自選十句を掲載してもらえます。

ありがたいことに、8月号で巻頭作家に選んでいただいたため、11月号に、以下の自選十句+近況エッセイを掲載していただきました。 

自選十句

春一番鋭き解に大きマル
受験子の意志の漲る成の撥ね
籠り居の読書進まず兼好忌
小町忌や借りたる本に付箋あり
紫陽花の糸雨 鷗外荘閉館す
梅雨の雷 立石寺にぞ轟ける
新宿に空のあるなり鰯雲
そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺
鐘凍る初の共通テストなり
消毒の机に冬の小さき蝿

近況エッセイ

大学受験塾で国語を教え、カルチャースクールや公民館でも古典を教えている。コロナ禍、公共施設は次々と閉鎖。多くの講座が中止され、寂しく悔しい思いをした。そんな二〇二〇年夏、自宅併設型の教室 兼 配信拠点を作ることに決めた。物件探し、契約、建築事務所との打合せ、工事、転居などと慌ただしい一年だった。三鷹古典サロン裕泉堂、十一月一日「古典の日」オープン予定である。

ひとこと

結社のなかでは、まだまだ新参者。皆さまへの自己紹介の意味で、国語講師らしい句から選びました。

塾講師として詠んだ句

春一番鋭き解に大きマル
受験子の意志の漲る成の撥ね
鐘凍る初の共通テストなり
消毒の机に冬の小さき蝿

古典や近代文学にちなんだ句

籠り居の読書進まず兼好忌(兼好法師)
小町忌や借りたる本に付箋あり(小野小町)
紫陽花の糸雨鷗外荘閉館す(森鷗外)
梅雨の雷立石寺にぞ轟ける(松尾芭蕉)
新宿に空のあるなり鰯雲(高村光太郎『智恵子抄』)
そぞろさむ地すべり残る鞍馬寺(『源氏物語』などのゆかりの地)

ご感想やお気に入りの句など、お聞かせいただけたら嬉しいです。

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