「松は色変へず藤十郎逝きぬ」ほか自作俳句(『松の花』2021年2月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(11月末投稿分)

新宿に空のあるなり鰯雲
秋うらら面接へ向かふ夫(つま)送る
夕日さす割れ窓の庭ゆず実る
新居建つ更地いちめん草紅葉
踏まれずや桜紅葉を散り重ね

新宿に空のあるなり鰯雲→職場のそばで見上げた秋の空。私の好きな空です。もちろん『智恵子抄』の「あどけない話」を意識して詠んだ句です(智恵子は東京に空が無いといふ、 ほんとの空が見たいといふ……)。
今月の「松の花」に投句した中では、こちらが優秀句とされました。

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踏まれずや桜紅葉を散り重ね→こちら、元の句は〈踏まれずや桜紅葉の山ふはり〉でした。

「松の花集」投句のうち未掲載句

黄落や学生のなきキャンパスに
生まれては消ゆる予定よそぞろ寒

黄落(こうらく):木の葉や果実が黄色に色づいて落ちること。「黄落期」《季 秋》(デジタル大辞泉)

そぞろ寒:寒い季節でもないのになんとなく寒く感じられること。また、そのさま。《季・秋》〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕(精選版 日本国語大辞典)

同人作品「薫風集」掲載3句

映画待つ子らの歓声文化の日
「三四郎」男女で読みて菊日和
松は色変へず藤十郎逝きぬ

薫風集の第一席に選んでいただきました。今月の秀句欄には、〈松は色変へず藤十郎逝きぬ〉が選ばれました。 2020年11月12日に逝去された坂田藤十郎さんに捧げる追悼句です。季語「色変へぬ松」に、晩年まで若々しい舞台姿を見せた故人への思いを託しました。一世一代でつとめた曾根崎心中のお初を見られたことは、光栄なことでした。

〈「三四郎」男女で読みて菊日和〉は、主宰している【憧れ本読書会】についての句です。

同人作品「薫風集」投句の未掲載分

車窓秋同じライブへ行く人と

横浜アリーナに向かう電車での句。コロナ禍での久しぶりの大型ライブ。楽しかったなぁ~。


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