マガジンのカバー画像

吉田裕子の自作俳句メモ

28
俳句結社 松の花に参加しています。そちらに投稿し、誌面に掲載されたもの(主宰の方からの添削、評が入っていることもあり)をこちらのマガジンにまとめます。 好きな句やアドバイスなどが… もっと読む
運営しているクリエイター

#note俳句部

〈美濃菊や鋏入るればまたにほひ〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

〈美濃菊や鋏入るればまたにほひ〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

結社誌『松の花』に掲載された、吉田作の5句です。

共鳴句、気に入った句などありましたら、コメントなどで教えてくださったら嬉しいです。

※月1、三鷹で句会をやっています。

〈庭の木を食みしは君か秋の蝶〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

〈庭の木を食みしは君か秋の蝶〉ほか俳句5句(『松の花』2022年12月号掲載)

結社誌『松の花』に掲載された、吉田作の5句です。

共鳴句、気に入った句などありましたら、コメントなどで教えてくださったら嬉しいです。

※三鷹で、月1句会をやっています。

〈筆止まる窓に日増しの木下闇〉ほか自作俳句6句(『松の花』松の花集 9月掲載)

〈筆止まる窓に日増しの木下闇〉ほか自作俳句6句(『松の花』松の花集 9月掲載)

松の花集の掲載5句結社誌『松の花』の2021年9月号に掲載された句です。投句したのは7月上旬でした。

風薫る書風明るき書道展
青き峰ローン三十五年なり
花びらを外し目玉の日輪草
筆止まる窓に日増しの木下闇
侵入の蝿と階下の工事音

風薫る書風明るき書道展→知人の出品する書道展へ、お招きにあずかりました。鳴鶴流天溪会、明るく清らかな書風が印象的な流派でした。東京芸術劇場にて。

青き峰ローン三十五

もっとみる
「泣く人の傍にただ居て六月尽」ほか自作俳句6句(『松の花』9月号「翠嶺集」掲載+α)

「泣く人の傍にただ居て六月尽」ほか自作俳句6句(『松の花』9月号「翠嶺集」掲載+α)

『松の花』9月号 同人「翠嶺集」掲載5句2021年6月25日〆切分ですが、編集長の寛大さに甘えて7月になってから投句しました……。

昼寝せる鼾(いびき)と見たる悲劇かな
信長の暴虐を読む外は雹(ひょう)
亡き夫(つま)を九十の夏に綴る人
落雷や命は道理外のもの
泣く人の傍にただ居て六月尽

信長の暴虐を読む外は雹(ひょう)→主宰している吉祥寺古典を読む会で、太田牛一『信長公記』を読みました。天正

もっとみる
「小町忌や借りたる本に付箋あり」ほか自作俳句8句(『松の花』8月号翠嶺集掲載+α)

「小町忌や借りたる本に付箋あり」ほか自作俳句8句(『松の花』8月号翠嶺集掲載+α)

『松の花』8月号 同人「翠嶺集」掲載5句2021年5月25日〆切分です。

小町忌や借りたる本に付箋あり
かすかなるむぎぶえ里は暮まだき
遠雷や太宰渡りし跨線橋
江戸の歌習ふ稽古場青簾
髪洗ふ源氏の姫は月一度

小町忌や借りたる本に付箋あり→小町忌は旧暦の3月18日で、2021年でいうと新暦の4月29日でした。図書館で借りた本に、誰かの学んだ痕跡である付箋が残っていたとき、改めて、多くの人に読み継

もっとみる

「春園やしやがむ二歳の目の高さ」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年6月号掲載+α)

松の花集掲載句春雨や吉田博の版画展
暮れかぬる空に弦月潔し
春園やしやがむ二歳の目の高さ
昨年(こぞ)の葉とともに吹かるる柳の芽
母の木のひこばえは我が新居へと

春雨や吉田博の版画展→上野の東京都美術館に見に行きました。印象に残ったのが、「東京拾二題 神楽坂通 雨後の夜」など、雨の情景をやわらかく描いた版画でした。折しも展覧会を見に行った日も、春雨の日で、こんな一句となりました。

暮れかぬる空

もっとみる
「赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年5月号掲載+α)

「赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる」ほか自作俳句18句(『松の花』2021年5月号掲載+α)

「松の花集」掲載句春の月見をるに見られてをるやうな
赤子の手ほころぶがごと羊歯萌ゆる
天井に迫る盆梅二百歳
お鮨屋のレジに売らるる春蜜柑
苦虫やバレンタインの日の歯痛

こちら、第八席でした(嬉しい!)。

春の月見をるに見られてをるやうな→元々〈春の月見るに見らるる心地せり〉としていたのを直していただきました。添削後、状態であることが強調されるとともに、説明より実感の向きが強くなったと感じます。

もっとみる
「消毒の机に冬の小さき蠅」ほか自作俳句(『松の花』2021年3月号掲載+α)

「消毒の机に冬の小さき蠅」ほか自作俳句(『松の花』2021年3月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(12月末投稿分)
寒風や一席空けの落語会
再検査せよとの通知もがり笛
消毒の机に冬の小さき蝿
よちよちと着ぶくれの子は鳩を追ひ
王朝の恋を紐解く聖夜かな

寒風や一席空けの落語会→12/5、日比谷図書文化館で開かれた桂春蝶さんの落語会を訪ねました。感染対策のため、一席空けで、常時換気。実際に吹きすさぶ寒風以上に、心は寒々しさを感じてしまいます。噺家さんもこの空気の客席を笑わせ

もっとみる

「松は色変へず藤十郎逝きぬ」ほか自作俳句(『松の花』2021年2月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(11月末投稿分)
新宿に空のあるなり鰯雲
秋うらら面接へ向かふ夫(つま)送る
夕日さす割れ窓の庭ゆず実る
新居建つ更地いちめん草紅葉
踏まれずや桜紅葉を散り重ね

新宿に空のあるなり鰯雲→職場のそばで見上げた秋の空。私の好きな空です。もちろん『智恵子抄』の「あどけない話」を意識して詠んだ句です(智恵子は東京に空が無いといふ、 ほんとの空が見たいといふ……)。
今月の「松の花」

もっとみる
「鐘凍る初の共通テストなり」ほか自作俳句(『松の花』2021年4月号掲載+α)

「鐘凍る初の共通テストなり」ほか自作俳句(『松の花』2021年4月号掲載+α)

「松の花集」掲載5句(1月末投稿分)
冬籠もり眉なき妻を見慣れたり
ピリピリと痛き柚子湯や百数ふ
白髪染めツンと薫りて年暮るる
初日記万年筆の使ひ初め
市川のカルチャーからの初筑波

結社の全員が参加する「松の花集」、今回は15席でした。今月の秀句欄には、〈初日記万年筆の使ひ初め〉を選んでいただきました。

冬籠もり眉なき妻を見慣れたり→夫目線での一句です。ステイホーム中はどうしてもすっぴんが多く

もっとみる