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【前編】免疫が低下する7つの原因とは?低下により起こる病気や食生活との関係について解説

「なぜ免疫は低下してしまうの?」

「免疫が低下することでどのような病気になる可能性があるの?」

免疫は、私たちが健康に暮らすうえで欠かせない働きです。しかし、なんらかの原因によって機能が低下し、健康を脅かすことがあります。さまざまな感染症が流行しているなか、できれば免疫機能を低下させることなく生活していきたいものです。

 前編では、免疫が低下する原因、低下することで起こる病気について解説します。

免疫力とは?

免疫について調べていると、「免疫力」という言葉をよく耳にするかと思います。免疫力とは、「病気を免れる力」という意味で使われている言葉のことです。

一般的によく使われていますが、実は医学的に正しいとされている言葉ではありません。何をもって免疫力が上がった、下がったとするのかが不明瞭なため、「免疫力」という言葉を使うことがあまり適切ではないのです。

その代わりに、「免疫機能」という言葉が使われます。免疫機能とは、体内に侵入してきた異物を排除する一連の働きのことです。「免疫力」も「免疫機能」もあまり区別なく使われることが多いですが、この記事では「免疫機能」に統一して話を進めていきます。

免疫機能が低下する7つの原因

免疫機能が低下すると、体内にウイルスや細菌などの異物が侵入しやすくなるため、さまざまな影響が出てしまいます。一体なぜ、免疫機能が低下してしまうのでしょうか。

ストレス

ストレスを抱えながら生活している方は非常に多くいます。2020年に厚生労働省が調べたデータによると、日本人の54.2%は、仕事や職業生活に関することにストレスを感じているそうです 。 

慢性的にストレスを受けていると、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなることがわかっています。ストレスを受け続けることで、全身をパトロールしながらウイルスや細菌を攻撃するNK細胞の働きが低下してしまうのです。

運動不足

日頃から運動不足の方は、免疫機能が低下しやすくなっています。運動と免疫機能は相互に連携しており、免疫に関わっている白血球やサイトカインなどに運動が影響を与えることがわかっているのです。このことから、運動不足の方はそうでない方よりも免疫機能が落ちていると考えられます。

体温の低下

「冷えは万病の元」といわれています。特に冬は体が冷えやすく、体温も低下しやすい季節です。 体温が低下すると、免疫の最前線で戦うNK細胞や、T細胞のはたらきが弱り、免疫が低下することが知られています。さらに、全身の血行が悪くなり、老廃物や病原菌が体内に残り続けてしまいます。

睡眠時間の不足

睡眠不足は健康の大敵です。必要な睡眠時間は人によって違うため、一概に何時間以上寝れば問題ないとは言えません。しかし、翌日の昼間に眠くなることが多いようでしたら、睡眠不足になっている証拠です。

睡眠の質と免疫機能には密接な関係があるため、よい睡眠を取れない状態が続いていると、免疫機能は低下してしまいます。 

食事バランスの乱れ

食事バランスが乱れると、体に必要な栄養素が不足するため免疫機能が低下します。また、腸内細菌にも影響を与えることも免疫低下の原因です。

免疫細胞の約7割は腸に生息しているため、腸内環境が変わると免疫機能にも影響が出てしまいます。外食が多い方、野菜や果物をあまり食べない方、麺類を好んでよく食べる方は注意しましょう。

加齢

人は年を取ると誰しも必ず免疫機能が少しずつ低下していきます。免疫機能に関わっているT細胞が作られている胸腺は、加齢とともに萎縮してしまうことがわかっているのです。萎縮した結果、T細胞の数が減るため免疫機能は低下します。

喫煙や飲酒

喫煙や飲酒は免疫機能を低下させるため、節度を守って楽しむことが望ましいでしょう。喫煙はヘルパーT細胞やB細胞、マクロファージやNK細胞など多くの免疫細胞に影響を与えることがわかっているのです。

飲酒も免疫機能に影響を与えるといわれています。ただし、どのようなメカニズムで免疫機能に影響を与えるのかはまだ明らかになっていません。 


免疫機能が低下すると発症しやすくなる病気

免疫機能が低下すると、当然何かしらの病気にかかりやすくなります。これは、体に侵入しようとしてくるウイルスや細菌を退治できなくなるためです。

感染症

ウイルスや細菌は自分以外のもの=非自己と見なされるため、通常であれば免疫細胞が働いて排除されます。しかし、免疫機能が低下すると排除する働きが落ちるため、体内への侵入を許してしまうことになるのです。その結果、インフルエンザやカンジダなどのさまざまな感染症にかかりやすくなります。

口内炎

口内炎は免疫機能の低下によってできることがあります。ストレスや睡眠不足が続いているときに口内炎ができやすくなる方もいるのではないでしょうか。口内炎は口の中で細菌が繁殖することでできるものです。免疫機能が低下すると、細菌が繁殖しやすくなるため口内炎ができやすくなります。

ヘルペス

口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、再発を繰り返すことで知られています。ヘルペスウイルスは、症状が治まった後も神経のなかに潜み続けることが特徴です。普段は悪さをしませんが、免疫機能が低下すると皮膚や粘膜に現れて症状を引き起こします。

歯周病

歯周病は、歯と歯ぐきの隙間に細菌が侵入することで歯肉に炎症が起きる病気です。歯肉炎が進むと、歯がグラグラしたり抜けてしまったりします。歯周病になるのは歯磨きが十分でないこと、歯垢がたまっていることが原因です。さらに免疫機能が低下している状態だと、歯周病の原因菌がすぐに繁殖するため、歯周病を発症しやすくなります。

がん

がんは遺伝や生活習慣などさまざまな要因によって発症するものです。実は、免疫機能の低下もがんと関係があります。免疫細胞は自己と非自己を区別し、非自己のみを攻撃して排除していることから、非自己であるがん細胞も攻撃の対象です。

しかし、免疫機能が低下していると、非自己であるはずのがん細胞を排除できません。その結果、がんを発症することがあります。

 後編では、免疫機能を高めるためには、どのようなことを心がけたら良いのかをご紹介します。

後編はこちら:https://note.com/imagine_gc/n/nc9e9a7fe330b