蒐集家、久遠に出会う 第一章 一、怪しいプレゼント
昼の営業を前に、小料理屋「七分咲き」の厨房では作業が続いていた。女将の苫小牧菖蒲が今年から始めたというテイクアウト専用の総菜作りを、富岡椛も手伝っている。アルバイトとして雇われて一ヵ月は過ぎたか。指示されて鍋に水を張り、火に掛けて沸騰を待ちながら、椛はここで働いてきた日々を思って口元を緩ませた。
二十四年の人生で、これほどまでやりがいのある仕事など初めてなのではないか。就職せざるを得なくなった時以来、職場というものには恵まれてこなかった。だからこそ、苫小牧にちゃんと褒めら