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六段の調べ

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高校に入学した平井清隆は、学校帰りに追われて負傷した女・シャシャテンを助ける。居候となった彼女の故国・瑞香は、かつて日本と交流があった不死鳥の住む国だという。疑いを持ちつつ瑞香と… もっと読む
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記事一覧

六段の調べ 急 六段 七、瑞香よ永遠なれ

前の話へ 六段一話へ 序・初段一話へ  昨日まで居候がいた部屋は、もぬけの殻となっていた…

芳更悠季
1年前
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六段の調べ 急 六段 六、君と旅立とう

前の話へ 六段一話へ 序・初段一話へ  結婚式当日の昼に、シャシャテンはまず瑞香へ赴いた…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 六段 五、清くあれ、爽やかなれ

前の話へ 六段一話へ 序・初段一話へ 「残念ながら四辻姫、貴方は六段姫を殺せていませんよ…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 六段 四、堕ちたる王女

前の話へ 六段一話へ 序・初段一話へ  衣装合わせ当日、シャシャテンに伴われて清隆と美央…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 六段 三、彼女のために

前の話へ 六段一話へ 序・初段一話へ  受験が終わってしまえば、学校に通う日も少なくなる…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 六段 二、四辻姫の思惑

前の話へ 序・初段一話へ  シャシャテンには倉橋のことを伏せ、清隆は同行者数人を連れて妙…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 六段 一、喜悦の波と花と

前の話へ 序・初段一話へ  近所の学校にある音楽室を利用して、市民吹奏楽団「アモローソ」の練習は行われていた。指揮を振る父の向こうには窓が広がり、ビルの並ぶ光景を映している。部屋全体に楽器を奏でる老若男女が集い、シャシャテンの結婚式に向けて合奏している。伴奏の一員として北が前方でピアノを弾き、美央と八重崎が各々の楽器を構えて音を出す。そして清隆も、楽団に混じっていた。久しぶりの演奏に不慣れな点はありながら、一通りは演奏について行くことが出来た。  合奏が終わると、窓際から

六段の調べ 急 五段 六、大友家と薄雪家

前の話へ 五段一話へ 序・初段一話へ 「そもそも王家は、昔に二つへ分かれました。一つは今…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 五段 五、栄光の全てに

前の話へ 五段一話へ 序・初段一話へ  清隆にとっては、ようやく受験が終わったと安堵した…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 五段 四、貴方と夜と音楽と

前の話へ 五段一話へ 序・初段一話へ  高窓から零れる光が、美央の瞼を刺した。いつの間に…

芳更悠季
1年前
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六段の調べ 急 五段 三、もう一度姿を現して

前の話へ 五段一話へ 序・初段一話へ 「もう亥の刻も迫るぞ。あやつは何をしておる?」  …

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 五段 二、美央は大変なものを

前の話へ 序・初段一話へ  昨日貰ったオルゴールを自室の棚に並べ、美央は一階へ下りる。た…

芳更悠季
1年前

六段の調べ 急 五段 一、長き夜を越えて

前の話へ 序・初段一話へ  寒さが厳しくなると朝から予報されていた日に、その男はやって来…

芳更悠季
1年前
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六段の調べ 急 四段 六、夜の調べ

前の話へ 四段一話へ 序・初段一話へ 「シャシャテンから聞いて気付いた。俺も前から先輩――あなたを思っていた」  言っているうちに顔が火照ってくるが、それも気にしていられない。清隆は八重崎と同じく、一人で秘めてきたことを明かした。八重崎からどう思われているか気になり、その挙動に些細な感情を覚えた。そして瑞香にまつわる事件の中で、被害に遭ってほしくないと考え、彼女の意思も尊重せず引き留めもした。  一年生の時に八重崎へ瑞香を教えなかったのも、彼女に傷付いてほしくなかったか