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蒐集家、団結する

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昔に自分の宝物を取り返してくれた「蒐集家」を名乗る「天使」に憧れ、富岡椛は盗品を元の持ち主へ返すことを繰り返していた。ある日、友人の屋久島真木と共に蒐集をしていた椛は、窮地を蒐集…
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蒐集家、団結する 第一章 一、偽善家

「ちょっと椛、前見なさいよ!」 「だってぇ、あの人たち怖いんだもん!」  並んで走る友に言…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第一章 二、七分咲き

前の話へ  苫小牧の言う「堕天使」こそ、治が他の蒐集家に呼ばれている二つ名であった。グラ…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第一章 三、楽土蒐集会

第一章一話へ 前の話へ  青空の下、椛は意気揚々と歩道をスキップで進んでいた。後ろにいる…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第一章 四、勝負師

第一章一話へ 前の話へ  その夜、小料理屋「七分咲き」のカウンター席には、ぴりぴりとした…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第一章 五、蒐集決行

第一章一話へ 前の話へ  治と同行する約束を取り付けた次の週、予定通りに椛たちは蒐集を行…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第一章 六、東京支部の襲撃

第一章一話へ 前の話へ  午後に昨夜蒐集した絵画を返却してすぐ、椛は「七分咲き」へと真木…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第一章 七、国蒐構の女

第一章一話へ 前の話へ  日付が変わろうとする中、都内某所にあるビル周辺には野次馬が集っていた。道路に緊急車両が数台停車し、規制線の張られている現場を彼らは物珍しげに見ている。そんな群衆を掻き分け、女刑事はビル内に足を踏み入れた。通報から数時間、既に負傷者は搬送されたが、手遅れだった者もいたと聞く。この「楽土蒐集会」東京支部で起きた事件を調べようと、彼女は指定の茶色い制服に身を包み、早速現場検証に向かっていた。  襲撃によって多くの会員が死傷した部屋は、三階にあった。捜査

蒐集家、団結する 第一章 八、結成「早二野」

第一章一話へ 前の話へ  自分を裏切った仲間たちを殺し、平泉に指示された襲撃から逃げ延び…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第二章 一、作戦会議

第一章一話へ 前の話へ  結成から半月、真木以外の「早二野」メンバーに自宅を見せるのは初…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第二章 二、楽土の平定者

第一章一話へ 前の話へ 「同僚」たちは既に傷も癒えて、「本拠地」にいるとのことだった。い…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第二章 三、本部突撃

第一章一話へ 第二章一話へ 前の話へ  本部へ行こうと自ら提案したにもかかわらず、所在地…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第二章 四、人事異動

第一章一話へ 第二章一話へ 前の話へ  東京支部の襲撃以降、「楽土蒐集会」が絡む日本での…

芳更悠季
1年前
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蒐集家、団結する 第二章 五、潜入捜査「楽土園」

第一章一話へ 第二章一話へ 前の話へ  新しい部下には、申し訳ないことをしてしまった。そ…

芳更悠季
1年前

蒐集家、団結する 第二章 六、魔法国家ライニア

第一章一話へ 第二章一話へ 前の話へ  本部突撃を決行した日の夜、椛たちは「七分咲き」へ行くのも断念して各々の自宅へ戻っていった。逃走で体力も気力も使い切ってしまい、今日はそれぞれがゆっくり休もうと合意した。  翌日の夜になってようやく、椛たちは苫小牧へ結果を報告できた。初耳の情報はいくつか得られたが、肝心の異世界へ行く方法は分からなかった。消沈する椛に、女将がカウンター越しに慰める。 「あそこへ行っただけでも、勇気のある事よ。褒められるべきだわ。残念ながら私も、異世界