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25歳のリアル


iphoneの目覚ましがなる。


無意味な2回の目覚ましを経て起床。

月曜。8時。気だるい朝が始まる。

今日は会社に行きたくないななんて考えながらも

自然と足がむく。

僕を突き動かしているのは責任感でも信念でもない。

ただの”習慣”が実は一番己の背中を押すのだろう。


地下に降り立つと、満員の東山線。

まるで棺桶のみたいだ。

眠そうな目をこすり、機械作業的にスマホゲームをこなす同志たちを横目に

見たくもないインスタグラムをこれまた機械的に開く

週末の友人たちのキラキラとしたワンシーンに目を通す。

スタンプラリーのようにとりあえずハートマーク。

あいつらまだ付き合ってるんだな。

なんて大学時代からのカップルに羨ましさを抱きながら、

見なくて良いものを見て、気を煩わしている自分自身に嫌悪する。


なだれ込むような同志たちの波に押し流されながら

会社につく。

パソコンのボタンを押す。

フレックスタイムな僕らにはウィンドウズの機械音が始業の合図だ。


13時。ひっそりとオフィスを抜ける。

昼飯なんて食べる友達がいないから。

エスニックカレー屋のお一人様席が僕の特等席。

OLのありふれた恋愛話に耳を傾けながら、

こうしてランチタイムを埋めるだけの恋愛が出来ていることに

羨ましさを感じる。

あなたの彼はつまらない彼氏かもしれないけど、

そのつまらない日常が幸せなんだよと心でつぶやく。

日替わりのエスニックカレーを流し込み、

名古屋の熱い太陽を背に受けながら、オフィスへと戻る。


パタン。19時。

ウィンドウズを勢いよく閉める。

ちょっとだけやり残した仕事に罪悪感を感じながら。

広告の力で多くの人の人生を明るくしたいなんて夢を語っていた

青臭い就活生は今では社会の一員になった。

無理はしない。

僕は入社時からそこだけは評価されている気がする。


電車には同志たち、大学生のカップル、高校生のグループ、

バラエティー豊かな集団が笑っている。

中にはつまらなそうな表情を浮かべた人だっている。

親、兄弟、恋人。

家にはきっと彼らを大切に待っている人がいる。

つまらなそうにスマホを見ているあの人のもとにも

疲れて居眠りをしてしまっているあの人のもとにもきっと。

僕だって昔はそうだった。

待っている人がいる家はそれだけであたたかい。

もう僕の家には、、

くだらないことを考えているとそれだけで鬱になりそうだ。

やりたくもないスマホゲームを開く。

自分の気持ちに蓋をするために。


20時。最寄駅に着く。

誰もいないワンルームを解錠する。

いつからだろう。ただいまと言わなくなったのは。

着替えて徒歩10秒のジムに向かう。

脱ぎ散らかした服が僕の存在を証明してくれる。

そう思って片付けはしなかった。


トレーニングルームでは誰とも話さない。

別にストイックとかではない。

ただ、月額8000円の課金をし、健康維持をする場に友人はいらない。

本当は強がりでしかないのだけれど。

風呂場で、同志たちがお嫁さんの愚痴を言い合っていた。

表情から、それが本気じゃないことは容易にわかった。

なぜか場違いな気がして浴槽を出た。


22時。就寝。

余裕があればnoteをかく。

その後で、ネットフリックスを見る。

今日も何もなく過ぎた1日。

人生にミラクルイベントなんてのは早々に起きない。

道角で食パンを抱えた女の子が飛び出してくることも

書類が飛ばされたOLを助けて公園近くでランチすることも

バーでたまたま失恋した美女に出会うこともない。

あるのは独り身の8畳リアルライフ。

ラインについたバッジを見て開く気も起きなかった。

どうせ企業からの宣伝だって知っているから。


いつからか自分の人生に期待をしなくなった。

死にたくないから生きている。

生きる理由が欲しい。

正しく言うと、己が全力で今日を生き、

なんとしても自分を生存させたいと思う理由が欲しい。

これ以上考えるとまた鬱になりそうだから。

布団に入る。

人が生きる理由なんてのはなんだっていい。

理由を持って生きている人はそれだけでキラキラしている。



僕が今生きる理由は

あなたがこれを読んでくれることだったりする。


おやすみ。




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