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マッチングアプリを3時間でやめた


まだ見ぬあなたに指を重ねて

スワイプ。

スワイプ。

その笑顔の向こう側のあなたはどんな気持ちなんだろう。

無意味な問いを浮かべながら、またスワイプ。


もはやスワイプが何に対してのいいね!なのかわからなくなってくる。


おめでとう。○○さんとマッチしました。

というやけに仰々しいエフェクトと共に、

今度は手続きのようなやりとりがはじまる。

どこ住み?仕事は?趣味は?


新卒3年目のサラリーマンにはちょっぴり重めの

9000円課金したマッチングアプリを僕は3時間で辞めた。


最初に言って置くと僕はマッチングアプリを否定はしない。

普段出会えない人と、より多く、効率的に出会えるツールとして有効だと思うし、

マッチングアプリがきっかけの結婚も珍しくない。

素敵な出会いが待っているかもしれない。


だが、どうしようもない寂しさを覚えるのだ。


マッチングアプリにはプロフィールが存在する

学歴、職業、年収、身長といったわかりやすい情報を入力する。

基礎プロフィールには性格や人柄について入力する欄が驚くほど少ない。


ブランドや容姿をラベリングされ、恋愛市場に流される僕たちは

まるで生産者の顔が見える家畜みたいだ。


選ばれたいから見栄を張る。

身長178センチ(ほんとは177.5だ)

大卒(留年した)

一部上場企業勤務(ここはホントだ)

年収〇〇円(ただし奨学金で月3万消える)

趣味は海外旅行(3年前にイタリアに行ったきり)

最後にカメラが趣味の友人に一眼で撮ってもらった

奇跡の1枚を添えてできあがり。


その結果、そこそこ世間体の良いサラリーマンプロフが完成した。


ちがう。これは僕じゃない。

裏垢で死にたいと呟き、

夜な夜な陰鬱なnoteを書いている自分はそこにはいない。


僕じゃない僕にいいね!がつけられていく。

ハリボテ人形のような僕に。

でも、ありのままの僕は絶対に見せられない。

なぜかって誰からも選ばれない自分が一番辛いから。


画面の向こう側のあなたもそうなのだろうか。

浴衣を着て可愛らしい表情を浮かべるあなた。

アメリカのビーチを背に格好良くポーズを決めるあなた。

パンケーキを前にして両手を広げまんべんの笑顔のあなた。

おかし作りが趣味のあなた。


仮にあなたも偽りのあなただったとして、

偽りのあなたと偽りの僕が、不確かないいね!をすることによって生まれる

かりそめの関係が嫌なのだ。


写真の登録を増やすとマッチ率が上がるらしく、

多くの写真を登録している方も中にはいる。


海外の写真やカフェでの1枚。

夏祭りの写真も友達とのピースサインも勿論、素敵に見える。



でも本当に見てみたいのは


公共料金を払うためにちょっと外に出る深夜のあなたの部屋着姿や


コンビニで買った100円の肉まんを

半分こして夜の公園のベンチで頬張るあなたの横顔だったりする。







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