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続けるに値する会社

こんにちは、戸田です。

会社を当事者として経営し、あるいは、会社の経営に当事者の一員として伴走する時、さて、この会社は(世の中において)「続けるに値する会社」だろうか、と思う時があります。

この問いへの答えは、立場によって変わります。

顧客から見たとき

同じような商品やサービスを提供している会社や店が他にもある場合や、代替となる手段が簡単に手に入る場合、極論を言えば、その会社が続かなくなっても、顧客としてはあまり困りません。

ひいきにしていたロングセラー商品が休止になったり、近所の好きなお店が閉店したりしたとき、たしかにショックを受けることもあります。

だからといって、他にも代わりになる会社(の商品)やお店、或いは、大きな買い物であれば、たとえば自動車を買うのではなくて自動車を借りる、いや、健康を考えて自転車にする、エコ志向で電車にするなど、代わりの手段は結構あるものです。

このように、顧客から見たときには、本当になくてはならない会社、というのは限られています。これは、裏を返せば、他社では提供できない固有の価値を提供できていて、なかなか取って代わられない「参入障壁」の話に通じるものがあります。

そのような、顧客にとってのオンリーワン、「続けるに値する会社」になるにはどうするか。

スモールカンパニーでは、たとえ一つ一つの要素(商品特性、価格、納期など)においては代替可能性があったとしても、特定の顧客層に向けて、正しいポジショニングで、一つ一つの価値の掛け算で最適化していくことが肝要だと思います。

※ご参考図書:「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」フレッド・クロフォード/ライアン・マシューズ著

社員から見たとき

より働きやすく、あるいは、待遇の良い会社がある場合には、特段、その会社が続かなくなっても困りません。

ただでさえ、人手不足の時代です。むしろ市場から評価される(能力や経験、技術を持つ)人ほど、他の会社に引き抜かれて転職してしまうものです。

逆に、何が何でもその会社にしがみつかなければならない社員ばかりがいるとすれば、会社の生産性は低くなってしまう可能性が高いでしょう。もしそのような文脈で「続けるに値する会社」となっても、市場の競争には勝てず、ゆくゆくは退場を迫られます。

(市場からも評価されるくらいの)社員にとってのオンリーワン、「続けるに値する会社」になるにはどうすればよいでしょうか。

スモールカンパニーでは、社員自らがやりたいことや居心地が良いと感じることと、会社の経営(者/陣)が目指していることとの一致が最も大切だと思っています。

経営(者/陣)は、社員が何を求めて会社で仕事をしているのかを感じ取り、傾聴し、また、働いてくれていることに感謝し、信用し、信頼し、時に叱咤激励を、あらゆる対話の接点で示していくことが肝要です。※当然、不正防止などを含むガバナンスは別に必要です

待遇だけを取り上げれば、正直、スモールカンパニーは大手に比べるべくもなく、経済条件において追いつくことは到底、容易ではありません。

また、企業使命(ミッション/ビジョン/パーパス)の理想を訴えることも大事ではりますが、現実問題として、厳しい競争に明け暮れる中において、そのような大上段に構えた議論よりは、身の丈に合った日々の仕事観の擦り合わせを行っていくことが、社員にとって「続けるに値する会社」への近道だと考えます。

株主から見たとき

株主から見たときは、比較的シンプルだと思います。

株主から見たとき、「続けるに値する会社」とは、利益を出し続け、成長し続けることに尽きます。利益を生まないし、利益の還元が投資家になされない会社は、続けるに値しません。

基本は、投下資本利益率(ROIC)の観点から、会社全体だけでなく、個別事業への適切な投資=資産の割り当てと調達が運用できるかどうか、にかかっています。

地域社会から見たとき

さて、投資家からは全く評価されないような利益が出ていない会社も、地域の雇用を生んでいる、という点では、地域から見たときには「続けるに値する会社」である可能性があります。

また、社会生活を維持するためのライフラインに欠かせない役割を担っている場合など、公的な機能に近しい会社には、続けてもらわないと日々の生活に支障が出てしまいます。

赤字企業は不経済だから退出すべき、という指摘もごもっともではあるものの、実際問題として、地域社会にとっては、企業の利益の有無は一番の優先順位ではないように感じます。

むしろ、地域の公的な(環境)資源と調和し、住民のコミュニティとも協調できる会社こそが「続けるに値する会社」になるのではないでしょうか。地域が協力したくなるような会社が理想であると思います。

このようにして、経営(者/陣)は、複数の軸から会社を常に評価し、課題を整理して、「続けるに値する会社」へと進化できるように努めることが求められています。※このほかにも、取引先、金融機関、政府/管轄省庁/行政、といった重要な関係者の視点もありますが、長くなりましたので今回は省きました

改めて、なんとも、難しい仕事ですね。

本日は、以上です。

TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)


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