見出し画像

ポルシェ:古い部品も生産終了にはしない (CASE: 3/100)

▲ポルシェとサステナビリティ

ポルシェは、高機能のスポーツカーを製造する会社として高い人気を誇っています。2021年は世界での新車販売台数が前年比11%増で初めて30万台を越えました。また、営業利益率は16%となっており、量産車メーカーの中ではトップレベルの実績を誇っています。(参考:トヨタ自動車の営業利益率は同期間で8.1%)

ポルシェは、フラッグシップモデルとなる911をはじめとし、セダンからSUV、さらにはEVモデルへとラインナップを拡張させ、新しいユーザーを獲得することに成功しながら、根強いファン層を持つことでも知られています。

フラッグシップの911は、1963年の初代から一貫して不変のコンセプト、絶やすことなく作り続けてきたことで構築されたブランドイメージは絶大であり、それゆえ中古車市場でのリセールバリューも高く維持されています。また、911は1963年からの生産総数の70%以上が今も走行可能な状態で現存するそうです。

そのバリューを支えている仕組みがあります。それは、どんなに古い部品でも生産終了にはせずに、ポルシェが作り続けており、修理が可能である点です。部品の範囲は、ネジやホースなどの機関部品に限定されず、エンジンルーム内に貼り付ける説明書きなどのステッカーにも及びます。

部品を作り続けることで、中古車のリセールバリューを高く保つことができ、それ故に新車も高く販売することができる。結果として高営業利益率を維持しています。手入れして長く乗り続けられる整備環境を提供していることで、コアなファン層を維持・拡大させているのです。

脱炭素を考える際、パワートレインからの排出ガスに着目することは大事ですが、自動車そのものを生み出す際に利用するエネルギーも本質的には考慮するべきです。

製品利用時のエネルギー効率だけではなく、一度生み出したものを長く使い続けられるので、既存品の魅力が高まる。また、それ故に新製品の魅力も相対的に高まり、ファン層が拡大していく。そうしたビジネスモデルへの転換は他業界に対しても示唆が多いように感じます。


▲参照資料



▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

i.schoolディレクター。早稲田大学ビジネススクール(WBS)非常勤講師。九州大学理学部物理学科卒業、九州大学大学院理学府凝縮系科学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程中途退学。修士課程修了後は、野村総合研究所にて経営コンサルティング業務に携わる。その後、イノベーション教育の先駆者である東大発イノベーション教育プログラムi.school(旧名:東京大学i.school)では、2013年度よりディレクターとして活動全体のマネジメントを行っている。イノベーション創出のためのプロセス設計とマネジメント方法を専門として、コンサルティング活動と実践的研究・教育活動を行っている。近著に「INNOVATION PATH」(日経BP社)がある。

▲i.labについて


i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

会社名:イノベーション・ラボラトリ株式会社
代表取締役:横田 幸信
本社:東京都台東区小島2丁目14-5毛利ビル705
URL:https://ilab-inc.jp/
問合せ先:info@ilab-inc.jp (担当:井上)

Facebook: https://www.facebook.com/ilabinc/

Twitter: https://twitter.com/ilab_official/

note: https://note.com/ilab_official/

Newsletter:https://us10.list-manage.com/subscribe?u=3fcf8881c167bfe703b599ecb&id=d9db6d2781

--------

#sustainability #innovation #innovationdesign #sdgs #デザイン経営 #イノベーション #イノベーションデザイン #サステナビリティ #持続可能性 #新規事業 #パーパス #ビジョン #未来社会 #サーキュラーエコノミー #ブランド戦略 #ブランディング #ビジョン #ポルシェ #911 #脱炭素