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映画レビュー『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』(2017)のどかな自然×スチームパンク

夢の世界・ハートランド

主人公の女子高生・森川ココネは、
眠るたびに
いつも不思議な世界の夢を見ていました。

夢の中のココネは、
ハートランド王国の姫・
エンシェンであり、
魔法が使えるのです。

しかし、その魔法が脅威とされ、
エンシェンは、
ガラスの塔に幽閉されていました。

ハートランドには、
エンシェンをねらう巨大な鬼が現れ、
街を破壊しています。

エンシェンは、鬼を倒すために、
城から抜け出しました。

父のタブレットの争奪戦

現実の世界のココネは、
個人で自動車整備工場を経営する父と
二人暮らしでした。

母は、ココネが幼い頃に亡くなっており、
ココネは母のことを何も知りません。

ココネが1学期の終業式を終え、
明日から夏休みというタイミングで、
「父が警察に逮捕された」
という知らせを受けます。

自宅には、見知らぬ男たちがやってきました。

父からのメールによると、
どうやら男たちは父のタブレットを
探していたらしく、
それを奪われてしまいます。

彼らは大手自動車メーカーの
志島自動車の社員でした。

父のタブレットには、
自動車の自動運転プログラムが
入っていたのです。

のどかな自然×スチームパンク

本作では夢の中のハートランドの世界、
現実世界が交互に描かれています。

ハートランドとはなんなのか、
父と母の秘密、
いずれも物語が進むなかで、
夢と現実が混じり合うことで、
謎が解けていくことでしょう。

現実世界の舞台は、
岡山県倉敷市児島という
海が近くにある自然の多い場所です。

その背景の美しさと、
登場人物たちの方言が
のどかなイメージを引き立てています。

もう一方の夢の世界である
ハートランドは、
現代と中世を掛け合わせた世界観です。

機械文明が発達しており、
スチームパンク的なビジュアルが
魅力的でした。

物語は徐々に謎が解けていく構成で、
話が進むごとに
ストーリーに引き込まれていくことでしょう。

声優は主演の高畑充希をはじめ、
満島真之介、古田新太、江口洋介、
高橋英樹といった俳優陣が務めています。

しかし、最後のクレジットを見るまで、
気づかなかったくらい、
どの声も違和感のない仕上がりでした。
(高畑充希が主人公の声をやっているのは
観る前から知っていたが)

高畑充希が主演だったので、
もしやとは思っていたのですが、
エンディング曲は、
主人公「森川ココネ」名義での歌でした。

楽曲は忌野清志郎がカバーしたことで有名な
『デイドリーム・ビリーバー』です。

この曲自体が名曲ですが、
こんなにも優しく美しい
『デイドリーム・ビリーバー』を聴いたのは、
はじめてでした。

その歌声に思わず感動してしまいました。

本編の楽曲は、
『ストII』『キングダムハーツ』などの
ゲーム音楽を多く手掛けてきた
下村陽子氏が作曲しています。

こちらの壮大なオーケストレーションも
聴きごたえがあってオススメです。


【作品情報】
2017年公開
監督・脚本・原作:神山健治
声の出演:高畑充希
     満島真之介
     古田新太
配給:ワーナー・ブラザース
上映時間:110分

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