見出し画像

長期間繁栄する企業は、製品開発力の高さや戦略の秀逸さが理由なのではなく「企業文化が優れている」からである、というお話

タイトル少し煽りました。すみません。

正しくは、「長期間繁栄する企業は、高い製品開発力や、秀逸な戦略を出し続けることができる企業文化に”競争優位の源泉”がある」です。

製品やサービスは真似されやすい

製品やサービスは、直接顧客に提供される役務の最終形のため、競合から観察されやすい特徴を持ちます。

1980年代頃までは、各社が持つ技術力はバラバラだったので、より顧客ニーズに(技術で)近づけた方が勝つことができました。いわゆる技術競争の時代です。

コモディティ化

でもいまは、自社が持っている技術は(特許は別として)だいたい他社も持っています。

現在、企業が持つ技術力は、顧客のほとんどの未充足ニーズを解消することができてしまうレベルに達してしまったため、技術力で競争優位を発揮することが難しくなってしまいました。

これをオーバーシュートと呼びます。

ここで言うオーバーシュートとは、コロナのニュースで良く出てくる「爆発的な感染拡大(患者増加)」ではありません。

経営学やマーケティング論において「オーバーシュート」とは、メーカーが顧客の望んでいる以上の品質や性能の製品を開発して市場に出してしまうことであり、日本企業による「過剰品質」「過剰仕様」を指摘する場合などでよく用いられる(神戸大学MBAより引用)

技術で競合との差を出すことがしづらいいま、各社は消費者インサイトを深く探索し、感情的・情緒的・精神的ベネフィットを提供する商品コンセプトで勝負します。

コンセプトや文脈価値(Value-in-Context)での勝負は(もちろん、マーケティングコミュニケーションの量や設計によって簡単ではないものの)比較的容易に競合が模倣(真似)することができます。

すると、せっかく新しいコンセプトによって多くの未充足ニーズを取り込み、順調に売上を伸ばしたとしても、半年から一年くらいで競合が類似商品を出してきて、またたく間にコモディティ化が進展し、もとの価格競争に引き戻されてしまう。

そのため、いかに優れた製品やサービスであっても、その競争優位は長期間はたらかないのです。

正解がコモディティ化する現代

では、競合から見えにくい「戦略」はどうでしょうか。

戦略は、マクロ経済や競合環境などの外部環境分析と、自社の強み・弱み、経営資源などを考察する内部資源分析によって戦略の基本方針が定められるため、企業によって正解は異なります。

また、戦略は秘匿性の高い社外秘のカタマリのようなものですから、他社が簡単に戦略情報を入手し、真似することは難しいと思うかもしれません。

しかし、その戦略ですら、コモディティ化が進展しています。

この本、すごく売れましたが、読みましたか?

本書には、あらゆるものがコモディティ化する現代マーケティング環境の中で我々はどのように戦い、勝利をおさめるかについて、多くの示唆が記されています。

その中で僕が一番ぶっ刺さったのは、「正解すらコモディティ化している」ということへの気づきでした。

たしかに、一流企業の要職に就くビジネスエリートがみんなMBAを取得し、どこの会社も、ドラッカー、ポーター、コトラー大先生が示した戦略フレームワークを用い、優秀なボスコン、マッキンゼーのコンサルタントによって戦略をつくれば、だいたいどこの会社の戦略も同じになりかねません。

外部環境や保有する内部資源は違うものの、デジタルの世界やコモディティ化した環境下では、Winner-take-all(勝者総取り)がはたらきやすくなることも各社の戦略が同質化する一因なのかもしれません。

このように、いまや、戦略も他社に模倣されやすい(もしくはそもそも同じような戦略になっている)状態なのです。

では、製品やサービス、戦略が競合に真似されやすい状況の中で、長期間成長し続けている企業は、何が違うのでしょうか。

僕は、それが企業文化だと考えています。

ビジョン経営とパーパス経営

いやいや、そんなの、1995年に『ビジョナリー・カンパニー』が大ヒットしてんだから当たり前だろ!となりますよね。

そこをなんとか、もう少しお付き合いください。

確かに、最近では、ミッション、ビジョン、(コア)バリューの3点セットを社内外に明示する企業が増えてきました。

2019年3月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューは『 PURPOSE(パーパス)会社は何のために存在するのか/あなたはなぜそこで働くのか』でしたしね。

PURPOSE経営は、言葉は違えど、言いたいことは『ビジョナリー・カンパニー』とだいたい同じです。

大事なのは、1995年に『ビジョナリー・カンパニー(一巻)』が出版されてから25年の時を経て、再度、ビジネス界で(コロナ騒動の前に)いま改めて会社の存在意義を考えよう、という動きが活発になってきていた、という事実です。

僕は、ビジョンやパーパスが、2020年における企業の競争優位の源泉と考えられているからと解釈しています。

さて、このミッションとビジョン。

ミッションがあって、ビジョンがある(ミッションが主で、ビジョンが従)という考え方がある一方、ビジョンがあって、ミッションがある(ビジョンが主で、ミッションが従)とする考え方もあります。

それ以外にも、バリューがあったり、企業理念や経営理念があったり、コーポレートスローガンがあったり、整理が難しい。

僕も長期間、いろいろ試行錯誤しましたが、結局のこの整理が一番わかりやすいと思っています(個人的に腑に落ちています)。

それがこれ。

画像2

スタートは、ミッション

ミッションは、その名の通り「使命」。当社は、なぜこの社会に存在しているのか、という問いです。

僕は、ミッションをいつも「何を背中のバックパックに背負って山の頂上を目指すかだ」と言っています。

「なにもないけど、とりあえずあの山の頂上に立ちたい」「山の頂上を目指す理由?そんなの金儲けに決まってるだろ!」ではイケてません。

社長が一人で勝手に登るのは勝手ですが、多くの仲間とともに険しい山の頂上を目指すなら、「なぜ目指すのか」を示すWHYが重要です。

なぜなら、そのWHYこそが顧客を惹き付ける源泉となり、そして、一緒に頂上を目指すメンバーの「やりがい」の拠り所になるからです。

全員、見てると思いますが、まだの人はこれ(サイモン・シネック大先生のゴールデン・サークル)を見てください。

トライバルのミッションは、「ソーシャルエコノミーでワクワクした未来を創る。」です。

これが僕たちが社会に存在する意義であり、背中に背負って山の頂上を目指す理由です。

山の頂上(ゴーイングコンサーン(継続企業)や、XX年に売上(利益)XX円、業界No.1、マーケットシェアXX%、従業員目標XX人など)は、手段であって目的ではありません。

目的なき登山は不毛です(ミッションなきビジョンに意味はありません)

こんな時代だからこそ、企業経営(や起業)において、「なぜ、その山に登るのか?(なぜ登りたいのか?なぜ自分が登らなければならないのか?)」というミッションこそ、もっとも大切なものだと思います。

ビジョンは、目指す山の頂上

ミッションが背中に背負ったバックパックの中身だとするならば、ビジョンは、そのバックパックを担ぎ上げたい山の頂上です。

「なぜ目指すのか」がミッションで、「いつまでに、どこを目指すのか」がビジョンです。

そのため、ミッションは、時間軸とともにあまり変わらない性質を持ちます。使命だから、コロコロ変わらない。

でも、ビジョンは変わります。

頂上についたから(縦走のように)続けて次の頂上を目指す場合もあれば、7合目まで進んだら違う景色が見えてきたので違う山の頂上へ行き先を変更することもあるでしょう。

いずれにせよ、経営は生き物ですから、WHY(ミッション)は変わらず、WHENとWHEREは変わって良いもの(変わるべきもの)です。

トライバルのビジョンは、『クライアントのビジネスをソーシャル化によって革新する。』です。

日本のトップを走る大企業の広告宣伝、広報、販促、マーケティングが(ソーシャルメディア活用といった狭義の取り組みだけでなく)真にソーシャル化(企業と顧客、顧客と顧客、企業と社員、社員と社員がつながり、化学反応やシナジー(相乗効果)が起こる、フラット化する、情報の非対称性がなくなるなど)を達成することが僕たちのビジョンです。

トライバルのビジョンを説明すると長くなるので、また別の機会に。

どうやって山の頂上を目指すのか?= 戦略と組織

ミッションが詰まったバックパックを背負って、ビジョンという山の頂上を目指す。

どうやって?(どんな道のりで?)を示すのが戦略。そして、その戦略をどんなパーティー(チーム体制)で実行するのか?を示すのが組織戦略です。

どんな仲間と山の頂上を目指す?= バリュー

バリューとは、組織共通の価値観です。

バックパックの中身よし、目指す山の頂上よし、頂上にアタックするルート計画、持ち物、季節や日取り(天候)よし、チーム体制(各人の専門領域、先頭や最後尾の配置計画)よし。

ここまで揃っても、登山が失敗する理由。それは、メンバーの価値観がバラバラのときです。

「登山はチームワークが大事だ!」「チームプレーめんどくせー。ひとりで登った方が早いわ~」「報酬が良いから参加してるだけ。とっとと終わらせて帰りたい」「腹へったー」ってメンバーだったら頂上までたどり着けなそうですよね。

だから、バリューが大事なんです。

企業文化がすべてに影響を与える

じゃあ、ミッション、ビジョン、戦略、組織、バリューがぜんぶ揃っていれば、それでいいのか?とはいきません。

なぜなら、企業をとりまく環境はどんどん変わるからです。

企業は前に進みます。進めば景色が変わるので、ビジョンも変わる。環境も内部資源も変わるので戦略も変わる。戦略が変われば組織も変わる。新しく社員が入ってくるし、転職などで既存社員が辞めていく。

いくらバリューが大事だ!と声高に叫ぼうと、いくらステキな制度がたくさんあろうとも、肝心の「風土」がともなっていなければ、最適・適切な変化を続けることはできません。

変わらないために、変わり続けるための”拠り所”

あまりにも有名なダーウィンの進化論は引き合いに出しませんが、企業はミッションを変えないために、ビジョンを実現するために、激しい環境変化にフィットし続けなければなりません。

つまり、変わらないために、変わり続けなければならないのです。

ビジョンや戦略や組織構造を考え、変更する人は、どんどん変わります。人が変わっても会社の軸が変わらないためには、会社の軸を企業文化という名の太い背骨が支えていなければなりません。

リクルートやサイバーエージェントやNetflixが強いのは、「それってうちらしいか?」という問いに対して、経営陣だけでなく、現場にいるスタッフまでも、ほぼ同じ価値観で意思決定することができる思考様式、行動様式が浸透しているから=強い企業文化があるから、だと思うのです。

企業文化は、すべての会社に「在(あ)る」

企業文化は、この世に存在するすべての会社に存在します。「企業文化が無い企業」は存在しません。

また、多くの企業には組織があります。組織が2つあれば、それぞれに組織文化があるはずです(企業文化の中に、さらに組織文化があります)。

文化とは、何を讃え、何を咎(とが)めるかです。

多くの場合、その文化を主導しているのは組織のトップ(組織文化は部長、会社なら社長)ですが、いわずもがな、構成員(スタッフ)も文化形成に多大な影響を与えます。

文化は誰がつくるのか

文化は組織のトップとスタッフ(構成員)の相互作用からつくられます。

そしてそれは、ある日突然つくられるものではなく、毎日まいにち少しずつ、地層のように折り重なり、形成されていきます。

トップは率先垂範せずに上から号令しかかけない、言っていることとやっていることが違う、不平不満ばかり言う社員が多い、だいたいみんな他責(何かや誰かのせいにする)、優秀な人から順番に辞めていく。

こんな文化になってしまったら、一朝一夕で変えることはとても困難です。文化は、良い文化も悪い文化も、つくるのも、変わるのも、時間がかかります。だからこそ、強い文化は中長期的な競争力の源泉になるのです。

誰をバスに乗せるか

企業や組織のトップが諸悪の根源になっている場合を除き、自社の望ましい文化を形成・強化するためには、自社の企業文化を「誰とつくるか」が重要となります。

『ビジョナリー・カンパニー2』などの著書で有名なジム・コリンズは、採用を「バスに乗せる」と表現しました。

・誰をバスに乗せるか
・乗ってきた乗客とどう接するか(何を讃え、何を咎めるか)
・どんな乗客にはバスを降りてもらうか

自社らしい、望ましい文化をつくるためには、この3点にいかにこだわることができるかにかかっています。

文化とは無縁の就職・転職市場

にも関わらず、現在の就職・転職市場は、肝心の価値観や文化ではなく、ほぼ条件検索が主流です。

新卒市場は(十分な情報を持っていない新卒学生だから仕方ない部分もありますが)人気ランキングの顔ぶれは、いつも誰もが知る有名企業ばかりです。

・誰もが知っている(有名、大きい、安心)
・比較的年収が高い(給与、賞与)
・残業時間が短い(働き方改革が進んでいる)
・勤続年数が長い
(安定している、いつまでいるかはわからないが、いたい間はずっといられる安心感)
・福利厚生が手厚い など

転職の場合、キャリアアップや自身が携わりたい仕事が新卒時よりは明確なので、ここまで条件的ではないにせよ、大枠はあまりかわらないと思っています。

「良い会社か悪い会社か」ではなく「自分に合うか合わないか」

大きくて安定しているとか、給与が高いとか、残業が少ないとか、福利厚生が充実しているとか、「一般的に良い会社」とされる基準はあると思いますが、それが「自分にとっての良い会社」かどうかってわからないと思うのです。

「人生の1/3は布団の中」という有名なコピーがありますが、「人生の1/3は仕事中」でもあるわけです。

しかも、つまらない仕事や合わない会社にいると、日曜日の夕方から暗い気持ちになりますし、往復の通勤時間や家に帰った後も鬱な気分に引きづられるため、1/3どころの話じゃないと思います。

金曜日の夕方が一番元気で、日曜日の夕方が一番鬱なんて生活を52週繰り返し、それを40年以上続けるなんて地獄ですよね…

どんなに大きな会社で、残業時間が短くて、給与が高くて、福利厚生が充実していても、合わない会社にいたら、不幸だと思うんです。

だから、望ましい企業文化をつくりたい企業側も、毎日価値観がバリマッチする先輩、同僚、後輩と、やりがいにあふれる仕事をして、ハッピーな毎日を送りたい社員側も、もっと価値観や企業文化(自分に合うか合わないか)でマッチングすることができるようになったらいいのに、とずっと考えてきました。

図にするとこんな感じ。

合う会社と合わない会社

Ⅰが一番幸せ。Ⅱはブラックで無い限りまあまあ幸せ。多くの人はⅢかⅣなのでは…?

先にも紹介しましたが、トライバルのミッションは『ソーシャルエコノミーでワクワクした未来を創ること。』であり、ビジョンは『クライアントのビジネスをソーシャル化によって革新する。』なので、企業文化の見える化および発信と、求職者のマッチングをソーシャル化によってもっとハッピーにできないか?と熟考を重ねてきました。

そして、つくったのがシンパシというサービス。

企業文化は、売上や従業員規模や年収のように目で見ることができません。

そのくせ、企業にとっては文化とマッチした人材の採用は至上命題だし、応募する側はその後の仕事のやりがいや精神的充足度にとても大きな影響を受ける。

かといって企業が(企業都合で)発信する採用メッセージには「アットホームな会社です!」とか「若くてもすぐに責任あるポジションを任せます!」とか「風通しの良いフラットな職場です!」とか書いてあっても、イマイチ(というかだいぶ)信用できない…。

であるならば、その企業文化のど真ん中にいるスタッフ(社員)が「うちの会社あるある」として発信し、多くの社員から「あるある!」と共感されたものだけが社外にも見えるようになっていたらいいのでは?と考えました。

ポイントは、会社の都合に悪いものであっても、人事担当者が掲載情報をコントロールできないこと。

まさに、企業文化の「見える化」と「発信」のソーシャル化です。

こんな感じで見える化されます。

トライバルのあるある

いろいろなお題があり、スタッフ(社員)が任意で回答します。

あるあるのお題

ここからすべてが見れるので、ぜひ覗いてみてください(プニプニした触感を心がけました)

・β版なのでOGPがイマイチ…(言い訳)
・回答数が少なく見えるのは他の社員からの「共感いいね」数が少ないものは(n数が少なく信憑性が低いものとして)掲載されないためです
・池田も人事も掲載or削除のコントロール権はありません

……と自社サービスの宣伝のために長々と書いてきましたが、社会のためになると心の底から考えて自信満々でローンチしたサービスなので、ポジショントークだけど許してください(邪悪なものは別として、クリーンかつビジョナリーなポジショントークは社会を良くすると信じています)

==

コロナの野郎のせいで大変な世の中になってしまい、採用市場は急速な減速が始まっているようですが、コロナはいずれ収束します。

シンパシは、「採用予算は少ないけれど、とっても良い会社なんです!みんな気づいて!」という会社の味方になりたくてつくったサービスです。

ぜひいまのうちに仕込みを入れて、「そのとき」に備えてください。

ということで、9月末まで無料で使っていただけるようにしました。

これもOGPがイケてない…orz

サービス担当者による熱い想いも、ぜひ読んでやってください。

これからは、企業文化が強い会社が生き残り、成長します。これを機に、ぜひあなたの会社の企業文化の見える化と発信に取り組んでみてください。

あなたの会社が良いか悪いかは別として、あなたの会社に合う人が見つけてくれ、応募してきてくれるはずです(!)

お申し込み、お問い合わせはこちらから(9月まで無料です)

直接は嫌だからお前から資料送れ!という人は僕のTwitterDMまでご連絡ください。

この難局、みんなで乗り越えましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?