カスタード愛の行方
私のアルバイト先は卵屋さんが開いたパン屋で、自家製カスタードのクリームパンが看板商品だ。そのため、毎日大量のカスタードを仕込む。数十個の卵を割り、素手で分けた黄身を他の材料と混ぜガスで炊く。カスタードの絶妙な固さから腱鞘炎にならない混ぜ方に至るまで極める点は尽きない。冷えた卵に手が凍りそうになる日も、ひたすらに熱くて重い銅鍋を必死に抱える日も、炊きあがったカスタードのほかほかと甘い香りに包まれれば幸せだった。カスタード要員として4キロのカスタードを2回仕込み、そのあと授業に行