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読みがえり

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読んだ本のレビュー(書評)をまとめています。雑多な書棚ですが、興味があればどうぞ!※注意🚨紹介している本を一度読んでから開くのをオススメします。限りなくネタバレに近いので笑笑
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#ノンフィクション

読書:『昭和16年夏の敗戦』猪瀬直樹

読書:『昭和16年夏の敗戦』猪瀬直樹

①紹介

元東京都知事で作家の猪瀬直樹氏による『昭和16年夏の敗戦-新版』(中公文庫、2020年)を紹介します。日本の敗戦は予測されていた。日米開戦直前、全国各地から「総力戦研究所」(以下、「総研」)なる機関に集められた若きエリートたち。彼らの情報分析によって導き出されたその結論はなぜ日の目を見ることなく「消された」のでしょうか。


②考察

● 「十二月中旬、奇襲作戦を敢行し、成功しても緒戦

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読書:『教誨師』堀川惠子

読書:『教誨師』堀川惠子

①紹介

ノンフィクション作家の堀川惠子氏による『教誨師』(講談社文庫、2018年)を紹介します。著者自らが浄土真宗の僧・渡邉普相に取材した本書は、50年にわたり教誨師として彼が死刑囚たちと重ねた対話と告白。生を説きながら、罪人を死へと導かなければならない矛盾がここに。死刑の裏側を炙り出す衝撃の一冊です。


②考察

● 「最初から、法の決まりの中でわれわれ教誨師になっているわけですから。拘置

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読書:『犠牲』柳田邦男

読書:『犠牲』柳田邦男

①紹介

ノンフィクション作家の柳田邦男氏による『犠牲-わが息子・脳死の11日』(文春文庫、1999年)を紹介します。ある夏の日、心を病んだ次男が自死を図り緊急搬送。その後に判定された脳死という現実。本当の死が訪れるまでの数日間、残された家族が葛藤と苦悩の末に選んだ答えとは。逝く息子と彼を見守る父による魂の記録です。


②考察

● 「もちろん脳死患者だからといって放置するのではなく、私たちは

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読書:『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

読書:『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

①紹介

イギリス在住のライターであるブレイディみかこ氏の『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫、2021年)を紹介します。南東部の都市ブライトンにある元底辺中学校に通うことになった息子の成長を綴った本書は、Yahoo!ニュース|本屋大賞2019ノンフィクション本大賞を受賞しました。


②考察

● 「多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからい

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読書:『海をあげる』上間陽子

読書:『海をあげる』上間陽子

①紹介

教育学者の上間陽子氏による『海をあげる』(2020年、筑摩書房)を紹介します。Yahoo!ニュース|本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞に選ばれた本書が訴える沖縄の現実。母(著者)と娘、県民の喜怒哀楽に私たちが思うことは何でしょうか。

②考察

● 「あなたの窮地に駆けつけて美味しいごはんをつくってくれる友だちができたなら、あなたの人生は、たぶん、けっこう、どうにかなります」

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