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読みがえり

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読んだ本のレビュー(書評)をまとめています。雑多な書棚ですが、興味があればどうぞ!※注意🚨紹介している本を一度読んでから開くのをオススメします。限りなくネタバレに近いので笑笑
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#沖縄

読書:『海をあげる』上間陽子

読書:『海をあげる』上間陽子

①紹介

教育学者の上間陽子氏による『海をあげる』(2020年、筑摩書房)を紹介します。Yahoo!ニュース|本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞に選ばれた本書が訴える沖縄の現実。母(著者)と娘、県民の喜怒哀楽に私たちが思うことは何でしょうか。

②考察

● 「あなたの窮地に駆けつけて美味しいごはんをつくってくれる友だちができたなら、あなたの人生は、たぶん、けっこう、どうにかなります」

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読書:『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』樋口耕太郎

読書:『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』樋口耕太郎

①紹介

経営者の樋口耕太郎氏による『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(光文社新書、2020年)を紹介します。その理由を沖縄社会に根付く歪な文化に見出した時、もう気安く「いいところ」とは言えなくなるでしょう。日本の一大観光地・沖縄の抱える不都合な真実がここに。


②考察

● 「沖縄の根本原因を突き詰める旅は、日本の根本原因を突き詰める旅でもあり、そして、私たち自身を見つめる旅になるだろ

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読書:『小説 琉球処分』(下)大城立裕

読書:『小説 琉球処分』(下)大城立裕

①紹介

沖縄の小説家・大城立裕による『小説 琉球処分』(下巻、講談社文庫、2010年)を紹介します。前回読んだ上巻の続きですね。琉球最後の王・尚泰が日本への従属を呑んだことで、王国の崩壊が音を立てて始まりました。残された民は一体どうなるのか。日本への同化を迫られる苦痛は、今日の沖縄が抱えるそれと非常によく似ているような気がします。


②考察

● 「(こんなはずはない。時代の流れというものは

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読書:『小説 琉球処分』(上)大城立裕

読書:『小説 琉球処分』(上)大城立裕

①紹介

沖縄の小説家・大城立裕による『小説 琉球処分』(上巻、講談社文庫、2010年)を紹介します。史実に基づく大河ドラマさながらの物語。明治政府の一方的な決定によって意見が分かれ翻弄される琉球の人々。作者が亡くなってから4年目となる今年、沖縄が抱える諸問題の根幹に迫ってみませんか。

②考察

● 「軍隊を置くのは、琉球の防衛なんだよ。清国や列強が琉球をねらっている」
➢ 大久保利通の使いであ

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書評:『琉球王国』高良倉吉

書評:『琉球王国』高良倉吉

①紹介

琉球史学者の高良倉吉氏による『琉球王国』(岩波新書、1993年)を紹介します。「なぜ沖縄の歴史は暗いのか」という学生の問いに端を発し、著者含め学者だけでなく、様々な職種のウチナーンチュも携わった研究の成果がここに。かつて繁栄した島嶼国家の姿が見えてきます。

②考察

● 「いまもって『日本のなかの沖縄』の内に『日本の外としての沖縄』が内包されている」
➢ 1972年の返還以来、沖縄は日

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