ますく堂なまけもの叢書 発行人

かつて西池袋にあり現在は阿倍野に店舗を構える「古書ますく堂」の思想的関東支店として文芸…

ますく堂なまけもの叢書 発行人

かつて西池袋にあり現在は阿倍野に店舗を構える「古書ますく堂」の思想的関東支店として文芸同人誌『ますく堂なまけもの叢書』を刊行しています。文芸誌同人誌『回青橙』、西荻窪の古書店「古書モンガ堂」刊行の『モモイトリ』、夜明け間際の吉野家発『「中島みゆき」と歩く』等にも参加しています。

最近の記事

高良くんと天城くんとその他の物語 インフラとしてのジャニーズⅡ(冒頭部公開)

最後の(?)ジャニーズ特集号を 始めるにあたって 益岡和朗(以降、益岡)  皆さまお疲れ様でございます。《ますく堂なまけもの叢書》、久方ぶりのジャニーズ特集へようこそ。 一同 (笑) 益岡  本日の趣向としては、まず、ジャニーズ事務所と大変縁の深いBLドラマ「高良くんと天城くん」を、この会場に午前十時から集まって視聴いたしまして、そのドラマと、ジャニーズ全般について語り合う会を午後から……今、十四時半ですけれども、これから行うという流れでございます。朝からいらしていただいて

    • 読書サロンにて『百合小説コレクションwiz』を読む(冒頭部公開)

      ※こちらは、2023年11月11日開催の「文学フリマ東京37」にて初頒布する『読書サロン発、百合コレクション2023』のメイン記事、『百合小説コレクションwiz』(河出文庫)読書会レポート冒頭を試し読みとして公開するものです。「ネタバレ上等!」で語り合っておりますので、閲覧時、ご留意ください。 二〇二三年・夏、読書サロン、 最先端の百合文芸に挑む ティーヌ  「読書サロン」主宰のティーヌと申します。今回の課題本は、河出文庫から今年の二月に刊行された百合小説アンソロジー『百

      • ますく堂座談会レポート:幾原邦彦監督アニメ「さらざんまい」を語る(冒頭部分のみ抜粋)

        悲願のイベント、ついに実現! みんなで朝まで「さらざんまい」! 益岡和朗(以降、益岡)  今回のテーマは、アニメ「さらざんまい」です。 矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太という三人の中学生が、今は亡きカッパ王国の第一王位継承者・ケッピの呪い(?)でカッパにされてしまい、人類の欲望を糧に暗躍するカワウソ帝国と戦わされることになります。カワウソ帝国の幹部として生きるカッパ王国の元戦士にして浅草川嘘交番の警官コンビ・新星玲央と阿久津真武が送り込む怪人・カパゾンビとの戦闘は、彼らの命そのもの

        • テレビドラマ「君の花になる」感想本 『きみはな本 「8LOOMは僕たちの宝だよ」篇』試し読み 

          ここで紹介する『きみはな本 「8LOOMは僕たちの宝だよ」篇』は、《ますく堂なまけもの叢書》発行人が、昨年放送したTBSのテレビドラマ「きみの花になる」が「とにかく好き!」という気持ちだけでつくってしまった同人誌です。 内容は、ドラマ全話の紹介と感想を、ただただ、個人の偏愛だけを頼りに綴ったものでございます。 昨年の大晦日に開催された「大崎コミックシェルター」参戦を機に発行し、「文学フリマ」や、神保町の共同書店「PASSAGE」にて頒布いたしております。 DVD、Blu-ra

        高良くんと天城くんとその他の物語 インフラとしてのジャニーズⅡ(冒頭部公開)

          ますく堂読書会レポート:読書サロンにて『須永朝彦小説選』を読む

          追悼出版にて、ついにブレイク? 「孤高の文学者・須永朝彦」の回想 ティーヌ  セクシュアルマイノリティが登場する小説を課題として開催される読書サロン、二〇二二年六月の課題作は、ちくま文庫から刊行されている山尾悠子編『須永朝彦小説選』です。まずは、この本を推薦いただいた益岡さんから一言お願いします。 益岡和朗(以降、益岡)  皆さまお疲れ様です。今回は、持ち込み企画と申しますか……僕の発行している《ますく堂なまけもの叢書》という文芸同人誌がございまして、これは「古書ますく堂」

          ますく堂読書会レポート:読書サロンにて『須永朝彦小説選』を読む

          ますく堂読書会レポート『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』を読む

          ファン待望のベスト・エッセイ出来 緊急事態下に矢川澄子を読む 益岡  明日、二〇二一年四月二十五日から、東京には緊急事態宣言が出るそうですが、埼玉県でも、今日の会場となっている川口市とさいたま市だけがまん延防止等重点措置の対象地域となっております。昨年からずっとコロナの影響でなかなか対面のイベントが難しいという状況が続いている中で、やっと少しましになってきたかな……というところでの感染再拡大という事態でしたので、この読書会も開催するべきか迷ったのですが、大阪へ旅立った古書ま

          ますく堂読書会レポート『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』を読む

          真壁有希子が立ち向かった、二つの「完璧な人生」(「緊急取調室」3rd SEASON)

          ※本稿は、連続ドラマ「緊急取調室」3rd SEASONの各話及びシリーズ全体の結末に触れている部分があります。先入観なく作品を楽しみたい方は、是非、ドラマ鑑賞後にお読みください。  天海祐希演じる取調べの鬼、真壁有希子警部補を主人公とした人気刑事ドラマシリーズ「緊急取調室」。本稿では、二〇一九年に放送された3rd SEASON(テレビ朝日)について、特に「ジェンダー」という観点に着目しながら、読み解いていきたい。  第一話、真壁は女性警察官として史上初の警視庁刑事部参事官

          真壁有希子が立ち向かった、二つの「完璧な人生」(「緊急取調室」3rd SEASON)

          読書サロンにて、矢部嵩『〔少女庭国〕』を読む (冒頭部を抜粋)

          「ハヤカワ百合SFフェア」 最大の問題作、『〔少女庭国〕』の衝撃 ティーヌ セクシュアルマイノリティのキャラクターが登場する小説をテーマにした読書会、「読書サロン」主催のティーヌと申します。今回は、「ますく堂なまけもの叢書」さんとのコラボ企画ということで、矢部嵩『〔少女庭国〕』をテーマに語り合っていきたいと思います。 最初に益岡さんから、今回の経緯についてお話しして頂きたいと思います。 益岡 「ますく堂なまけもの叢書」の発行人をしております、益岡と申します。西池袋にある「古書

          読書サロンにて、矢部嵩『〔少女庭国〕』を読む (冒頭部を抜粋)

          加藤シゲアキ『オルタネート』選評を読む(「第164回直木三十五賞」篇)

          ※この記事は、第164回直木三十五賞の選評内容に触れています。先入観なく原文にあたりたい方はご注意願います。 全候補作中、第二位だった(と思しき)『オルタネート』 加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)の進撃が止まらない。  「直木賞」候補に続いて、「本屋大賞」「吉川英治文学新人賞」とビッグタイトルへのノミネートが続いている。  特に「吉川新人賞」は、「直木賞」「山本周五郎賞」と並ぶプロのエンターテインメント作家に対する新人賞(実質的には中堅・実力派作家に贈られる「免許皆伝

          加藤シゲアキ『オルタネート』選評を読む(「第164回直木三十五賞」篇)

          ますく堂 映画放談『埼玉の植民地・池袋の片隅で「翔んで埼玉」を語る』(冒頭部を抜粋)

          古書ますく堂史上、屈指の名作?     最強の埼玉礼賛映画「翔んで埼玉」 益岡 映画「翔んで埼玉」は魔夜峰央先生が一九八三年に発表した未完のコミックを大胆に脚色した娯楽大作です。 大都会・東京が貴ばれる一方で、埼玉県が必要以上に忌むべきド田舎として扱われている架空の日本を舞台に、埼玉県民であることを隠しながら東京の名門校に通い、埼玉の地位向上を目指す若き革命家・麻実麗と、生徒会長で埼玉弾圧の急先鋒であったはずが麗の魅力の虜になり、その身を捧げんと決意する美少年・壇ノ浦百美が織

          ますく堂 映画放談『埼玉の植民地・池袋の片隅で「翔んで埼玉」を語る』(冒頭部を抜粋)

          ますく堂読書会レポート「加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』読書会」(冒頭部を抜粋)

          ※この記事は、加藤シゲアキ『オルタネート』直木賞ノミネートを記念して、また、「テキストレボリューションEX2」にあわせて復刊される『ますく堂なまけもの叢書④自称読書家たちが加藤シゲアキを読まずに侮るのは罪悪である』のメインコンテンツ、加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』読書会レポートの冒頭を公開したものです。 ※『チュベローズで待ってる』(扶桑社)のストーリー展開・結末に触れている部分があります。ネタバレであると感じる方もおられると思いますのであらかじめご注意ください。

          ますく堂読書会レポート「加藤シゲアキ『チュベローズで待ってる』読書会」(冒頭部を抜粋)

          ますく堂読書会レポート「瀬戸内寂聴『余白の春 金子文子』を読む」(冒頭部を抜粋)

          今、再発見される異色の女性革命家 二〇一九年の金子文子 益岡 さて、本日は二〇一九年の大晦日、令和元年最後の日です。令和最初の日である五月一日にジャニーズ座談会、そして今日はアナーキズム読書会ということで、実に罪深い、我々らしいイベントをさせていただいていると自負しております。 一同 (笑) 益岡 僕がアナーキズムに興味を持ち始めたきっかけは、一箱古本市というイベントです。一箱古本市というのは、段ボール一箱分の本を持ってきて販売するという、いわば「古本フリーマーケット」なんで

          ますく堂読書会レポート「瀬戸内寂聴『余白の春 金子文子』を読む」(冒頭部を抜粋)

          ますく堂読書会レポート「津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』を読む」(冒頭部を抜粋)

          『ヒッキーヒッキーシェイク』文庫版刊行前史 益岡 今回の課題本である『ヒッキーヒッキーシェイク』は、ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉(JJ)が、自身のクライアントである苫戸井洋佑(タイム)、乗運寺芹香(パセリ)、刺塚聖司(セージ)に伝説的なウィザード・ロックスミス(ローズマリー)を加えた引きこもりばかりのプロジェクトチーム「ヒッキーズ」を結成し、ウェブ上を舞台にした「人間創り」を皮切りに、世界を救うかもしれない事業を進め続けていく姿を描き出した小説です。 津

          ますく堂読書会レポート「津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』を読む」(冒頭部を抜粋)

          ますく堂座談会レポート「インフラとしてのジャニーズ 令和の初めに『少年たち』を語る」(冒頭部を抜粋)

          ジャニーズ黄金期としての「平成」 益岡 さて、本日は二〇一九年五月一日です。つまり今日から新しい元号の「令和」が始まるということになるわけですが、こんな「しかるべき日」に、ある意味では大変相応しく、またある意味では非常に罪深い(笑)この座談会にご参加いただいたことに、まず感謝したいと思います。 今回の企画は、「読書サロン」というセクシュアルマイノリティが登場する小説を読む読書会の新年会で、トットさんとみずきさんと一緒にずっとジャニーズの、特に「8時だJ」の話を二時間くらいし続

          ますく堂座談会レポート「インフラとしてのジャニーズ 令和の初めに『少年たち』を語る」(冒頭部を抜粋)

          ますく堂「おっさんずラブ」放談②   「おっさんずラブ ─in the sky─ 」の巻(『「おっさんずラブ」という未来予想図~革命の、その先へ~』より冒頭部を抜粋)

          「天空不動産編」終幕から「インザスカイ」開幕に至る大惨事 ※本稿は、テレビドラマ「おっさんずラブ ─in the sky─ 」(テレビ朝日)の結末に触れています。閲覧時にはご注意いただければ幸いです。 益岡 さて、ますく堂なまけもの叢書が「おっさんずラブ」をテーマに行う座談会も今回で三回目です。前回の「劇場版」座談会も、この埼玉県川口市で行われたわけですが、古書ますく堂がこの度、大阪阿倍野に移転することと相成りまして、今は引っ越しに向けた準備の真っただ中ということでござい

          ますく堂「おっさんずラブ」放談②   「おっさんずラブ ─in the sky─ 」の巻(『「おっさんずラブ」という未来予想図~革命の、その先へ~』より冒頭部を抜粋)

          ますく堂「おっさんずラブ」放談①   『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~ 』の巻(『「おっさんずラブ」という未来予想図 ~革命の、その先へ~』より、冒頭部を抜粋)

          ※本稿は、『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~ 』をネタバレ前提で語りあった座談会レポートの冒頭部を抜粋したものです。閲覧時はご留意いただければ幸いです。 「おっさんずラブ」革命後の大展開! 劇場公開は待望? それとも拙速? 益岡 本日は「『劇場版おっさんずラブ~LOVE or DEAD~』をみんなで観て、そのままの勢いで語る会」にお越しいただきありがとうございます(笑) 「おっさんずラブ」(二〇一八年、テレビ朝日)は、田中圭演じる春田創一(通称はるたん、

          ますく堂「おっさんずラブ」放談①   『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~ 』の巻(『「おっさんずラブ」という未来予想図 ~革命の、その先へ~』より、冒頭部を抜粋)