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すきを贈りたい小説たち

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#短編小説

華さんの犬

「犬ならいいよ。彼氏は駄目だけど」  と華さんが言ったその日から、俺は彼女の犬ということ…

ジュージ
3年前
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凍えるほどにあなたをください

【カクヨムの『同題異話SR』という自主企画のために、指定されたタイトルに沿って書かれた作品…

ジュージ
2年前
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【小説】日曜日の散歩

石畳の道をふらふらと歩く。両側には石造りの家が並び、家から家へロープが渡されていて、そこ…

あだち
2年前
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【小説】雨が降らなければ

曇り空から雨粒が落ちる前に、目的地にたどり着ければと思っていたけれど、あいにく、途中から…

あだち
2年前
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小説|君に贈る火星の

 天文学者の父親と同じく少女は宇宙を愛しています。一三八億年の歴史を想う賢い少女は、他の…

大人になれない僕たちは 第1話 冷めないコーヒーはない

「おいおい、ケガしたんだって」  番組収録で滑って転んだ芸人が骨折し、現場は、早朝からそ…

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夜空の下には僕達しかいなかった

部活はテニス部。都内の男子高に通い、部活をして帰る。 それだけで腹がへる。1日4食から5食。金がない。 おまけにテニスラケットのガットがすぐ切れる。僕の何も考えないプレイスタイル。ひたすらハードヒット&ハードスピン。ガットがすぐ切れる。今のような耐久性のあるポリエステルがなかったので頻繁に3,000円前後の張替費用が飛ぶ。金がない。 バイトをしたいが、テニスもやりたい。腹が減るがテニスもやりたい。 時間がない。 とりあえず夏休みの間だけバイトをやることにする。 テニス部の練

短編小説 「現実の街」

「おれ、悪魔をつくる方法なら知ってますよ」 横川はそう言って、デミタスカップからエスプレ…

西平麻依
3年前
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アイオカさん

何を捨てているんだろう。 何で捨てるふりしてるんだろう。 何で、こっちに気づかないんだろう…

北木 鉄
3年前
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若草という男がいる。 引っ越しをした際、下戸なりの知識で購入した日本酒をお猪口に注ぎ、玄…

北木 鉄
3年前
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【小説】 猫だというので

「吾輩は猫である」  そう言って、婚約者が布団にくるまり家から一歩も出なくなったのは、一…

坂 るいす
3年前
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沈むふたり

朝ごはんを片付けたあと、鼻にしみついた食材と油、塩分の香りを覆うように、ファンデーション…

宿木ゆき
3年前
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星は二度、消える【短編小説】【3000字】

惑星が消失した、というニュースを見た。 その日の深夜、わたしはコウちゃんと消滅した星を観…

『君の舌を撃ち抜いて神』

 夜中三時まで飲んで騒いで締めにカラオケ行くかって小さな橋を渡ってるときについ気が大きくなって友達のスマホを星のない曇天に放り投げ、生活排水の泡立つ川でふたり水あそびをした。川べりに腰掛け掌サイズの死んだ最新ガジェットを握りしめる友達と暗いだけの夜空を見上げながら、びしょ濡れの箱の中で生き残った選ばれし煙草をふかす。 「あー、あと45か月残ってんだけど」 「お前の寿命?」 「ケータイ代だわ」  煙草を持った手で肩を殴られる。あぶねぇよ、と笑った。 「馨さぁ、前言って