【小説】日曜日の散歩
石畳の道をふらふらと歩く。両側には石造りの家が並び、家から家へロープが渡されていて、そこにカラフルな布や旗が吊るされ風に揺れている。家々の窓辺には赤や黄色の花が飾られ、エプロンをした若い女が洗濯物を干している。左側に赤いパラソルをいくつも広げた賑やかなカフェテラスが現れた。店員らしき背の高い男が軽やかな身のこなしでコーヒーとクロワッサンを客の座るテーブルに並べていく。客は足を組んで新聞を読んでいて、テーブルを後にする店員に一言礼を言ったようだ。あたりに漂う甘いバターの香りが空