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日本の現状からDiversity&Inclusionを考える

Diversity & Inclusionの地として有名なこのSilicon ValleyないしはCaliforninaですが、今回から連載してそのテーマに基づいて自分が学んだ内容を書いていこうと思います。

1. Diversity & Inclusionとは何か?

Diversityという言葉が示すものは、大きく5つのカテゴリーが多様に存在しているか否かを指します。

・Race(人種)
・Color(肌の色)
・Gender(性別)
・Religion(宗教)
・National Origin(国籍)

この整理の仕方は、米国で制定されているThe Labor LawのひとつであるTitle VII of the Civil Rights Act of 1964からとってきています。それ以外にも、Age(年齢)、LGBTQなどで表現されるSexual Orientation(性的指向性)、Disability(障がい)、などがその対象とされるものです。

アメリカでは、HRを勉強している人であれば必ず知っておかなくてはならない法律があり、ざっと代表的なものを並べるだけでも以下の通りになります。

Civil Rights Act 1964(TitleⅦ)
Equal Pay Act 1963
Age Discrimination in Employment Act 1967
Equal Employment Opportunity Act 1972
Vocational Rehabilitation Act 1973
Pregnancy Discrimination Act 1978
Americans with Disabilities Act 1990
Civil Rights Act 1991
Genetic Information Nondiscrimination Act 2008 (GINA)
ADA Amendments Act 2008
Lilly Ledbetter Fair Pay Act 2009
Executive Order 11246

その上で、Inclusionというものはこちらのサイトで以下のように定義づけられています。

Inclusion is a sense of belonging, connection and community at work. Inclusive organizations help people feel welcomed, known, valued — and encouraged to bring their whole, unique selves to work. Inclusion revolves around the day-to-day interactions between employees, managers, leaders, teams and peers. In other words, genuine inclusion relies on leadership support and grassroots energy.

直訳すると、Inclusionとは「帰属意識」、「つながり」、「職場のコミュニティ」のことを指しており、Inclusiveな組織は従業員自身が「歓迎されている、よく理解されている、自分が価値があると評価されている」という気持ちにすることができるという組織です。言い換えれば、Inclusiveな組織というものは日々の従業員同士の関わりの積み重ね、またその場をデザインするリーダーシップから出来上がるとされています。

2. 日本は"Diversive & Inclusion"を実現できているのか

厚生労働省の発表データによれば、平成30年10月末時点で日本の外国人労働者は過去最高の146万人に到達されたというニュースがありました。JETROが発表したデータによると在留資格を持つ外国人は264万人に到達しています。

「おお、そんな増えているのか!」

という感想ですが、労働人口全体(就業者数)は2019年8月時点の総務省データでは6751万人ですので、全体の2.2%ほどが外国人労働者ということになります。100人に2人ということですから、この点においてDiversityを感じることは非常に難しいと思います。

宗教の面で言えば、日本にも様々な宗教が存在していますが、米国と比べて共通言語として存在しているほどでもなく、こちらも実感することは非常に難しいはずです。

性別で言えば、こちらはわかりやすく実感しやすいものです。ただ国別比較で言えばそのパワーバランスがFairと言えるものであるか、という観点では日本は遅れていると言われています。

それ以外の要素もまだまだこれから顕在化していくような状態と言えます。
私もそうですが、日本で働いている間に「Diversity & Inclusion」という言葉を具体的にイメージすることはほぼなかったなぁと思います。

一方で日本人材ニュースさんの調査によれば、こんなニュースもあるのです。

本誌が実施した企業の採用、育成・研修、組織力強化などを支援する専門家への調査では、2017年の人事の重要テーマ(複数回答)は、「次世代リーダーの育成」が70%で最も多かった。次いで、「組織風土の変革」(52%)、「ダイバーシティ」(44%)、「タレントマネジメント」(41%)、「採用力の向上」(41%)、「グローバル人材の確保」(37%)、「柔軟な働き方の推進」(37%)と続いた。

ダイバーシティの推進というものが、外国籍人材の採用や異なったバックグラウンドや価値観を持つ人々への許容推進ということであれば直接的にそうなると思いますが、「日本第一(僕たちの当たり前に合わせてね)」という価値観がまだまだ強いのではないかと思います。

3. Diversity & Inclusionは「Unconscious Bias」に注目することから

「What If」というDiversity & Inclusionについての権威であるSteve L. Robbins, PhDは”Inclusion”というものを以下の様に定義しています。

Diversity + Open-mindeness = Inclusion
Diversity + Closed-mindeness = Exclusion

この言葉から考えられるのは、Diverisityというものは違いを生む原因であり、Open-MindnessというものがInclusionを実現する要素だということです。

従って、Open-mindnessという「誰が何を感じているかを認知し、許容する」ことがCognitive Bias(認知バイアス)がとても大事なことであると言えます。

日本は「隣の人と一緒である」という同一性を重視してきたわけですが、現在はその感覚も変わりつつあり、子どもを持つ方々や副業をする方々、趣味の時間をきちんと大事にしたい方々など、働き方においては多様になりつつあります。

その多様性をどうやって認知し許容できるか。この点は私たちが日々持っている「Unconsciness Bias(無意識バイアス)」に対する気づき方、そして改善の仕方がとても大事になってくるということのようです。

次回以降、この具体的な方法について書いていきたいと思います。

Masa

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