『紅の豚』の「時には昔の話を」
『紅の豚』のエンディングで流れる、加藤登紀子の「時には昔の話を」。
いい曲なのだが、映画を観たとしても記憶には残りにくいかもしれない。
というのは、歌詞の内容が映画のストーリーとほとんど関係ないからだ。
「時には…」は、若者たちの青春を歌っている。
これを加藤登紀子の自伝的作品として解釈すると、本編との乖離が益々ひどくなる。
加藤は若い頃、学生運動に参加していた。
つまり左翼学生だったわけだが、『紅の豚』にそんなキャラは皆無である(『おもひでぽろぽろ』には一瞬出てくる)。
ちなみに、歌詞に'マロニエの並木'とあるのは、神田駿河台の「マロニエ通り」のことではないか。
この辺りは、1968年前後の学生運動の舞台として有名だ。
加藤は当時すでに運動をやめていたようだが、後に夫となる藤本敏夫は明治大学を拠点に活動しており、神田駿河台は二人にとって思い出の場所なのである。
https://www.tokiko.com/museum/view/269
『紅の豚』の主人公は賞金稼ぎのポルコ・ロッソだが、「ルンペン学生」たちと何か共通点はあるだろうか。
ポルコの「俺たちゃ戦争やってるんじゃねえんだよ」という台詞は、左翼学生っぽいかもしれない。
非合法的な活動により警察に睨まれているところも共通している。
意外と、似ていた。
写真は、現在の明治大学駿河台キャンパス。