浅井京助

心理屋。催眠に関する情報を発信して23年。

浅井京助

心理屋。催眠に関する情報を発信して23年。

マガジン

  • 心理学ガール

    心理学についての対話。

最近の記事

  • 固定された記事

これからやりたいこと

こんばんは。お疲れ様です。 最近は、催眠について、Xでつぶやいて情報発信をしてきました。 Xでの発信は気軽である一方、まとまった情報を発信するには向いてないなと感じています。 noteでは、Xとは違った方法で、催眠に関する情報を発信していきたいと思います。 よろしくお願いします。

    • 心理学ガール #24

      ハウツー 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。わたし学問的な催眠に興味が沸いているんですけど、どうやって勉強したらいいか教えてくれませんか?」 僕「そうだね。催眠は心理学の中ではマイナーにもかかわらず、ネットでは古かったり間違ったりしている情報が氾濫しているからね。どうやって勉強するかは大事になってくるね。僕が思うに初めはやっぱり書籍から入るのがいいと思う。ただ、書籍になっていればなんでも

      • 心理学ガール #23

        シチュエーション 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。前回話した社会的認知理論による催眠について、もう少し知りたいです」 僕「いいよ。じゃあ、本を1冊紹介しよう。清水貴裕先生の『催眠反応性の規定因に関する臨床社会心理学的研究』という本です。最近の日本の催眠研究の中で最も重要な本だと思います。清水先生の博士論文を書籍化したものなんだけど、いわゆる社会的認知理論をベースとした研究だと思います。

        • 心理学ガール #22

          そう思えばそうなる 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。今まで催眠について勉強してきて、学問的な催眠を実践するためにはどうしたらいいのかわからくなってきました。催眠状態や変性意識状態がないのなら、催眠現象を起こすための誘導というか、働き掛けはどんなことをすればいいんでしょう」 僕「そうだね。無意識理論や催眠状態を前提とした催眠は、催眠の掛かり手の意識をいかに欺くか、いかに催眠状態にするかに

        • 固定された記事

        これからやりたいこと

        マガジン

        • 心理学ガール
          24本

        記事

          心理学ガール #21

          賢い馬 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。催眠で悩み事を解消できたとか、催眠で元気になったというような話を聞いたことがあります。先輩は、催眠を使った療法的なものについて、どう考えてますか?」 僕「専門的な教育を受けていない人が催眠を使って療法的なことをするのは、それを受ける人の安全を考えれば、やらない方がいいと思っている。一般に、誰かの相談に乗ったり、アドバイスしたりすることは、業務独占

          心理学ガール #21

          心理学ガール #20

          それじゃなきゃ嫌 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。実験の結果から、人は催眠誘導や催眠状態がなくても、暗示のとおり、通常ではしないだろう行動をしてしまうという話でしたよね」 僕「そのとおりだね」 ハル「先日、その話を催眠愛好家にしたんです。そしたら、『課題動機付けという方法は実は催眠誘導だし、催眠現象が起きているならば通常の意識状態である訳がないから、催眠現象が起きているならば催眠状態

          心理学ガール #20

          心理学ガール #19

          表と裏 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩……ちょっと話しづらいことなんですけど……SNSで催眠について調べてたら、催眠をしている最中のトランス状態ってのが、なんか、ちょっと気持ちいいみたいな話があって、それも、ちょっとエッチな意味でも気持ちいいとか……これって本当ですか?」 僕「おっ、ハルちゃんはそういうことにも興味があるんだね」 ハル「違いますよ! 学問的興味です。催眠状態はないはず

          心理学ガール #19

          心理学ガール #18

          変える勇気 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。動画サイトを見ていたら、催眠を掛けるという動画があって、そこで、うずまき模様のヒプノディスクというものを使って催眠をしていました。あれってどういう効果があるんですか?」 僕「ヒプノディスクは、それをずっと見続けていると、そのあとに見たものがぐるぐる動いているような錯覚というか、錯視が起きるという効果があります。それ自体に催眠を起こす効果はない

          心理学ガール #18

          心理学ガール #17

          時間を切り取る 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩、最近、催眠を脳科学で説明する催眠愛好家に会ったんです。その人がいうには、催眠状態は脳波でわかるとか、催眠状態とは副交感神経が優位な状態なんだそうです。先輩はどう思いますか?」 僕「まず脳科学という言楽は、あまり正確ではないというか、マスコミがインパクトを持たせるために使っているという印象かな。どちらかといえば、神経科学といいたい。その上で

          心理学ガール #17

          心理学ガール #16

          あの人と会う 僕は心理学部の大学4年生。ここは大学本部棟の心理学研究室。今日は卒論のことで教授に相談に来たが会えず、そこにサキナさんが居た。サキナさんは高校の同級生。今は同じ大学で心理学を研究している修士一年目。僕は彼女以上に優秀な人を知らない。 僕「サキナさん。お久しぶりですね。そういえば、最近、催眠についていろいろと勉強しているんです。サキナさんは、催眠についてどう思います?」 サキナ「催眠はいくつかの心理現象を催眠と名付けているだけ。催眠に限った特別な方法や現象はな

          心理学ガール #16

          心理学ガール #15

          あなたの中の別のあなた 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩、先輩。わたし、催眠について少しわかってきた気もするんですけど、それでもやっぱり、催眠で味が変わったり、体が動かせなくなったり、痛みがなくなったりすることが不思議に感じるんです」 僕「ハルちゃん、いきなりだね。ハルちゃんのいうとおり、催眠で起きる現象を不思議に思うのはわかるよ。じゃあ、その仕組みについて少し考えてみようか。前回少し話

          心理学ガール #15

          心理学ガール #14

          催眠という世界観 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩、こんにちは! 先輩と催眠について対話をしていて、最初は素晴らしい技術だと思った催眠も、最近はそこまで特別じゃないのかもと思い始めています。そもそも、催眠愛好家がいう“催眠”ってふわっとした定義だし、学問的な観点からみると根拠のない経験則ばかりだなって感じてます」 僕「こんにちは、ハルちゃん。そうだね。催眠は、学問的に研究されているものと

          心理学ガール #14

          心理学ガール #13

          形態よりも機能 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 僕「こんにちは、ハルちゃん。今日は、催眠に関する興味深い記録があったから、その内容について話をしよう。松原慎先生の『心身医学的治療:催眠療法・自律訓練法・認知行動療法一機能性消化管疾患の心身医学的治療の臨床使用とその課題一』というもので、印刷したものを渡すね」 ハル「ありがとうございます!」 僕「内容を簡単に説明すると、過敏性腸症候群(IBS)治療

          心理学ガール #13

          心理学ガール #12

          何が大事か 僕は心理学部の大学4年生。ここは図書館前のベンチ。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 僕「以前、ハルちゃんは、催眠は『催眠誘導で催眠状態にして暗示をするとその通り行動してしまうこと』という話をしてくれたよね。過去の催眠研究では、催眠状態が原因として特異な暗示に反応するという考えに対抗した研究があるから、今日はそれを紹介しようと思います」 ハル「気になりますね。よろしくお願いします」 僕「その研究は、バーバーという学者によるもので、現在は入手困難

          心理学ガール #12

          心理学ガール #11

          十分と必要 僕は心理学部の大学4年生。ここはゼミ棟の空き教室。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「先輩。以前、心理学的にいえば現時点で催眠状態は存在しないという話をしましたけど、催眠をやっている人の集まりでは、催眠状態やトランス状態は楽しいものだと、みんなが言っていました。“ない”はずのものを楽しんでいるってどういうことなんですか?」 僕「心理学的な催眠状態は、催眠という現象の前提又は原因となるものとしての構成概念だという話をしたね。そして、その意味で

          心理学ガール #11

          心理学ガール #10

          冷たく静かに 僕は心理学部の大学4年生。ここは大学会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。 ハル「わたし、催眠の集まりとかに遊びに行ったりしたから、催眠に詳しい人たちと仲良くなったんです。その人たちの説明だと、やっぱり催眠は、無意識とか潜在意識に直接働き掛ける方法で、そのためには催眠状態や変性意識状態が必要なものだということなんです。心理学的には無意識や催眠状態は”ない”ってことなんですよね」 僕「そうだね。もう少し言えば、あるかないか判断す

          心理学ガール #10